マネジメント

SES(システムエンジニアリングサービス)を事業の柱に着実に成長を続けてきたパワーエッジには、独自に積み上げてきたノウハウを生かし、次代を視野に入れた実にロジカルな成長戦略があった。

成長の基盤に据える地方企業のICT丸抱え

201803POWEREDGE_P01

株式会社パワーエッジ代表取締役 塩原正也(しおはら・まさなり)

 企業のシステム構築を受託するのではなく、企業のシステム回り全領域に対してシステムエンジニアの技術力を提供するSES(システムエンジニアリングサービス)を軸に2000年の創業から着実に成長を遂げているのがパワーエッジだ。同社の次代の成長戦略は大きく2つのエンジンによって支えられている。

 その1つが地方マーケット。同社はSIerとは異なり、システムの完成によって業務が完結する訳ではない。そもそも顧客の目的自体が、何らかの業務課題をシステムによって解決を図ろうとすることにある。

 同社は顧客が本来の目的を達成することができるように、システムの運用や保守、改善さらには社内の業務体制や制度までコンサルティングを行うことで、信頼を集めてきた。創業以来、首都圏中心での活動だったが、14年の大阪支社開設を皮切りに、15年金沢、16年神戸、17年名古屋と矢継ぎ早に地方組織を整備した。塩原社長の狙いは明快そのものだ。

 「地方には大手企業は少ないですが、中央の大手企業と直接取引をしている部品メーカーなど大手企業を支える優秀な中小企業が数多くあります。ところが、それらの企業のシステム化が進んでいないのが実情。彼らの業務課題を解決するため、これまで培ってきた当社のノウハウが役に立つのです」

 地方は中央に比べると圧倒的にICT系のサービスを提供できる会社の数が少なく、また有する技術力も貧弱だ。金融系を中心に、中央の大手企業の要求を満たしてきた同社の優位性は大きい。さらに、システムを作って終わりではない同社のスタンスは、単にシステム回りだけではなく、ICT全般について顧客の「困った」を解決することで遺憾なく発揮される。それは、IPフォン導入、パソコン入れ替えなどにおけるコンサルティングや、ヘルプデスクによる日常業務における相談や疑問解決などだ。地方企業のICT丸ごと一式を受託する。1件ごとの契約額は大きくないかもしれないが、安定的な収益をあげる基盤となるだけでなく、顧客数が増えることでリスクヘッジともなる。

 「このような展開が可能なのも、当社は営業部隊を抱えているからです。ICTベンチャーには営業専門職の社員を持たない会社が多い。しかし、お客さまのニーズをしっかりと引き出すには営業部隊が必要です。当社は営業力と技術力の2枚看板に、『よろず対応』というオプション付きでお客さまのニーズに応えていきます」

自社商品開発を強化しブランド力を上げていく

 もう1つのエンジンが自社ブランド商品だ。現在でも『FlagShip』『RelationShip』という2つのアパレル業界向けのパッケージソフトを提供しており、採用店舗数は700を数える。

 また、タブレットPOSシステム「DealerShip」と飲食店向けのオーダーエントリーシステム「OrderShip」も開発・発売。採用数も着々と増加している。ここでも、SES同様に同社が提供するのはパッケージだけではない。あくまでも顧客の課題解決をサポートすることがミッションであるため、パッケージを売って終わりではなく、フィットアンドギャップ分析などを通して、顧客が希望通りの成果を上げられるまで、きっちりサポートを行う。

 「これはSESも同様ですが、お客さまがしっかり運用できるようにサポートするには、それぞれの業務内容を熟知していなければなりません。つまり単にエンジニアとしての技術力だけが優秀でも駄目なんです。当社は社員育成において、お客さまの業務内容をしっかりと身に付けるように徹底しています」

 パッケージ販売に関しては、マイクロソフトのパートナー企業である同社は、ゴールドパートナーへとランクを上げることも狙っている。

 また、18年の春から夏にかけては、アパレル業界向けの新商品の発売と、大手とのタイアップによるBtoCの新サービスリリースも既に決定し、自社ブランド拡充を着実に進めつつある。

 このような自社商品を含むパッケージを有していることは、地方企業への丸抱え受託営業において、顧客とのファーストコンタクトの切り口になりやすいという大きなメリットがある。

 地方展開と自社ブランド強化を両輪とするロジカルな戦略による持続的な成長に、塩原社長は確信を持っている。

 

株式会社パワーエッジ

  • 設立/2000年10月
  • 資本金/5700万円
  • 売上高/15億7000万円
  • 従業員数/171人
  • 事業内容/パッケージ開発販売事業、システム開発事業、ネットワークソリューション事業、ITサポート事業、スマートフォンアプリ開発事業
  • 所在地/東京都豊島区
  • 会社ホームページ/http://www.poweredge.co.jp/

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

バーチャル空間で開催される会議や音楽ライブなどに、3Dアバターで参加できる画期的サービス「cluster」を生み出したのは、元引きこもりのオタク青年だった。エンタメの世界を大きく変える可能性を秘めたビジネスで注目を浴びる経営者、加藤直人氏の人物像と「cluster」の展望を探る。(取材・文=吉田浩)加藤直人・…

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年1月号
[特集]
平成の事件簿

  • ・[イトマン事件]闇勢力に銀行が食い荒らされた戦後最大の経済事件
  • ・[ダイエー、産業再生機構入り]一代で栄枯盛衰を体現した日本の流通王・中内 功の信念
  • ・[ライブドアショック]一大社会現象を起こしたホリエモンの功罪
  • ・[日本航空経営破綻]親方日の丸航空会社の破綻と再生の物語

[Special Interview]

 高橋和夫(東京急行電鉄社長)

 「100周年に向けて、オンリーワン企業の強みを磨き続ける」

[NEWS REPORT]

◆かつてのライバル対決 明暗分けたパナとソニー

◆経営陣に強い危機感 富士通が異例の構造改革断行

◆売上高1兆円が見えた ミネベアミツミがユーシンを統合

◆前門の貿易戦争、後門の技術革新 好決算でも喜べない自動車各社

[特集2]経営に生かすAI

 「人工知能は『お弟子さん』
日常生活が作品になるということ」
落合陽一(筑波大学准教授)

ページ上部へ戻る