文化・ライフ

二宮清純の「スポーツ羅針盤」

高校サッカーの問題① 大会の過密日程を変えるべき

 今や「プレーヤーズファースト」はスポーツの世界の共通語である。

 選手の権利が弱い高校スポーツの現場でも、ついにこの言葉が飛び出した。

 口にしたのは今年の高校サッカー選手権の準優勝チーム流通経済大柏(千葉県)の本田裕一郎監督である。

 「高体連はプレーヤーズファーストを掲げているんだから、運営最優先ではなくもう少し選手を優先してほしい」

 本田監督が問題視したのは大会の過密日程だ。ノーシードから勝ち進んだ場合、10日間で最大6試合こなさなければならないのだ。

 優勝した前橋育英(群馬県)の山田耕介監督も、「致命的な負傷が起こりかねない」と危惧していた。

 「ベスト4に残った流通経済大柏、ウチ、矢板中央(栃木県)、上田西(長野県)はすべてシード校だった。ノーシードだと6試合戦わなければならない。5試合とでは全然、選手の肉体的な負担が違うと思います」

 大会は全国から48校が集まり昨年12月30日にスタートした。決勝は1月8日。10日間で全47試合を消化したことになる。成人式=決勝は長年の慣例だ。

 改善の余地はないのか。

 山田は語る。

 「成人の日を決勝にあてるのなら、そこから逆算して終業式が終わり、12月23日、24日から1回戦を始めた方がいい。そうするとプリンスリーグやプレミアリーグ参入戦も少し前倒ししなければならない」

高校サッカーの問題② 選手の将来を考えるのも指導者の責務

 ちなみにプリンスリーグとは日本サッカー協会が主催するユース年代の2部リーグだ。このリーグで上位に入ると1部にあたるプレミアリーグ参入をかけて試合に臨むことができる。

 今年のプリンスリーグ最終戦は12月10日、参入戦決勝は17日だった。

 この際、選手権のスケジュールだけでなく年間スケジュールにまで手を付けたほうがいいとの提案だ。

 高校サッカーの名門・東福岡(福岡県)の志波芳則総監督にも話を聞いた。

 「選手のコンディションを考えるとラグビーのように最低でも1日おきに行うのが望ましい。疲労が残った状態だと良いパフォーマンスは発揮できないし、けがをする確率も高くなる。元日は天皇杯の決勝だから外すとなると12月は31日、その前は29日、27日に試合をする。1月は2日、4日、6日。これなら8日に決勝を行っても最低でも中1日は確保できます」

 ノックアウト方式のトーナメントは、負けが許されないため、選手たちはケガをしていても、疲労がピークに達していてもグラウンドに立とうとする。

 選手の将来のことを考えれば、ストップをかけるのが指導者の責務だが、中には勝利を優先する者もいる。

 こうした弊害を生む要因のひとつが過密日程だとするなら、それを改めない手はあるまい。

 国民の「働き方改革」同様、高校生の「戦い方改革」も重要である。(文中敬称略)

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

グローバル化が進む中、多くのビジネスパーソンにとって英語力の向上は大きな関心事の1つ。日本人が相変わらず英語を苦手とする理由と解決策について、英語学習アプリで展開するポリグロッツの山口隼也社長を取材すると共に、同社が提供するサービスについても聞いた。(取材・文=吉田浩)日本でますます高まる英語学習熱  201…

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年12月号
[特集]
平成 ランキングで振り返る“時代”の経営者

  • ・バブル破裂で顔ぶれ一新 平成人気経営者の系譜
  • ・次の時代を創るリーダーとは?

[Special Interview]

 榊原定征(2025日本万国博覧会誘致委員会会長)

 「誘致決定まで1カ月 大阪万博を日本経済の起爆剤に」

[NEWS REPORT]

◆コンビニ軽減税率適用で激化する「外食VS中食」の戦い

◆「液晶のシャープ」が有機ELスマホを発売 初の国産パネルで攻勢をかける

◆「世界一高い」と認定された日本の携帯料金のこれから

◆チャネル政策を見直すトヨタ自動車の危機感

[特集2]

 北海道・新時代の幕開け

ページ上部へ戻る