マネジメント

低迷期を脱することができないレジャーホテル業界を、大きく変革し立て直そうとしているミマコーポレーション。新しいブランドの投入とインバウンド需要への対応は、業界全体が活性化するきっかけになるかもしれない。

iResortは厳選ハイクラスホテルだけの新たなセグメントを確立

201803MIMACORPO_P01

株式会社ミマコーポレーション代表取締役社長 美馬 辰也(みま・たつや)

 厳選したエリア、豪華な設備、充実したサービスなど厳格な基準を設けて、徹底的に選び抜いたハイクラスのレジャーホテルだけによる新たなセグメントを創出する試みを始めたミマコーポレーション。その新たなセグメントのブランドを「iResort(アイリゾート)」と名付けた同社の美馬辰也社長は、実に楽しそうにブランドコンセプトを説明してくれた。

 「アイは、愛(=Love)を意味すると同時に、インターネットと親和性が高いことを表しています。館内にはWiFi環境を整え、スマートフォンなどからのネット予約にも対応させます。リゾートには、ホテル機能だけでなくエンターテインメントの要素がふんだんに盛り込まれていること、都心でありながらリゾート気分が味わえる脱日常の場所であることを表しています」

 レジャーホテルは近年、若い世代の利用者が減ってきている。そもそも人口減社会の現代ではあらゆる産業がシュリンク気味であり、特に草食系と言われるタイプが誕生している日本社会においては、レジャーホテル業界全体が右肩下がりに歯止めがかからない状況だ。

 そんな中で美馬社長は、とにかく変革し続けなければいけないと行動を起こしている。社長が狙うのは、感動を与えることでシェアされ、共感が生まれるようなホテルだ。インスタグラムなどに写真がアップされるようなホテル、ルームであり「もう一度行きたいホテル」「行ってみたい部屋」となることを目指している。そのためには、徹底的に脱日常にこだわった豪華な設備だけでなく、社員教育にも力を入れて、一流のシティホテル並みのホスピタリティを提供できる人材に育てていくという。

 「アイリゾートというブランドを確立することができれば、レジャーホテルの枠を飛び越えた存在になります。イメージが変わることで、さらに多くの人が訪れてくれることが期待できます」

 今年はまず、5棟のホテルをアイリゾートにブランドチェンジする計画だ。既にこの構想に賛同するホテル経営者も複数名現れており、4~5年後を目処に全国各地でアイリゾートを一気に500棟にまで増やしていく。

 「普通のホテルは広くても40平方メートルですが、アイリゾートは70~80平方メートルの部屋を揃えます。まさに脱日常の空間として、さまざまな利用方法が考えられます。現在、既に当社ホテルも女子会や同窓会の開催場所として利用されていますが、優れた防音性能を持つという特長からどんなに騒いでも他に迷惑をかけることがないので、多人数でのパーティーには最適です」

 ミマコーポレーションは、首都圏を中心に21棟のホテルを運営しているが、自社保有物件だけでなくオーナー所有物件のリース方式や業務委託で運営を受託する方式など、多様なメニューでホテル運営に関わってきた。現在では、そこで培ったノウハウを生かして、ホテル人材の教育・育成や人材派遣、物件の仲介、さらにコンサルティングまで、幅広くホテル運営全般に関わる事業をワンストップで提供できることが最大の強みだ。今後はアイリゾートブランドの浸透に併せて、新たなホテルファンドの設立も視野に入っている。

アイリゾートを核に業界の一大変革に取り組む

 アイリゾートブランド立ち上げと並行して進めるのが、インバウンドの取り込みだ。ビジット・ジャパン事業が牽引する訪日観光客の伸びは目を見張るものがある。昨年は9月15日に前年より45日早く2千万人超えを達成した。ご存知のとおりここで問題になっているのが宿泊施設不足だが、その解決策として期待されるのがレジャーホテルの一般ホテル化だ。政府は2016年に、条件付きで改装資金調達の規制を緩和すると発表している。

 この動向はレジャーホテル業界には追い風といえるだろう。風営法の管轄下にあるラブホテルと異なり、旅館業法に則り運営されているレジャーホテルは、すぐにでも訪日観光客の宿泊施設として利用してもらうことが可能だ。

 「レジャーホテルの立地もアドバンテージになります。例えば東名高速で東京から西に進めば、横浜町田から厚木、御殿場とインターチェンジごとにレジャーホテルがある。箱根や御殿場アウトレットなどの観光拠点としても活用できます。全国でも同様に、インターチェンジ近くという観光地への結節点に立地が多いレジャーホテルは、訪日観光客にも利便性が高いと考えています」

 もちろん狙いはインバウンドだけではない。観光地への結節点という特長は国内観光客にとっても利便性が高いはずだ。アイリゾートブランドを確立することができれば、国内需要も伸ばしていくことができると美馬社長は考えている。国内外の観光客にアピールするために、アイリゾート構想だけでなく自社運営ホテルのインターネットによるPRや、予約受付システムの構築などにも早急に取り組むつもりだ。

 アイリゾートを核に業界の変革に挑もうとする美馬社長の行動が、今後のレジャーホテル業界活性化に向けた大きな起爆剤になりそうだ。

 

株式会社ミマコーポレーション

  • 設立/2002年12月
  • 事業内容/ホテル管理業務・人材育成および営業指導、新築・改装相談、市場(立地)調査、事業計画書作成・経理事務代行
  • 所在地/東京都豊島区
  • 会社ホームページ/http://www.mimacorp.co.jp/

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

バーチャル空間で開催される会議や音楽ライブなどに、3Dアバターで参加できる画期的サービス「cluster」を生み出したのは、元引きこもりのオタク青年だった。エンタメの世界を大きく変える可能性を秘めたビジネスで注目を浴びる経営者、加藤直人氏の人物像と「cluster」の展望を探る。(取材・文=吉田浩)加藤直人・…

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年1月号
[特集]
平成の事件簿

  • ・[イトマン事件]闇勢力に銀行が食い荒らされた戦後最大の経済事件
  • ・[ダイエー、産業再生機構入り]一代で栄枯盛衰を体現した日本の流通王・中内 功の信念
  • ・[ライブドアショック]一大社会現象を起こしたホリエモンの功罪
  • ・[日本航空経営破綻]親方日の丸航空会社の破綻と再生の物語

[Special Interview]

 高橋和夫(東京急行電鉄社長)

 「100周年に向けて、オンリーワン企業の強みを磨き続ける」

[NEWS REPORT]

◆かつてのライバル対決 明暗分けたパナとソニー

◆経営陣に強い危機感 富士通が異例の構造改革断行

◆売上高1兆円が見えた ミネベアミツミがユーシンを統合

◆前門の貿易戦争、後門の技術革新 好決算でも喜べない自動車各社

[特集2]経営に生かすAI

 「人工知能は『お弟子さん』
日常生活が作品になるということ」
落合陽一(筑波大学准教授)

ページ上部へ戻る