経済界大賞

 インバウンドの増加によって恩恵を受けた小売業は多い。しかし2016年春に中国の個人旅行客に対する関税が変更されたことで、「爆買い」が終焉を迎えると、インバウンドに頼っていた企業はピンチを迎えた。

優秀経営者賞 大原孝治 ドンキホーテホールディングス社長兼CEO

優秀経営者賞
大原孝治 ドンキホーテホールディングス社長兼CEO

 ところがドンキホーテホールディングスは、爆買い対応で業績を大きく伸ばしたものの、爆買い終了後も既存店売上高が前年を上回るなど好調を維持している。その理由について大原孝治社長は、「すぐにマーチャンダイジング(MD)を変更することで対応できた」と語るが、この臨機応変なMDこそが、ドン・キホーテの力の源泉だ。

 それを可能にしているのが、「現場に権限委譲する個店主義」だと大原社長。言葉にすると簡単だが、実際には難しいのは、多くの総合スーパー(GMS)が苦境に陥っていることからも明らかだ。ドン・キホーテも今ではグループ総店舗数約400店、売上高8千億円超を誇る一大流通チェーンである。なぜ他のチェーンストアにできないことが、ドン・キホーテではできるのか。

 「小売業とはその名のとおり、小さく売ることを前提としています。つまり小売りの積み重ねがチェーン全体の売り上げにある。チェーンがあってそれぞれの店があると考えたら、個店主義はむずかしい」

 ドン・キホーテは17年、大きな決断を下した。ユニー・ファミリーマートホールディングス傘下のGMSであるユニーへ40%の出資である。ユニーも他のGMS同様、業績が低迷している。これをドン・キホーテ流の手法によって蘇らせようというわけだ。ドン・キホーテはかつて、やはり経営不振に陥った長崎屋を買収した経験がある。ユニーへの出資はそれに次ぐものだ。

 「GMSが誕生した当時は30代のいわゆるニューファミリーが主たる顧客でした。ところが目の前のお客さまに対応しているうちに、顧客年齢がどんどん高くなった。企業が若さを維持するには新陳代謝が不可欠なのに、それができていなかった」

 果たしてどんな手法で老舗GMSにイノベーションを起こしていくのか。再生に成功すれば、目標である20年1兆円が見えてくる。

関連記事

好評連載

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

バーチャル空間で開催される会議や音楽ライブなどに、3Dアバターで参加できる画期的サービス「cluster」を生み出したのは、元引きこもりのオタク青年だった。エンタメの世界を大きく変える可能性を秘めたビジネスで注目を浴びる経営者、加藤直人氏の人物像と「cluster」の展望を探る。(取材・文=吉田浩)加藤直人・…

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年3月号
[特集]
環境が経済を動かす

  • ・総論 災い転じて福となせるか 持続可能な社会の成長戦略
  • ・越智 仁(三菱ケミカルホールディングス社長)
  • ・100年後を考える 世界最大級の年金基金「GPIF」
  • ・金融業界はこう動く
  • ・脱炭素化の遅れがはらむ「座礁資産」の危険性
  • ・脱炭素化で移行する「地域循環共生圏」とはどういう社会なのか!?

[Special Interview]

 中田誠司(大和証券グループ本社社長)

 「SDGsを経営戦略の根幹に据えることで企業は成長する」

[NEWS REPORT]

◆稲盛哲学を学ぶ盛和塾解散を塾生たちはどう聞いたか

◆米中経済戦争の象徴となった「ファーウェイ」強さの秘密

◆EV時代にあえてガソリンエンジンにこだわるマツダのプライドと勝算

◆それは自由か幸福か——「信用スコア」で個人の信用が数値化された世界

[特集2]関西 飛躍への序章

 大阪万博開催で始まる関西経済の成長路線

ページ上部へ戻る