政治・経済

4億6千万円のマンションの「唯一無二」とは

201803SUMITOMO_P01 不動産経済研究所が発表した資料によれば、2017年11月度の首都圏のマンション市場の1戸当たりの平均価格は5551万円。前年同月比で390万円アップしている。

 東京都区内に限れば、平均価格6258万円とこちらも前年比で上昇。ただ、どちらも平均の話なので、いわゆる富裕層が多い千代田、中央、港、渋谷、新宿、文京の都心6区の物件はさらに高く、中でも「3A」といわれる青山、赤坂、麻布の人気は別格で、この3Aを中心に良い物件を多くの金持ちが狙っているようだ。

 今回、その中で富裕層が狙うような物件として住友不動産が販売している「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」を訪ねた。そのマンションの最上階には、4億5980万円で販売している部屋があるというのだ。4億6千万円という金額を庶民はどう考えればよいか分からないが、読売ジャイアンツの菅野智之投手の来季の年俸が推定4億5千万円といわれている。ちなみに沢村賞、最多勝、最優秀防御率を獲っての年俸だ。

 さて、話が横道に逸れたが物件は、最寄りのJR四ツ谷駅から赤坂見附方面に向かい、迎賓館を左手に、学習院初等科を右手に見ながら歩くこと10分、7階建てのマンションとなる。高級感はあるがタワーマンションでもなく正直、これがあの値段の部屋があるマンションなのか、というのが本音。しかし、南側にまわると高級ホテルと変わらぬ車寄せがある。乗用車なら4、5台は余裕で待機できるスペースだ。

 A棟、B棟、C棟と、3つの棟からなる「ガーデンヒルズ四ツ谷 迎賓の森」にはコンシェルジュがおり、管理も24時間の有人管理で、件の4.6億円の部屋はA棟にある。

 現地のゲストサロンの眞喜志咲良さんによれば、見学者は月に60~70組訪れるというが、そのほとんどがいわゆる富裕層で年輩の方が多いという。

 こうした超高額の物件を買うような人はどんな人なのか聞いた話をまとめると、決め手となるのが、ここにしかない、「唯一無二」の何かがあること。

 例えば、タワーマンション最上階からの他にない眺望や物件がほとんど出てこない場所へのこだわりだ。そのため購入者は、都心のマンション事情に詳しく、良い物件が出てくるのを急がず、焦らず待っている。もちろん彼らはマンション購入も初めてではなく、何回か住み替えている。一般的に純金融資産1億円以上を富裕層と定義するが、むしろ、5億円以上を持つ超富裕層に近いクラスでなければ、ここまで高額なクラスになると手を出さないようだ。

 具体的に、どういう職業なのかというと多いのは医者。医者といっても、特に地方の病院経営者という立場で、セカンドハウスとして使っているようだ。

201803SUMITOMO_P02 では、このマンションの場合どこが唯一無二なのかといえば、目の前に広がる赤坂御用地だ。訪れたのはちょうど秋も深まった紅葉の季節、窓越しに見える景色は自然に任せたものではない。森を手入れするのは宮内庁。   

 さらに、森の向こうには赤坂や青山のビルが建ち、自然豊かな環境を享受しながら、都会的な眺めが楽しめるというワケだ。ベランダから登る階段の先にはスカイルーフテラスもあり、夏には明治神宮の花火大会も楽しめるはず。御所の森を借景にできる贅沢はお金では換算できない。

 ただ、どうしても気になったのが、四ツ谷駅から10分ほど歩かねばならないことと、周囲にスーパーもコンビニもないというところ。あるといえば、近くに明治記念館があるくらい。しかし、そんなことは関係ない。住人の移動はほぼ自家用車かタクシー。買い物も恐らくまとめて購入するか、配達してもらうのだろう。朝もあの車寄せに迎えの車やタクシーが列をなす。そもそも庶民の感覚で考えてはならないのだ。

 

【政治・経済】の記事一覧はこちら

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

家族葬のファミーユは家族や親族など故人の近親者だけで施設を貸し切って行う「家族葬」のパイオニアだ。創業者・高見信光氏は異端児と言われながらも旧態依然とした業界を変えてきた。その思いに共感し、異業種のリクルートから転じて社長を引き継いだ中道康彰氏も業界の常識を打ち破るため奮闘している。文=榎本正義(『経済界』2…

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

次世代車向け先進技術を応用する日本発プラットフォーマー ―イーソル

新社長登場

一覧へ

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

アサヒグループ食品の副社長から、この3月にアサヒビールの社長に就任した塩澤賢一氏。長年、ビール営業畑を歩み、マーケティングを兼ねた繁華街歩きを趣味にしている。街の変化から世の中の流れを読む塩澤新社長が挑むのは低迷するビール市場の活性化。若者需要を伸ばしつつ、スポーツイベントを商機として攻勢をかけていく。聞き手…

塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年10月号
[特集] 進撃のスタートアップ
  • ・スタートアップ・エコシステムの活性化
  • ・[スパイバー]2万5千円のTシャツは完売 実用化が迫った人工クモの糸
  • ・[Rhelixa]エピゲノム関連の研究・開発で人類の役に立つ
  • ・[チャレナジー]台風発電でエジソンになる ビジネス展開は「島」から
  • ・[エイシング]エッジで動く超軽量AIでリアルタイムに予測制御
  • ・[キャディ]製造業に調達革命! 町工場は赤字から脱出へ
  • ・[Clear]目指すは日本酒産業のリーディングカンパニー
  • ・[空]「値付け」の悩みを解決するホテル業界待望のサービス
  • ・宇宙ビジネスに民間の力 地球観測衛星やロボット開発
  • ・71歳で環境スタートアップを立ち上げた「プロ経営者」
[Special Interview]

 荻田敏宏(ホテルオークラ社長)

 「The Okura Tokyo」をショーケースに海外展開を進めていく

[NEWS REPORT]

◆戴正呉会長兼社長を直撃! なぜ、シャープは復活できたのか?

◆アスクル創業社長を退陣させた筆頭株主・ヤフーの焦り

◆サービス開始から3カ月で撤退 セブンペイ事件の背景にあるもの

◆絶滅危惧種ウナギの危機 イオンが挑むトレーサビリティ

[特集2]

 富裕層は知っている

・富裕層の最大の使い道は商品ではなく次代への投資

・シンガポールからケイマン諸島まで 資産フライトはここまで進化した

・年間授業料100万円超は当たり前 教育投資はローリスクハイリターン

・最先端の人間ドックは究極のリスクマネジメント

・家事代行サービスで家族との時間を有効活用

ページ上部へ戻る