政治・経済

世界経済の流れは中国・インドなどの新興市場国から先進国へ

 国際通貨基金(IMF)は去る10月8日、恒例の世界経済見通しを発表している。2013年の世界経済の成長率は2.9%と12年の3.2%を下回るが、14年には3.6%に上昇する見込みだという。14年の回復の原動力は大半が先進国地域によるものである。14年は先進国地域の成長率は13年の1.2%から2.0%に上昇、特に米国経済は2.6%、ユーロ国もマイナス成長から1.0%へ上昇するとしている。特にドイツは1.4%の成長率を達成すると見込まれている。

 他方、新興市場国および途上国の14年の成長率は5.1%、13年の4.5%より上昇するものの、11年の6.2%には及ばない回復だ。しかもIMFは前回7月の予測からこの地域の成長率を13年は0.5%、14年は0.4%下方修正している。先進地域もそれぞれ0.3%、0.2%下方修正をしているが、新興市場国・途上国よりその修正は小さくなっている。13年の世界経済の減速の主要因は新興市場地域であり、14年の回復の主因は先進国だというのだ。

 米国については一時連邦政府が閉鎖されたものの、債務上限は引き上げられ、経済成長率は今年の1.6%から14年には2.6%まで上昇すると予測している。住宅市場が回復し、家計も資産の上昇などに支えられ民需が堅調に推移することがその背景だという。ユーロ圏も一連の政策で金融危機から抜け出し14年には景気回復局面に入るとの予測だ。

 他方、中国とインドは13年にはそれぞれ7.6%、3.8%まで成長率が下降し、14年の回復も力強いものとは考えられていない。中国はさらに7.3%に減速、インドは回復するものの5.1%と11年の水準には達しないという予測だ。明らかに世界経済の流れは中国・インドなどの新興市場国から先進国へと移っていくという見通しなのだ。ロシアも13年には1.5%まで減速、14年の回復も3.0%と12年の3.4%を下回る。ブラジルも回復はするものの13年、14年とも2.5%。12年の0.9%より高いが、11年の2.7%より低いとされているのだ。また、中東、北アフリカ、アフガニスタン、パキスタンでは引き続き難しい政治状況が続き成長率は鈍化したままだとされている。

成長率至上主義から持続可能な成長を目指すべき

 この先進国シフトは新興市場国からの資金流出を招きリスクをさらに大きくしている。また、米国の金融緩和の縮小は世界市場の調整を加速し、特に新興市場国、途上国からの資金流出を加速する可能性がある。

 日本についてはIMFは13年は12年と同様2.0%の成長率を達成するとしているが、14年には1.2%まで減速すると予測している。日本の潜在成長率はほぼそんなものなので、2年間の景気回復期から通常のパターンに戻ると予測しているのだろう。英国やカナダなどのアングロサクソンカントリーも米国と同様順調で、それぞれ13年には1.4%、1.8%、14年には1.9%、2.2%まで成長率を高めるとしているのだ。

 14年の先進国全体の成長率は、前述したように2.0%と予測され、ここ数年で最も高い成長率なのだ。他方、新興市場国は14年に若干回復するものの5.1%と11年の6.2%より低い水準だ。これはある意味では世界経済の大きな構造変化だと言うことができるのだろう。11年までは中国は平均10%前後、インドは7%前後の成長率を10年以上続け、世界経済を牽引してきた。それが7%台と4~5%前後に成長率を落とし、逆に先進国が成長率を上昇させているのだ。世界経済の先進国シフトと言ってもいいのだろう。この流れが一時的なものなのか、あるいは今後も続いていくものなのかは現在の段階では不透明だ。しかし、もし継続するとなれば、世界経済の大きな構造変化が起こっているということになる。中国やインドもある種の転換局面に来ているのかもしれない。従来の成長率至上主義からよりバランスの取れた持続可能な成長を目指すべき時期に入っているのだろう。

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