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成熟社会を迎え、子どもの教育、就職、働き方など、さまざまな面において、これまでのやり方が機能しなくなってきた日本。難病を抱えながら息子とともにハワイに移住し、事業家として成功を収めたイゲット千恵子氏が、これからの日本人に必要な、世界で生き抜く知恵と人生を豊かに送る方法について、ハワイのキーパーソンと語りつくす。

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(しゅうとう・ひろき)1961年生まれ。東京都出身。慶応義塾大学法学部政治学科卒業後、富士ゼロックスに入社。日本でホテル業を営んでいた父親に誘われ、26歳にしてハワイでのホテル経営に参画。ワイキキ・サンドビラホテル社長として現在に至る。日本人が使いやすい部屋づくりや足湯の設置などが好評で、多くのリピーターが毎年訪れる人気ホテルとなっている。

26歳未経験で飛び込んだワイキキ・サンドビラホテル社長のホテル経営

イゲット もともと私と周藤さんは子供を通じて知り合ったんですが、イベントに子供より張り切って参加されていたのが印象的でした。子育てをすごくエンジョイされていますよね。

周藤 (笑)。そのとき、僕は何をやってましたっけ?

イゲット 忍者のコスチュームを着てました(笑)。そのインパクトが強くて。それはさておき、サンドビラホテルを経営するようになった経緯からお聞きかせください。

周藤 もともとは、親父と僕と、当時ドイツの銀行の日本支店で働いていた僕の友人と3人でオペレーションしようということになって。もう30年前の話です。

イゲット それ以前にも、ハワイには何度か来ていたんですか?

周藤 自分はそうでもなかったんですが、親父は何度も来ていました。親父は日本でホテルを経営していて、ハワイでもやりたいということで始めました。僕は当時26歳でホテル経営なんてやったことはなかったんです。それまでゼロックスに勤務して、普通に営業職に就いていましたし。英語は全然できませんでした。

イゲット 26歳の若さで英語もできず、経営の経験もないのに、いきなりハワイでホテル経営ですか。凄い話ですね(笑)。

周藤 酷いですよね(笑)。ハワイに来る前に親父が経営する東京のホテルに少しいましたが、リゾートホテルとは全然違うし、カルチャーも経営の仕方も全然違いました。

イゲット 自分でも、ホテル経営がしたいという気持ちはあったのですか?

周藤 単純にハワイに住みたいなと(笑)。親父に「お前も来るか」と言われて「行く」といった感じでした。

イゲット ハワイでは、もともとあったホテルを購入されたんですよね?

周藤 ええ。前のオーナーが雇っていたマネージャーが残っていたので、最初のうちはその人の下で修業みたいなことから始めました。

イゲット 当時から、日本のマーケットには対応していたのですか?

周藤 いえ、全く。日本人は誰も働いていなかったですしね。

イゲット 英語もできない状態で、スタッフとのやり取りなどはどう行ったのですか?

周藤 最初は英語が喋れる友人が間に入ってくれていましたけど、ほどなく日本に帰ってしまったので、片言の英語で何とかやりました。いろんなタイプの人たちがいる中で、本当に分からないことだらけでした。ただ、若い連中だけでなく、年配の方々も割とこちらの言うことは聞いて協力してくれましたね。僕が頼りなかったから、「私たちが頑張らないと」と思ってくれたんじゃないでしょうか。

イゲット それはラッキーでしたね。日本人の宿泊客はすぐにたくさん来てくれるようになったのですか?

周藤 ええ、時代も良かったのかもしれません。バブルの名残がまだあったのと、徐々に安いツアーが流行りだすようになって、日本からのゲストが増えてきました。

イゲット その頃は格安チケットが出始めて、たくさんの人が海外に行く時代になりましたからね。特に、日本人マーケットに対してはどんな取り組みをしたのですか?

周藤 基本的には、自分が泊まるならどういうホテルが良いかをベースに考えるしかなかったですね。自分で営業やメンテナンスなど、いろんなことを同時にこなすしかなかったので効率も悪かったと思います。

イゲット 大失敗したことなどはありますか?

周藤 そんなことばっかりだった気がします(笑)。キーマンの従業員に辞められたりもしましたし。ただ、他から良いオファーが来たら辞められるのは仕方ないので、普段からちゃんと給料を払ったり、職場環境を整えるしかないんですけどね。今は誰が抜けても、どうにか乗り切れるようにはなっていると思います。

イゲット 日本よりアメリカのほうが、上の人間が変わると組織全体がガラッと変わる印象がある。大統領などは良い例です。

周藤 そういう意味では、ここでは僕が上なわけだから、社風のようなものは以前からあまり変わっていないと思います。

日本人リピーターに喜ばれるワイキキ・サンドビラホテルのちょっとした心遣い

イゲット 日本人として、さまざまな人種のスタッフをまとめるのは大変ではないですか?

周藤 例えば、こちらに来てすぐの頃、ハウスキーパーに用事を頼んだことがありました。15時とかそれぐらいの時間に頼んだのですが、その人は「分かりました!明日の朝一番にやります」と返されてビックリしたことがあります。今日中じゃないのかと(笑)。その人にしてみれば、本当に親切な気持ちから言ってくれたんでしょうけどね。その程度のことは、今では当たり前と捉えられるようになりました。

イゲット 時間の感じ方も、南の島の人と日本人ではすごく違いますからね。

周藤 子供の野球などでも、朝9時に集合と言われて行くと誰もいなかったりしますしね(笑)。

イゲット 今、従業員は何人くらいいるんですか?

周藤 90人くらいで部屋数は214室です。日本人のリピーターは多いのですが、実は大したことは何もやっていなくて、たとえば3人で泊まるゲスト向けにトリプルベッドルームをつくったり、シャワーも固定式ではなくてホースが付いたものにしたり、子ども用に低いタオル掛けを付けたり、ちょっとしたことをいろいろやってるだけです。それと、ウォシュレットは全室に付けました。アメリカ人のゲストも喜んでいるみたいです。

イゲット 足湯もありますよね。

周藤 足湯は日本人だけでなく、外国人にも人気があるんです。座って足湯に浸かりながら、知らない人同士で仲良くなったりできますしね。足湯は隣の人と近すぎず、離れすぎず、仲良くなるには丁度良い距離なんです。あと、これは自慢なんですが、ソーラーパワーで動かしているんです。エコはわれわれのホテルの売りですね。

イゲット エコの取り組みは他にどんなことを?

周藤 昔は電気を白熱灯から蛍光灯に変えましたし、今はLEDに変えたりしています。エアコンの温度も少し高めに設定したり、シャワーやトイレで水を無駄遣いしないように水量を調節したり、導入費用は掛かりますが、部屋もカードを差し込まないと電気が付かないようにしたり、やれることは全部やっています。他にも、何か新しいものが出てきたら導入したいと思います。(後編に続く

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(いげっと・ちえこ)(Beauti Therapy LLC社長)。大学卒業後、外資系企業勤務を経てネイルサロンを開業。14年前にハワイに移住し、5年前に起業。敏感肌専門のエステサロン、化粧品会社、美容スクール、通販サイト経営、セミナー、講演活動、教育移住コンサルタントなどをしながら世界を周り、バイリンガルの子供を国際ビジネスマンに育成中。2017年4月『経営者を育てハワイの親 労働者を育てる日本の親』(経済界)を上梓。

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