政治・経済

 「何でもかんでも規制すればいいとは思わない」

 価格の乱高下が続くビットコインなどの仮想通貨に関し、麻生太郎財務兼金融担当相が1月12日の記者会見でこう述べた。中国や韓国、欧州は仮想通貨による脱税や犯罪への悪用などの防止のため、通貨取引の規制を強化している。そうした各国の動きに対しても、麻生氏は「他国のことに関してはどうのこうのというつもりはない」と述べ、当面は状況を見極める姿勢を強調した。

 その2週間後、不正アクセスにより仮想通貨交換所大手のコインチェック(東京)から約580億円相当の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出。日本でもにわかに規制強化に向けた動きが出始めているが、その動きは鈍い。仮想通貨には低いコストで海外送金できたり、通貨の価値が激変する新興国では一定の価値を持った通貨として利用できたりするなどのメリットも多い。その技術的な将来性も考慮してか、政府は規制に踏みこめないようだ。

 だが、規制強化に躊躇する最大の理由は、「仮想通貨の含み益による数兆円の税収」を見込んでいるためではないかとささやかれている。財務省や国税庁は明言していないが、「仮想通貨の売却で得た損益は基本的に雑所得になる。ある程度の税収増に貢献する」(財務省幹部)との見方を示す。

 取引所で売買をする株や外国為替証拠金取引(FX)が、20%の税率で申告分離課税の恩恵を受けている。だが、仮想通貨は申告分離課税制度が定められておらず、総合課税をされ、最高税率55%(所得税45%、住民税10%)をかけられる。

 さらに、株やFXなどと異なり、過去の投資による損失が出た場合、給与所得など他の所得との差し引き(損益通算)ができない。そのため、仮想通貨の税収は他の投資よりも大きくなると見られているのだ。

 ネット上では、「2017年度の仮想通貨の税収は9兆円に上る」という噂まで出回っている。ただ、仮想通貨交換事業者がかかわる不祥事で市場は活気を失い、仮想通貨の時価総額も激減しており、「9兆円規模の税収にはならない」(財務省関係者)というのが現実的な見方だ。

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