政治・経済

 インターネット上の仮想通貨の取引所大手コインチェック(東京)で、1月下旬に仮想通貨「NEM(ネム)」が大量流出し、金融庁は2月2日、同社への立ち入り検査に踏み切った。

 1月中に業務改善命令を出し、同月13日までの報告書提出を求めていたが「利用者の保全などを確実にする観点から立ち入り検査に着手した」(麻生太郎財務・金融相)。加えて他の取引所にも安全管理体制などを報告するよう求めた。日本は世界に先駆けて取引所の登録制を導入し制度整備を進めてきた。

 それだけに、「異例のスピード対応は、面子を保ちたい金融庁の考えが透けて見える」(取引所関係者)との声も上がる。

 コインチェックは1月26日に外部からの不正アクセスを受け、顧客のネム約580億円分が流出した。同月28日には、流出したネムを預けていた全顧客約26万人に対し、総額約460億円を返金すると発表。ただ、返還時期や手続きの詳細についてめどは立っていない。

 金融庁は翌29日、改正資金決済法に基づき業務改善命令を発出。コインチェックの和田晃一良社長らを呼び事情を聴取したが、安全管理体制に不備があり、顧客への対応や原因究明についての説明も不十分だったことから、再発防止への取り組みなどを求める行政処分に踏み切った。仮想通貨市場に広がる不安を食い止める狙いもあったとみられる。

 さらに2月2日、金融庁はコインチェックへの立ち入り検査に乗り出した。流出した約580億円分の返金の根拠となる財務状況を開示しておらず、改善命令に基づく報告を待たずに、補償原資が十分かどうか早急に調べる必要があると判断した。仮想通貨取引所への立ち入り検査は初で、原因究明の検証が進んでいるかなども調査。検査官を常駐させる監視態勢も敷く。

 またコインチェックを除く31の仮想通貨取引所すべてに対し、安全管理体制などを報告するようにも命じた。日本では昨年4月に改正資金決済法が施行され、取引所に登録制を導入。金融庁幹部は、「迅速に業務改善命令が出せたのは、この(登録制の)体制があるからだ」と胸を張った。

 ただコインチェックは登録審査中で、改正法施行前からの事業者のため「みなし業者」として営業を続けていた。金融庁の素早い対応の裏には、「お墨付きを与えていないのに営業を許して、今回の事態を招いた」などという批判をかわす狙いもありそうだ。

 

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