経済界大賞

南部靖之氏の描く未来は地方創生にある

 パソナグループは去る6月に本部を移転したが(東京・大手町)、新本部ビルの13階には「大手町牧場」がある。その名のとおり、牛や豚、アルパカ、ヤギ、さらには烏骨鶏やフラミンゴ、フクロウなどの鳥類まで、数多くの動物が飼育されている。前本部ビルは1階で水田を開墾、館内いたるところで野菜を水耕栽培していたが、今度はさらにパワーアップした。

地方創生賞 南部靖之 パソナグループ代表

地方創生賞
南部靖之 パソナグループ代表

 大手町という一等地に牧場をつくったのは、「この本部ビルをまるごと地方創生の拠点とする」という南部靖之代表の強い思いによるものだ。都心の牧場で酪農に関心を持ってもらうと同時に、将来の酪農を背負う人材を育成したいとの狙いがある。

 パソナの歴史は社会問題の解決の歴史だ。人材派遣業も、結婚・出産で退職した主婦に活躍の場を与えるために始めたもの。そのパソナが今一番力を入れているのが地方創生だ。

 現在、パソナは淡路島に「チャレンジファーム」を持つ。もともとは日本の農業問題を解決するため、農業人材を育てるために始めたものだが、ここから派生する形で廃校を再利用した商業施設「のじまスコーラ」などが生まれ、今では淡路島の観光名所となっている。淡路島も過疎に悩んでいたが、こうした施設が人を集め、雇用を創出。UターンやIターンで淡路に移住する若者も増え始めた。

 この淡路島をきっかけに、パソナは地方創生事業に本格的に乗り出すが、淡路島を視察した自治体から依頼されたケースも極めて多い。例えば京都府の日本海側の京丹後市にあった寂れた農業公園は、パソナによって「丹後王国 食のみやこ」という西日本最大級の道の駅に生まれ変わり、年間50万人が来場する人気スポットとなった。同様のことが日本各地で起きている。

 「なぜそこまで地方創生に力を入れるか」との問いに南部代表の答えは以下のとおり。

 「地方が元気になれば定住人口も増える。地方なら、生活費も安いし待機児童問題も都心ほどではない。しかも豊かな自然、安全な食など健康的に暮らすことができる。つまり日本が抱える課題の答えはすべて地方創生にあるのです」

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