文化・ライフ

 数年前より、テスト販売や商品改良が数度なされてきた加熱式タバコの全国展開がやっと整ってきたようなので、各社の色展開マーケティングに関して考察してみます。

 本体の全国販売開始時期に関して、アイコス(フィリップモリス)は2017年6月25日~、グロー(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)は2017年10月2日~、プルームテック(JT)だけは2018年で、いまだ全国販売が出来ていないという状況です。各社加熱式タバコは、今まで商品の品質や販売状況などを確認して、改良のため全国各地においてテスト販売を行ってきました。やっと全国展開が落ち着きを取り戻した感がしています。

 ブランド価値の浸透、ブランドロイヤリティー化を強めるにあたり、各社の戦略の状況を分析してみます。ブランドラインエクステンションをまず、各社は行っていますが、現在のところ商品のスペック違い(性能違い)などは行なわずに、色展開を積極的に行っています。各社がどういう色展開をして顧客ニーズを獲得するのか非常に興味深いので、今回はカラーバリエーションについて考察してみます。

 ブランド戦略において、商品の価値を高めるためのバリエーション展開として、限定品やカスタム品などを追加投入することが良くあります。

 加熱式タバコ業界では、先行しているアイコスは白と黒をベースに、外側のカバーやスティックの口側部分のカラー部品の展開をして、カスタマイズに力点を置いているように思えます。

 グローの戦略としては、本体の色バリエーションを増やし、また、あえて高価格に設定した高級バージョンの限定販売によって、ブランド価値のプレミアム化を狙っていると思われます。

 グローについては一体化構造のため、本体外側に数百円の簡単シールを巻きつけてカスタマイズできるようにし、ネット上などでは、いろいろな面白いシールが販売されています。

 プルームテックに関しては、現在も品薄状態であることが関係しているのか、マットブラック一色のみの展開なので、自分好みのカスタマイズが出来ていない状況ですので、今後の色展開が楽しみです。

 さらに詳しく見てみると、まずアイコスは他社より先行販売をしてはいたものの、キャンペーン以外ではカラーバリエーションが少なく、当初は白と黒の2種類で現在も白と青と少なめ。一部、空港にて海外旅行の方向けに免税店限定でブルーメタリックなども販売されています。また、旧型ではあるもののLINEとのキャンペーンでスティックを販売するなど工夫をしています。

 グローは、基本シルバーの1色ですが、店舗ではシャンパンゴールドやピンク、ブルー、ブラックなど4種の購入が可能です。さらに、アイコスとの明確な高級化でブランドイメージの差別化を図るために、先着順予約にて1千台限定で高価なプレミアムカラーを加えました。販売期間もずらして、シリアルナンバーを入れることでプレミアム感を向上させています。写真のAuオータムゴールドも現在相当の付加価値がついています。

 以下に、現時点でのわたしの調べた限りでの最新情報を載せておきます。海外での販売商品は除いています。写真はすべて筆者撮影です。

アイコス18回-1

アイコス新型2.4plus(10,980円税込)。このほか、ネイビー(基本)、空港免税店限定でブルーメタリック、キャンペーン限定色旧型ホルダー単体(6,980円税込)でゴールド、ミッドナイトブルー、ローズピンク、バーガンディー、ブルー、シルバー、ダークデニムがある

グロー18回ー2

グロー(8,000円税込)、プレミアム・シルバー(基本)。このほかシャンパン・ゴールド、モーブ・ピンク、ミスト・ブルー、ストーン・ブラックがある。プレミアム・シルバー以外のカラー製品は、グロー旗艦店、オンラインストア限定販売

グロー。シリアルナンバー入り高級PREMIUM COLLECTION 1,000台限定カラー(16,980円税込)、Au(オーラム)ゴールド色。このほか、Cr(クローム)、C(カーボン)がある。オンラインストアにて抽選販売のみ(すでに販売は終了)

ブルームテック18回-1

プルームテック(4,000円税込)。マットブラックのみ

*本記事はタバコやパイプ煙草等の推奨や宣伝をする目的では全くなく、商品分析のために書かれたものです。タバコは人体に有害とされているため推奨されるものではありません。厚生労働省などの方針も現時点でのものです。

(やまもと・やすひろ):ビジネス・バリュー・クリエイションズ代表取締役、ブランドマーケッター。日本コカ・コーラ、JT、伊藤園でマーケティング、新商品企画・開発に携わり、独立後に同社を設立。これまで携わった開発商品は120アイテム、テレビCMは52本製作。1年以上継続した商品を計算すると打率3割3分、マーケティング実績30年。現在では新商品開発サポートのほか、業界紙をはじめとしたメディア出演や連載寄稿、企業研修、大学等でのセミナー・講義なども多数実施。たたき上げ新商品・新サービス企画立ち上げスペシャリスト。潜在ニーズ研究家。著書に『ヒットの正体』(日本実業出版社)、『現代 宣伝・広告の実務』(宣伝会議)、英語著書『Stick Out~a ninja marketer~』(BVC)など。

 

 

 

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。100年弱の歴史を持つ高砂香料工業── まず御社の特徴をお聞かせください。桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える香料の専門メーカーです。基本…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年9月号
[特集]
この夏飲みたい日本の酒

  • ・総論 量から質へ“こだわり”が求められる時代へ
  • ・埼玉・秩父から世界一へ イチローズモルトの奇跡
  • ・家庭でも酒場でもレモンサワーが飲まれる理由
  • ・幕末からよみがえった都心の酒蔵 東京港酒造
  • ・本間哲朗(アプライアンス社社長)
  • ・伊豆で愉しむ野趣なワインと夏の富士
  • ・トップが薦めるこの夏のビール

[Special Interview]

 宮内義彦(オリックス シニア・チェアマン)

 「トップの器以上に会社は大きくならない」

[NEWS REPORT]

◆ヨーロッパに続け! 動き始めた日本の再エネ事業

◆東芝のPC事業を買収し8年ぶりに参入するシャープの勝算

◆日産―ルノー経営統合問題に苦慮するカルロス・ゴーン

◆大阪がエンタメで仕掛けるインバウンドと夜の経済

働きがいのある会社を総力取材

 人材育成企業20

 企業の成長戦略をクローズアップ

ページ上部へ戻る