政治・経済

【経済産業省 バイオ技術の活用戦略に提言内容を盛り込む見通し】

経済産業省は1月5日、農林水産業とともに遺伝子を組み換えた生物や植物を利用し、新素材や医薬品の開発につなげる有識者会合を開き、実用化に向けた提言をとりまとめた。産学官連携の基盤整備のほか、ベンチャー企業の設立支援や人材育成などを検討する。政府が今夏にも策定するバイオ技術の活用戦略に提言内容を盛り込む見通しだ。

 提言では、企業や大学などが協力して新事業を創出する産学官連携の重要性を強調した。関係省庁に対し、民間企業が参加する共同研究プロジェクトの推進やバイオ関連の中小企業へ投資を促す支援策を求めた。規制が不十分な遺伝子操作に関するルール作りも急ぐよう明記。参加した委員からは「海外の大企業に対抗するには省庁の垣根を越えた取り組みが必要」との意見が出た。

 遺伝子組み換え技術について、人工知能(AI)や膨大な情報の分析を行うビッグデータ技術の進展で、生物の遺伝子を効率よく改変する「ゲノム(全遺伝情報)編集」技術が急速に発達している。特定の機能を人工的に付け加えた新素材や健康に役立つ食品の開発への期待が高まっている。

 例えば、体内でタンパク質を生成するカイコの特性を生かし、特定のタンパク質を作るように遺伝子を組み換えたカイコを育て、医薬品や化粧品の原料に利用することもできる。

【経済産業省 バイオ技術成長戦略のカギは新素材で製造業や医療分野につなげること】

 既に、紫外線ライトを当てると緑色に光って見える「蛍光シルク」を作るカイコの大量飼育に成功している。このほかに、食品でも、スギ花粉の成分を含むことで花粉症を改善する効果を持つコメの研究などが進んでいる。

 日本は大手薬品メーカーの巨額投資などで、創薬部門での研究は進むが、農業部門への投資がきわめて少ないのが現状だ。海外では農業関連大手が農薬の開発に巨額の開発投資を行っており、バイオベンチャーの育成にも注力している。

 AIやビッグデータ技術で後れを取った日本は、遺伝子情報の解析では欧米に後塵を拝しており政府はバイオ技術での巻き返しを成長戦略の柱に位置付ける。生物や植物を活用した新素材で、強みを持つ製造業や医療分野の成長につなげるかが、成功のカギを握っている。

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