政治・経済

法案チェック、対案提出でオープンな国会論争を

 

 安倍総理が10月1日、3%の消費増税を発表した。

 税は政治そのものであり人々の生活に直結する。税そのものに対する賛否はもちろんのことだが、国民はそれを実行する内閣や国会への信頼、社会全体の状況等すべてを勘案して賛否を決める。

 1988年に日本で初めて竹下内閣が3%の消費税を導入した。大平内閣以来歴代内閣が何度か挑戦して果たせなかったが、竹下総理が総理の座と引き替えに導入した。

 3%を5%に引き上げる際も細川、村山内閣の挫折があって橋本内閣で実現したが、その後の選挙で惨敗して退陣した。

 政権交代した民主党政権で、野田内閣が消費増税実施を民自公の3党合意を取り付けて解散総選挙に踏み切って惨敗した。どの内閣も一代で消費税法案は成立させることができなかった。

 安倍内閣は消費税以外にも汚染水をはじめとする原発事故の処理、アベノミクス、TPP加入、社会保障、憲法改正、安全保障、司法から憲法違反と指摘された定数是正、地方分権等喫緊の課題を抱えている。

 遅きに失した感があるが、10月15日から臨時国会がようやく開催される。引き続きの通常国会と合わせての国会で安倍内閣、与党と野党の真価が問われることになる。

 衆参2回の選挙で自公政権は圧勝して衆参両院の与野党のネジレは解消した。自民党全盛時代、野党との論争より党内の派閥争い、族議員の跋扈等自らの奢りで自滅した。

 今回も圧勝しての政権だけに国民を忘れた自民党内の派閥のネジレ、自民党内での衆参のネジレ、政権内部での自公のネジレが重要法案に影響を与えかねない。

 民主党をはじめ多くの野党も選挙の完敗で混乱していて、反転攻勢の体制はまだ整っていない。国民は政権に決められる強い政権を期待すると同時に、野党に国会でのオープンな議論を通じて法案をチェックし対案を出して論争することを期待している。

 

国会が機能することが成長戦略の基本に

 

 安倍総理は国の将来を左右しかねない重要課題を国会に提出する。与党は長年決められない国会と批判を浴びてきた国政を、決められる国政にするチャンスだ。

 野党は国民の前で言論の府の力を発揮して、反転攻勢をかける絶好のチャンスだ。消費税国会はいつの国会も魔物が住んでいると言われ、何が起こるか分からない。

 消費税論争が引き金となって、あらゆる問題が吹き出し政界再編、政権交代にまで発展することもある。

 言わんや消費税以外にも時代を画する重要法案が目白押しだ。

 どの法案も、その1つの法案の成否がすべての法案を左右することになりかねない。十分な議論の積み重ねを通じて国会が機能することこそが、あらゆる成長戦略の基本となる。

 次期臨時国会、通常国会に魔物がいるかいないか、国権の最高機関である国会の在り方が問われることになる。大論争を期待したい。

 

視点 記事一覧はこちら

北川正恭氏 関連記事一覧はこちら

 
経済界 電子雑誌版のご購入はこちら!
雑誌の紙面がそのままタブレットやスマートフォンで読める!
電子雑誌版は毎月25日発売です
Amazon Kindleストア
楽天kobo
honto
MAGASTORE
ebookjapan
 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[特集 新しい街は懐かしい]

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次なるステージを駆け上がる日本電子「70年目の転進」–日本電子

 最先端の分析機器・理科学機器の製造・販売・開発研究等を手掛ける日本電子(JEOL)は、ノーベル賞受賞者を含むトップサイエンティストや研究機関を顧客に、世界の科学技術振興を支えてきた。足元の業績は2019年3月期で連結営業利益、同経常利益、同最終利益がいずれも過去最高を更新。かつては技術偏重による「儲からない…

独自開発のホテル基幹システムで業務効率化と顧客満足度を向上–ネットシスジャパン

逆転の発想で歴史に残る食パンを 生活に新しい食文化をもたらす–乃が美ホールディングス

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

非大卒就職マーケットの変革に挑む元教師の挑戦―永田謙介(スパーク社長)

日本企業の年功序列と終身雇用が崩壊に向かう中、制度を支えてきた大学生の新卒一括採用の是非もようやく議論されるようになってきた。一方、高校卒業後に就職する学生のための制度は旧態依然とし、変化の兆しがほとんど見えない。こうした現状を打ち破るべく、非大卒就職マーケットの改革に挑戦しているのがSpark(スパーク)社…

起業家にとって「志」が綺麗ごとではなく重要な理由―坂本憲彦(一般財団法人立志財団理事長)

勉強ノウハウと法律知識で企業の「働き方改革」を促進する―鬼頭政人(サイトビジット社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年7・8月合併号
[特集] 世界で売れるか!? 日本カルチャー
  • ・拡大のカギは「点」の活動を「面」にしていくこと
  • ・技術はあくまで手段。感動を生み出すことが市場を拓いていく 迫本淳一(松竹社長)
  • ・世界最大の中国市場 攻略のカギはどこにある!?
  • ・41カ所の海外店舗で和菓子の心を世界に 岡田憲明(源吉兆庵ホールディングス社長)
  • ・プロが認める商品として日本茶ブランドを構築 丸山慶太(丸山海苔店社長)
  • ・機能性とファッション性で再発見される地下足袋の魅力
  • ・日本を発信するビームス ジャパン 常設ショップ視野に海外でも販売
  • ・盆栽輸出量は16年で20倍 今や「BONSAI」は共通語
[Special Interview]

 大崎洋(吉本興業ホールディングス会長)

 数字じゃない存在意義が、より問われてくる

[NEWS REPORT]

◆アビガンで注目集める富士フイルム・医薬品事業の実力

◆100周年を襲ったコロナ禍 マツダは危機を乗り越えられるか

◆住宅から高級家具まで「ダボハゼ」ヤマダ電機の明日

◆抽選倍率100倍の超人気 シャープがマスク製造する真意

[特別企画]

 危機を乗り越える

◆緊急事態宣言で導入企業が激増 ビジネスチャットが変える働き方

◆在宅ワークの効率を上げる方法とストレスマネジメント

◆輸入依存の中国経済にコロナ禍がとどめの一撃 石 平(作家、中国問題評論家)

ページ上部へ戻る