マネジメント

循環型社会を目指し、古紙原料のリサイクル事業から、機密書類の処理と再資源化、紙を用いた新たな可能性を追求したパルプモールド事業の3つを中心に進める栗原紙材。国内発の最先端素材セルロースナノファイバーを用いた新たな商品展開にも取り組んでいる。

201803KURIHARA_P01

栗原紙材株式会社代表取締役社長 栗原正雄(くりはら・まさお)

 環境への負荷が少ない循環型社会への取り組みは世界の大きな潮流となっている。Eコマースが浸透し、梱包するための板紙の需要の高まりと共に紙への再帰が始まっている。

 「古紙は国際循環しています。アジアから日本に来た輸出コンテナの40%は、古紙を積んで持ち帰ります。そして、再び日本や米国へ消費財を輸出するための板紙づくりの原料に充てているのです」

 日本では循環型社会形成推進基本法が2000年に制定されて以来、資源の再利用について官民を挙げて技術革新や制度整備が行われている。このような動きの中で栗原紙材は、回収した古紙を選別・加工しプレス処理を施した上で、商品化して製紙メーカーに卸している。自治体や企業で焼却処理ができない機密文書の回収から滅却処理を行い、それを再び紙素材の原料とする利活用事業を手掛けている。

 「大量の紙を燃やすことは現在難しくなりましたが、再利用の機密書類をリサイクルに回すような自治体はありません。当社は大手金融機関や電気通信事業者から預かった機密書類を溶解しパルプモールドとして生まれ変わらせています」

 ヨーロッパでは循環社会への意識の高まりを受けて、梱包材や緩衝材として発泡スチロールが用いられることが禁止され、紙の需要が高まった。環境保全に特化した包装緩衝材であるパルプモールドにも大きな期待が持たれている。

 「当社は真空状態にした立体的な金網に、溶解させた古紙を付着させてパルプモールドを作っておりますが、これに鉄の5倍の強度を持つ植物繊維“セルロースナノファイバー”を加えた新商品の開発を検討しています。日本が世界をリードしているこの新素材は、経済産業省も研究会を設けており、また当社も参加している民間企業フォーラムでは互いに特許を公開しながら新しい製品開発への取り組みを進めています」

 栗原紙材は回収した古紙の新たな製品化に力を注いでいるが、競走馬が使うペーパーベッドもその一つだ。使用後は土に戻り環境負荷低減につながっている。

 「PCディスプレイと異なり、目に優しいのも紙の利点ですね。また、ネット通販の拡大によって梱包のための板紙の需要は世界全体で、これからもますます高まっていきます」

 古紙原料専門商社として創業80年を超える業界のパイオニアである同社は、次代を先取りする最新鋭技術を取り入れながら常に進化を遂げている。

 

栗原紙材株式会社

  • 創業/1938年4月
  • 資本金/5000万円
  • 年商/70億円
  • 従業員/320人
  • 事業内容/古紙の仕入れ・販売、書類保管業務および機密文書の情報滅却・再資源化処理。パルプモールドの製造販売
  • 所在地/東京都荒川区
  • 会社ホームページ/http://www.kuriharashizai.co.jp/

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年3月号
[特集]
環境が経済を動かす

  • ・総論 災い転じて福となせるか 持続可能な社会の成長戦略
  • ・越智 仁(三菱ケミカルホールディングス社長)
  • ・100年後を考える 世界最大級の年金基金「GPIF」
  • ・金融業界はこう動く
  • ・脱炭素化の遅れがはらむ「座礁資産」の危険性
  • ・脱炭素化で移行する「地域循環共生圏」とはどういう社会なのか!?

[Special Interview]

 中田誠司(大和証券グループ本社社長)

 「SDGsを経営戦略の根幹に据えることで企業は成長する」

[NEWS REPORT]

◆稲盛哲学を学ぶ盛和塾解散を塾生たちはどう聞いたか

◆米中経済戦争の象徴となった「ファーウェイ」強さの秘密

◆EV時代にあえてガソリンエンジンにこだわるマツダのプライドと勝算

◆それは自由か幸福か——「信用スコア」で個人の信用が数値化された世界

[特集2]関西 飛躍への序章

 大阪万博開催で始まる関西経済の成長路線

ページ上部へ戻る