国際

成熟社会を迎え、子どもの教育、就職、働き方など、さまざまな面において、これまでのやり方が機能しなくなってきた日本。難病を抱えながら息子とともにハワイに移住し、事業家として成功を収めたイゲット千恵子氏が、これからの日本人に必要な、世界で生き抜く知恵と人生を豊かに送る方法について、ハワイのキーパーソンと語りつくす。

マキ・コニクソン氏プロフィール

マキ・コニクソン氏

(まき・こにくそん)1967年生まれ、東京都出身。ワシントン大学卒業後、日本の大手テレビ局に就職。約1年後に退職してフリーランスとして通訳やテレビ番組のキャスティングなどを行う傍ら、英会話教室も運営。結婚後、オーストラリア、ワシントンDCなどに住んだ後、ハワイに移住。日本のメディアの海外ロケなどで、ロケのプランや撮影場所の確保などのコーディネート業務を手掛ける。芸能人やアスリートのなどと広い交友関係を持ち、有名人のSNSなどにも頻繁に登場する。モデルをはじめ、芸能人、業界人、スポーツ選手などからの指名率ナンバーワンのカリスマコーディネーター。現在はハワイの枠を超えて、世界各国での撮影のアレンジを行う他ブランドプロデュースやイベントのオーガナイズなど多方面で活躍している。

 

マキ・コニクソン氏がハワイに来た経緯

 

大手テレビ局に就職するもすぐに退社

イゲット マキさんがハワイに来られたのは何年前になるのでしょうか?

マキ 22年前、あっという間ですよね。

イゲット 引っ越されてきたのはどんな経緯でしょうか?

マキ もとの旦那さんが海軍のパイロットでした。オーストラリアとワシントンDCを経て、次の赴任地がハワイ。それで引っ越してきました。

イゲット その前はワシントン大学卒業後、テレビ局に就職してすぐに退職したんですよね。

マキ アメリカの大学を卒業して、中途入社でテレビ局に入りました。ただ、制作が好きだったのですが、違う部署に配属されたんです。本来はインタビューなどをやりたかったんですよ。

 それこそ35年前は昭和の時代で、社内でタバコを吸うのも当たり前で、セクハラもバンバン受けて、そういうのも嫌で。今思えば可愛がられていたんだとも思いますが、当時は尖ってましたね。給料は良かったのですが、こんな感じでずっと行っていいのかなと。若かったなとは思いますが、人生ってやっぱり行動あるのみと思ったんです。それで辞めました。

フリーランスで通訳・キャスティングに携わる

イゲット 退社した後はフリーでやっていたんですか。

マキ そうです。23歳のときかな。自分のコネクションがいっぱいありましたし、番組制作会社の人も知っていたので。ご存知かどうか分かりませんが、逸見政孝さんの番組のレポートをやったりもしてたんですよ。

イゲット え、レポーターもやっていたんですね。

マキ 米軍の横須賀基地にインタビューに行く仕事があって、その制作の進行役で行ったのですが、そこのレポーターのモデルの女の子が、インタビューが下手で取材が出来なかったんです。それで私が横でバックアップしたのがきっかけです。そうしたらディレクターが「もうマキちゃんがやった方が良いよ」と。

 いろいろな番組で通訳などもやっていました。通訳ってその人の心をそのまま繋げなきゃいけないから大切なんです。あと、特に楽しかったのは外国枠のキャスティングです。タレントさんともすごい仲良くなれましたし。もとの旦那さんともテレビの仕事で出会ったんですよ。

イゲット え、そうなんですか。

マキ 番組の企画で知り合いました。でも彼がオーストラリアに転勤になったので、仕事を辞めて一緒に行ったんです。当時は自由が丘で英会話サロンもやっていて、生徒さんが800人くらいいたのですが、それも辞めました。 

イゲット フリーランスの仕事をしながら英会話学校もやっていたんですね。

マキ 自分の中で、30歳までに結婚して子供を産むって決めていたから。潔かったですね。

イゲット オーストラリアでは何をしていたのですか?

