経済界大賞

 2017年3月16日、株式会社ほぼ日がジャスダックに上場した。社長は広告業界のレジェンド、糸井重里氏だ。ほぼ日は糸井氏のマネジメントを行う東京糸井重里事務所が源流だ。それが上場するまでになったのは、20年前(1998年6月)に始めた「ほぼ日刊イトイ新聞」がきっかけだった。

話題賞 糸井重里 ほぼ日社長

話題賞
糸井重里 ほぼ日社長

 「創刊したのはみんなが集まる『場』をつくろうと思ったため」と糸井氏は振り返る。最初は糸井氏と読者の交流の場だったが、やがてTシャツなどの物販を始めるようになる。その中から生まれ、ほぼ日最大のヒット商品にして現在でも売り上げの7割を占めているのが「ほぼ日手帳」だ。

 「アイデア会議の場である社員が『生徒手帳』が欲しいと言った。同じ手帳を使うことでアイデンティティを共有できる。聞いた瞬間、これだと。そしてどうせ作るなら、誰もが欲しくなるお洒落な手帳を作ろうと思いました」と糸井氏。

 ほぼ日手帳の特徴は、半完成品であること。買った人が好きなように書き込んで、1年後に完成品となるという考えだ。そして購入者は、自分なりの使い方を他の人に自慢する。つまり手帳を介したコミュニティが出来上がっている。

 ほぼ日手帳だけでなく、ほぼ日が販売する商品に共通するのは、すべて自分たちが使いたいと思ったものばかりということだ。自分たちが欲しいモノから発想し、自分たちが満足するために企画をブラッシュアップさせていく。最近のヒット商品の多くは、綿密なマーケティングを行い、消費者ニーズがどこにあるのかを調べ、それに合致した商品を開発することで生まれている。ほぼ日の商品開発はその対極にある。その点において、ソニー創業者・井深大の個人的欲求から生まれた「ウォークマン」や、スティーブ・ジョブズの使いたい携帯が具現化した「iPhone」と同類と言えるだろう。

 これは商品だけでなくイベントなどにも共通する。「それを徹底することによって、『ほぼ日がやることなら面白いはず』と思ってもらえる商品やイベントを提供し続ける。これが当社の最大の差別化です」(糸井氏)。

関連記事

好評連載

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

バーチャル空間で開催される会議や音楽ライブなどに、3Dアバターで参加できる画期的サービス「cluster」を生み出したのは、元引きこもりのオタク青年だった。エンタメの世界を大きく変える可能性を秘めたビジネスで注目を浴びる経営者、加藤直人氏の人物像と「cluster」の展望を探る。(取材・文=吉田浩)加藤直人・…

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年1月号
[特集]
平成の事件簿

  • ・[イトマン事件]闇勢力に銀行が食い荒らされた戦後最大の経済事件
  • ・[ダイエー、産業再生機構入り]一代で栄枯盛衰を体現した日本の流通王・中内 功の信念
  • ・[ライブドアショック]一大社会現象を起こしたホリエモンの功罪
  • ・[日本航空経営破綻]親方日の丸航空会社の破綻と再生の物語

[Special Interview]

 高橋和夫(東京急行電鉄社長)

 「100周年に向けて、オンリーワン企業の強みを磨き続ける」

[NEWS REPORT]

◆かつてのライバル対決 明暗分けたパナとソニー

◆経営陣に強い危機感 富士通が異例の構造改革断行

◆売上高1兆円が見えた ミネベアミツミがユーシンを統合

◆前門の貿易戦争、後門の技術革新 好決算でも喜べない自動車各社

[特集2]経営に生かすAI

 「人工知能は『お弟子さん』
日常生活が作品になるということ」
落合陽一(筑波大学准教授)

ページ上部へ戻る