政治・経済

 わが国の電波行政を根本的に変革することになる電波オークション(競争入札)制度の導入がまたしても先送りされることになった。政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大学教授)が11月29日に安倍晋三首相に提出した答申は、焦点となっていた電波オークション導入について、「検討を継続する」との表現にとどまり結論を明示しない中途半端なものとなった。前向きな姿勢を見せながら守旧派議員を取り込み既得権保持に奔走した総務省の勝利といえそうだ。

安倍首相の方針を受けて、電波オークションに関する議論

 2017年9月11日の規制改革推進会議で安倍首相は、成長戦略に電波を有効に活用することについて「ダイナミックな利活用が可能となるよう改革は待ったなしだ」との考えを強調していた。推進会議は安倍首相の方針を受けて9月以降、電波オークションに関する議論を本格化させた。通信・放送事業の監督官庁の総務省からヒアリングを行い、NHK、日本民間放送連盟、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクからも事情を聴いたが事業者はほぼすべて「コスト増によって通信サービス料金への転嫁も視野に入れざるを得ない」(ソフトバンク幹部)などと猛反対。構成員にとっては経済学者などオークション導入派の理屈より現実的にみえたかもしれない。

 9月11日の推進会議に、安倍総理は会議の途中から顔を出し、第2次答申のとりまとめに向けて、「成長軌道を将来に向けて確固たるものとするため、チャレンジを阻む岩盤のように固い規制や制度に真正面から挑戦し、スピード感を持って改革を進めていく」と発言。「電波の割り当て制度の改革」を早急に結果を出すべき重要事項とし、「安倍内閣の決意は揺るぎない」と強調した。

「電波オークション制度」論議、導入先送りに

 しかし、首相の発言が何を意図したものなのか、総務省幹部は真意を探るために奔走。菅義偉官房長官が推進会議の2日後の記者会見で、大手通信事業者が「電波利用料」を年額にして100億円から200億円も負担しているのに対し、大手民放は数億円程度にとどまり、大きな格差が生じている問題を指摘。さらに、周波数の一定期間の利用権を競争入札で決める「電波オークション制度」という新たなルール作りが規制改革推進会議の焦点になるとの見解を示した。まるで、放送用電波に電波オークションを導入するかのような頓珍漢な説明に、総務省幹部は「崩せる」と踏んだ。

 推進会議の構成員も降ってわいた電波オークション論議に本腰で取り組む雰囲気は薄く、自民党の反対派を取り込みながら導入先送りの空気が徐々に醸成。こうして付け焼刃の電波オークション導入が有名無実化。導入派が臍をかむ結果となった。

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