マキ 主婦ですよ、主婦。南半球だったので、彼とバヌアツやフィジーやニューカレドニアに旅行に行ったりして、本当に楽しかったです。旅するといろんな発見があって、それが世界を回るようになったキッカケになったのかもしれませんね。

 

マキ・コニクソン氏のハワイでの仕事

 

コーディネーター、プロデューサーとして活躍

 イゲット いろんなお仕事をされていると思うんですが、コーディネーター業だけじゃないですよね?

マキ ハワイでプロダクションとかエンタープライズなど、正社員とアルバイトを含めて150人ぐらいを束ねています。なので、「母ちゃん頑張んなきゃ」みたいな(笑)

 コーディネーターというよりプロデューサーとして動いていますね。いろんな撮影にしても、場所を決めて、ここでタイアップを持ってくるみたいなことも全部。企画から撮影まで全部やっているんですよ。だからどこの国にいっても、あ、「ここで撮影できるな」と思ったら、キーパーソンと話してきます。いろんな事情で訪れた場所が、ロケ現場になっているんです。

イゲット もう世界中にコネクション作ってきた、みたいな?

マキ そう。「世界!弾丸トラベラー」っていう番組を5年やっていたんですが、そのキャスティングとプロデュースをやっていた時に、世界中のコーディネーターと会ったんですね。ネットワークが増えて凄く良かった。宝ですよね。

イゲット ビジネスの面で、スタッフがそれだけたくさんいらっしゃる中、どうやってマネージメントしているのですか?

マキ 私は、本当にお金の計算が出来ない人なんですよ。だから、パイロットだった元旦那が軍をリタイアして担当してくれています。彼は大学でファイナンシャルのマスターを取っているんです。子供のパパでもあるし、パートナーです。

イゲット 今はもとの旦那さんと一緒に、会社の経営をしているのですか?

マキ 一緒に経営をしています。パパとママの仲が良いから、子供たちも喜んでます。

クリエイティブで好きなものだから頑張れる

マキ 例えばプロモーションでも何でも自分のペースでやっていて、11店舗くらい持っているんですよ。

イゲット 何をやっているんですか?

マキ ハワイ限定販売の契約で、日焼けスヌーピーの販売やムーミンショップ・ハワイを展開しています。あとは、メイド・イン・ハワイのオーガニックブランドであるマリエオーガニックと、ベアフィットドリームス。業務委託で洋服屋さんのミコモリと携帯ケースのユニケースも扱っています。

イゲット すごい!

マキ 今日もスタッフミーティングを行って、「次のデザインどうする?」とか話し合ってきました。クリエイティブなことが大好きなんです。

 絶対日本では売らないように!みたいな。インターネットで売ってしまうのは簡単じゃないですか。お金になるかもしれないけど、それをやったら夢がなくなると思っています。日焼けスヌーピーだって、ハワイでしか買えないから良いんじゃないでしょうか。

イゲット ハワイ限定にするんですね。

マキ そうしたらみんな飽きないし、もっと欲しくなる。だから誰かに頼んでハワイで買ってくるというふうになりますよね。

イゲット クリエイターでかつ、マーケッターの人って多分少ないと思うんですけど、マキさんはそうなんじゃないですか?

マキ クリエイティブでマーケティングもできますね。

マキ・コニクソン氏とイゲット千恵子氏

「好きなものだから頑張れる」というマキ・コニクソン氏とイゲット千恵子氏(右)

マキ・コニクソン氏の人脈と人間力

 

一流の人達に共通する点とは

 イゲット 多くのアスリートや芸能人などと交流されていますが、一流の人達に共通する点はありますか。マキさんが、人と交流する上で心掛けていることとか。

マキ 私が仲良くしてもらっている人たちはみんな本当に、普通の人です。「私はこれよ!」っていう人は1人もいません。それが共通点ですかね。

イゲット なるほど。

マキ 大物ほど腰が低い。大物ほど人に優しい。大物程人にフェア。もちろん嫌な人も見たことはあります。そういう人は反面教師で、絶対こういう風にはならないぞ!と、思っています。

