文化・ライフ

「仕事ではファッションが大事」と言えば、大事なのは中身だと反論されるかもしれない。だが、「仕事では印象(インプレッション)が大事」と言い換えれば、おそらく異論は少ないだろう。「ファッションとは、その人の内面、在り方を表すもの」と考えれば、そのプライオリティは高まるはずだ。ファッションスタイリストジャパン(FSJ)でスタイリストを務める吉川浩太郎氏が、ファッションとの向き合い方、具体的なテクニックなどを、ビジネスパーソンに向けて伝授する。

ファッションアイテムの歴史、カーディガンのルーツは負傷兵のための防寒着だった

 自分を高めるためのツールとしてファッションを捉えるならば、さまざまなアイテムの歴史を知るのもまた、愉しいことです。

 たとえば、もともとカーディガンは怪我をした兵士のための防寒着がルーツだと言われていることをご存知でしょうか。戦場で兵士が腕や胸などを負傷した際、頭から服を脱ぎ着するのが困難なケースがありました。そこで、英国のカーディガン伯爵という軍人が、クリミア戦争(1853~56年)の際に、負傷した部下が簡単に着脱できる防寒着として考案したのが始まりとされています。

 よくセーターとカーディガンの違いについて尋ねられることがあるのですが、大きな違いは、この着脱のし易さにあると言えます。現代でも暖房が効きすぎた部屋に入った時など、身だしなみを乱さずに簡単に脱げるカーディガンは重宝されています。

 また、スーツの下にカーディガンを着ることで、防寒だけでなくお洒落の面でもひと工夫加えることができます。特に冬場は全体的に暗めの雰囲気になりがちなので、差し色として明るめの色のカーディガンを着ることで、印象をガラリと変えることができるでしょう。

 このように、ファッション性と機能性を兼ね備えているのがカーディガンの優れたところです。軍服が現代のファッションとして有効なアイテムになっているというのは、なんだか面白いですよね。ただし、胸元の空き具合によっては、ネクタイがないとだらしなく見えたりするので、そこは注意が必要です。

ファッションアイテムの歴史、女性が男性にネクタイを送ることの意味

 ネクタイについても、起源を辿ると面白いことが分かります。ネクタイの原型とされるクラバットというスカーフ状の装飾は、もともとクロアチアの兵士がフランスのルイ13世を守るために遠征する際、兵士の奥さんや恋人が無事を祈って首に巻かせたものだったと言われています。

 兵士たちが首に巻いている装飾を見て、息子のルイ14世が従者に「あれは何だ?」と尋ねました。従者は装飾のことを尋ねられたと気付かずに「クロアチア兵士(クラバット)です」と答えました。そこからクラバットと呼ばれるようになり、後にネクタイへと進化していったという説があります。

 つまり、ネクタイは女性から大切な男性に贈ったものが起源なので、こうした歴史を知る人にとっては、女性から男性にネクタイをプレゼントするというのはちょっと意味深な行為だったりします。ただし、送る側の女性が歴史を知っているとは限りませんので、あまり深読みして期待しすぎないほうが無難かもしれません(笑)。

 スタイリスト吉川浩太郎のワンポイントアドバイス

吉川さん写真マメ知識としてファッションアイテムの歴史や逸話を知ることは、話題として面白いだけでなく、「自分は知ったうえでこの服を着ている」という自信にもつながります。今後も機会があれば、さまざまなアイテムの歴史を紹介していきたいと思います。

 

(よしかわ・こうたろう)1981年5月19日生まれ。東京都日野市出身。紳士服専門上場企業で人事採用や接客業務を経た後、イメージコンサルタントとしてのキャリアを基に依頼者独自の良さを引き出すコーディネート事業を展開。プライベートカジュアルからスーツスタイルまで幅広い知識・提案に定評がある。化粧品会社、大手建機会社、生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会(公益社団法人JAIFA)等で30~100名規模のファッション研修に携わっている。

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