政治・経済

 拉致議連の会長に就任してから10年余りが経過した。2002年、小泉訪朝で5人の被害者が帰国し、その後、家族の人々も帰ってきた。北朝鮮は残りの全員は死亡したとし、死亡診断書まで付け、横田めぐみさんの骨と称するものを返してきた。この遺骨を日本で分析したところ、全く別人の2人のDNAが検出され、真っ赤な偽物ということが判明した。日本側で疑問点が300余りあり、質問書を出したが、今に至るまで、なしのつぶてである。そして北朝鮮は全員死亡して誰もいなくなったので拉致問題は終わりで、もう拉致のにおいもしないとうそぶいている。しかし脱北者の証言などにより、家族の人々は皆、生存を信じている。

 また、ある日、忽然と行方不明になった人々が、全国で400人余りもいる。家族の方々は、この人たちも北に拉致されたのではないかと、特定失踪者の会を立ち上げ、政府の認定を心待ちにしている。われわれ拉致議連としても特定失踪者の家族の方にも仲間に入っていただき、政府へ認定を働き掛けている。

 国家テロといわれる拉致は、1970年代から80年代にかけて全国的に行われ、当初は政治家も政府もまさか拉致とは考えなかったが、02年の金正日の発言で、事実であったことが分かり、国民の怒りを買ったのであった。

 北朝鮮の拉致はこれだけでなく、朝鮮戦争勃発時、50年代に、北は南から8万人余りの拉致を行い、韓国には数で日本と比較にならない拉致問題がある。これも韓国の親北政権の存在で、ほとんど解決していない。

 もう1つの北の拉致は、日本のマスコミの一部もお先棒を担いだが、北は地上の天国という触れ込みで、60万人といわれた在日朝鮮人の中から、日本人妻8千人を含む、9万8千人の帰国を促した。帰国した人々は金日成の北朝鮮は、「地上の天国」という言葉に騙されて、新潟港から、華々しく帰国して行った。北朝鮮に着くと地上の天国とは嘘も嘘で、地獄が待っていて、彼らは毎年のように日本に送金を依頼してきたのであった。その額は天文学的な金額となり、強制収容所へ入れられる人もたくさんいたといわれている。この拉致もいまだに解決されていない。

 現在安倍政権では特使的な内閣官房参与が平壌に行き、それなりの交渉をしたようであるが、これまでの北朝鮮のやり口を見ると、どこまで信用して良いか確信が持てない。米国も強硬策に出ており、韓国も貿易で結び付いていた特区からの撤退等々、四面楚歌の状態になっている。頼るは人の良い日本だけとなり、北朝鮮ナンバーツーと日本の内閣官房参与との面談画像が全世界に流されるなど、北の魂胆が見え見えだから、余計心配になるのである。

 拉致議連の会長として一日も早い解決を望むが、しっかりと相手の出方を見極めることも大切だと痛感している。この件で、国民の税金が無駄に費やされることの無いよう、フォローをしていきたい。日本にある頼みの朝鮮総連の建物の競売も不調になった現在、北は相当、あわてているのではあるまいか。

 

視点 記事一覧はこちら

平沼赳夫氏 関連記事一覧はこちら

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[特集 新しい街は懐かしい]

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

総合事業プロデューサーとして顧客と共に成長する―中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

広告やマーケティング、ブランディングを事業プロデュースという大きな枠で捉え、事業が成功するまで顧客と並走する姿勢が支持されているグランドビジョン。経営者の思いを形にしていく力で、単なる広告代理店とは一線を画している。 中尾賢一郎・グランドビジョン社長プロフィール &nb…

中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

人材戦略を経営の核に成長する駐車場ビジネスのプロ集団―清家政彦(セイワパーク社長)

「PCのかかりつけ医」として100年企業への基盤構築を進める―黒木英隆(メディエイター社長)

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

20歳で探検家グランドスラム達成した南谷真鈴さんの素顔

自らの手で未来をつかみ取る革新者たちは、自分の可能性をどう開花させてきたのか。今回インタビューしたのは、学生でありながら自力で資金を集め、世界最年少で探検家グランドスラムを制した南谷真鈴さんだ。文=唐島明子 Photo=山田朋和(『経済界』2020年1月号より転載)南谷真鈴さんプロフィール&nbs…

南谷真鈴

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年1月号
[特集] 新しい街は懐かしい
  • ・「街の記憶」で未来をリノベーション
  • ・日本橋が「空を取り戻す」水辺と路地がつながる街へ
  • ・水辺はエンタメの宝庫だ 大阪が目指す観光客1300万人
  • ・街の誇りを取り戻せ 名古屋・堀川復活プロジェクト
  • ・なぜ水辺に都市が栄えるのか
  • ・2020以降は海と川がさらに面白くなる
  • ・「住む」と「働く」両方できるが求められている(たまプラーザ)
  • ・「土徳」が育む一流の田舎(南砺市)
  • ・音楽ファンが集う街づくり
[Special Interview]

 辻 慎吾(森ビル社長)

 東京が世界で勝ち抜くために必要なこと

[NEWS REPORT]

◆飛びたくても飛べないスペースジェットの未来

◆エンタメが街を彩る 地方創生に挑むポニーキャニオン

◆問題噴出のコンビニをドラッグストアが抜き去る日

◆始まった自動車世界再編 日本メーカーはどう動く?

[特集2]

 経済界福岡支局開設35周年記念企画

 拓く!九州 財界トップが語る2030年のかたち

ページ上部へ戻る