政治・経済

 制度の哲学、理念の理解を欠き、かつ、法的プラットフォームを全体的に導入せずに、外国から「部品」だけを日本に移入しても想定どおり機能しない。法科大学院、ライツイシュー、委員会設置会社、公開買付制度(TOB)がその例だ。

 日本や大陸欧州は、成文法を中心とする大陸法(シビルロー)体系だが、英国や米国では、慣習法、判例法(コモンロー)が発達した。米国では、成文法は骨格だけを決め、詳細は裁判で決着するという授権法モデルが中心である。

「米国では裁判が多過ぎる」という批判があるが、官僚が成文法をつくる日本と異なり、判例法主体の米国ではそれが当たり前となっている。

 成文法中心の日本では弁護士数は3万人だが、米国では115万人もいる。コモンロー体系で生まれた法科大学院を、シビルローの日本に持ってきても期待どおりに機能しないのは当然だ。

 同じことが、独立取締役にも当てはまる。日本では独立取締役選任の義務付けが提案されている。しかし、独立取締役選任は自由であるべきであり、義務化は不適切だ。

 日本の会社法は株主優位モデルだが、米国は取締役優位モデル(株主総会の権限が限定的)だ。米国では、法律で強制することなく、経営判断原則にかかわる判例法の積み重ねの結果、独立取締役が取締役会の過半数を占めるようになった。

 しかも、クラスアクション(集団代表訴訟)などによって、株主が取締役会をチェックすることになる。こうした独自の法的プラットフォームがあるが故に独立取締役が機能する。

 ちなみに、「独立取締役選任はグローバルスタンダード」という主張があるが、これは誤解である。ドイツには社外取締役は1人もいない。

 日本では、政策保有株が多く、かつ議決権行使比率は70%前後にとどまるため、会社の役員選任議案はほとんどが可決される。したがって、実態的には、独立取締役はCEOに選任されており、かつ多額の報酬をもらう。

 つまり、CEOは自分を監視する人の人事権と報酬決定権を掌握していることになる。これでは、独立取締役がCEOを厳しく監視できるはずがない。

 過去においては、独立取締役が取締役会の過半数を占める会社が、1千億円単位の赤字を計上してもCEOが巨額の報酬を獲得していたケースがあった。独立取締役が放置していた粉飾会計を、外国人の内部取締役が告発した事件もあった。

 仮に、その取締役が完全に独立しているというのであれば、どのような動機で厳しい経営監視をするのだろうか。アドバイザー機能などの効用があることは事実だが、独立取締役の経営監視機能は過大評価されているように思える。

 

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