文化・ライフ

 本屋で読みたい本を選んでいると、時間(とき)が過ぎるのが早過ぎて、驚くことがよくありますけれど、それは大切にしたい至福の時間です。

 私にとって読書は若い頃からの大切なストレス解消法のひとつ。しっかりと選ぶのは当然のことです。さまざまなジャンルの本を読みながら、自由に夢を見られたり、創造ができたり、胸がときめくことができるのですから、何と素敵な心の贅沢なのかしら、といつも思います。

 もちろん、囲碁の本を選ぶ時も楽しいひと時です。

 話は変わりますが、出版の予定で取材していたのに、編集者が急死なさり、その主人公の方も亡くなられ完結できなかった本があります。その後、追悼集となり、幻の出版物となったのですが、私にとってとても大事な本です。

 主人公は82歳で亡くなられた方。ニューヨークのソーホーで、初めてビルを購入した日本人女性です。囲碁をとおして出会い、さまざま教えていただき、影響を受けた方です。

「凛として潔く」と題した追悼集、まさにこのように生き抜いた方でした。

 すべてにおいて本物を大切になさり、ご自分の価値観を自信を持ってはっきりおっしゃるのが、いつも小気味よく耳にひびいたものです。

 戦争の混乱の時期をものすごいパワーで乗り越えていらした彼女の話は、何を聞いても興味深い話ばかりでした。

 亡くなる1カ月ほど前、「私は幸せな人生だったわ。行動したからよ、あなたも行動することよ」と手を握りしめてくださいました。そして「素敵な友人は宝よ」と加えて、「シンプル・イズ・ベスト」は彼女によく言われた言葉。追悼集ではなく彼女の人生を最後まで読み切りたい本でした。

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