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ポスティングを軸に生活インフラの役割を果たす――安田 周(アト代表取締役社長CEO)

ポスティング業界最大手のアトは、チラシ配布にITを掛け合わせた独自のサービスで顧客から厚い支持を得ている。全国の配布網を生かしたエリアマーケティング支援や物流サービスへの参入など、ポスティングの枠を超えた取り組みでさらなる飛躍を図る。

株式会社アト代表取締役社長CEO 安田 周(やすだ・しゅう)

株式会社アト代表取締役社長CEO 安田 周(やすだ・しゅう)

アトは2003年に安田周社長と奈須田洋平副社長が共同で設立し、わずか数年でポスティング業界トップの売り上げを達成した。17年4月期の売上高は27億5千万円で、創業以来、14期連続での増収増益を実現している。現在では仙台から福岡まで全国に16支社を開設しており、1日に稼働しているスタッフは平均で500人を優に超えている。

顧客の主な業種は通販や食事などのデリバリー、エステ(脱毛・痩身・ヨガ)、フィットネス、水道工事、飲食、不動産と多岐にわたり、累計取引社数は約2万社に。16年におけるチラシの総配布数は約7億8500万枚にまで達している。

安田社長は「他の媒体よりも配布カバー率や反響率の高いツールとして当社のポスティングをご利用いただく機会が増えています。サービスの精度を一層高めるため、常に新しい取り組みを手掛けています」と説明している。同社ではチラシを配るだけではなく、クリエイティブチームが顧客企業のサイトやランディングページを作成。配布物に記載したURLからサイトへ誘引することによって、消費者の商品購入や来店につなげている。

そのほか、国勢調査に基づく独自の地理情報システムを利用し、ピンポイントでのターゲティングを実践している。例えば高級化粧品をPRする場合には、「30代女性」と「世帯年収600万円以上」の多いエリアを絞り込み、無駄を省いた販促をサポートする。

「家族構成や一戸建てに居住しているかなど複数の属性を組み合わせることで、業績アップに直結するポスティングを実現しています」と話す安田社長。最近では公開情報の活用にとどまらず、自社でリサーチしたデータをサービスに生かす取り組みに乗り出した。同社では、累計約8500人の登録スタッフが2週間に1回のペースで営業エリア全域を巡回している。スタッフがチラシを配布する際にエリア内の世帯情報を収集し、その結果を基にポスティングを行っている。17年からサービスを開始し、早くも民間企業や地方自治体からの引き合いが増えているという。

圧倒的な配送網を活用したサービス展開はこれだけにとどまらない。18年1月からは物流サービスを試験的に開始した。ポストに入るサイズの荷物の配送をリーズナブルに請け負うことで、新たな収益源に育てる。将来的にはポスティング事業の枠を超え、生活インフラとしての役割を果たす考えだ。

「ポスティングサービスを軸にしながら、マーケティング全般をサポートしたり、地域社会を支えたりしたいと考えています。全国に支社を増やし、地方の雇用機会を増やすお手伝いもしていきたいですね」

株式会社アト

  • 資本金/3199万円
  • 設立/2003年6月
  • 売上高/27億5000万円(2017年4月期)
  • 従業員数/106人
  • 事業内容/ポスティング、DTP、ウェブデザイン、印刷等、SP事業全般
  • 所在地/東京都千代田区
  • 会社ホームページ/https://www.ato-co.jp

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