 すごくラッキーなことにプロダクションをやっていると、いろんな人と会う機会があるから、日々が本当に勉強です。で、そういう人達と仲良くなるじゃないですか。うちでよくパーティーをするんですよ。そこで、アーティスト、スポーツアスリート、俳優、女優など、会ったことのない人達がいっぱいいて、みんな仲良くなって「良い人が揃ったね」ってなります。気が合うんです。

イゲット へぇ~。

マキ 私は本当に恵まれているな、って思います。皆さん連絡もくれるし、居心地の良い同士が集まってくるんです。

ンチの時のハンドリングで、人のキャパが分かる

イゲット お仕事でいろんなところに行って、さまざまなトラブルもあったと思うんですけど、その中でも凄く困ったことはありましたか?

マキ いっぱいありました。

イゲット 問題解決能力みたいのがないと難しいですよね。

マキ ピンチがチャンスなんです。人は本当にピンチになった時に、みんなを安心させなきゃいけないと思います。リーダーが、「大丈夫!」って言うと皆が「大丈夫かも」って思うじゃないですか。

 でも実は心の中はバクバクしているんです。そういうピンチの時のハンドリングで、その人のキャパが解ると思う。だからイコール、ピンチこそチャンスだと思うんです。

イゲット 具体的なエピソードはありますか?

マキ イタリアのシチリア島での撮影の時の話です。「世界!弾丸トラベラー」で有名カメラマンとタレントさんと一緒だったのですが、みんな日本でパツンパツンに仕事を入れていて、絶対に帰らなきゃいけかったんですが、飛行機が取れていなかったことがありました。

 でも(航空会社に)「払い戻して」というのは効かないんです。もう「チケットを買い直してください」という感じで。スタッフ12人くらいが「えー!」ってなって、みんなパニクっていたので「大丈夫!買えば良いじゃん! これがイタリアなんだから!」ってみんなをなだめたんです。

 別の便はもう一杯だったので「別経由で帰ろうよ、大丈夫だよ! 明日までに帰れれば良いんでしょ?」って。

 結局、私とディレクター以外は全員帰れたので、私と、ディレクターは2人でローマ経由で帰ろうということになりました。トリビアの泉に行って、美味しいピザを食べて、ローマは楽しかったのでラッキーでした。もうありえないことが本当にあるんです。

 キングフィッシャーでも、チケット代を払っているのに予約が入っていなかったことがありましたね。それで私たちみんなロケ隊は、香港経由で入って香港経由で帰ってきました。で、「皆で楽しかったね!」って。反対に良い思い出になるわけです。普通の完璧なロケだったら、あまり覚えていないんだけど、何かアクシデントがあると、その時の事は今だに覚えていますね。

 うちのスタッフいわく、ピンチになると「マキさんニヤッとなる」らしいです。

イゲット (笑)。わかる気がします。問題解決の時に、AプランBプランCプラン、何通りくらい用意しておくのですか?

マキ 大体5通りくらいから選べるようにしておきます。このパズルが最高に楽しいんです。

マキ・コニクソンというコーディネーターとして名前が売れたのは、やっぱりピンチをいっぱい切り抜けて、ハンドリングしたからのような気がします。

イゲット 解決力っていうのが全然違うんですかね。

マキ ピンチが私にとって腕の見せどころ。輝く場所なんですね。

イゲット 事業は好きなものが増えたら、もっと増えていくみたいな感じでしょうか?

マキ そう!好きなことがあったら、また何かやりたいです。

イゲット 私たちうっかりすると120歳まで生きちゃうから、まだまだたくさん事業展開できますよね。

マキ すごく楽しみ!

 

(いげっと・ちえこ)(Beauti Therapy LLC社長)。大学卒業後、外資系企業勤務を経てネイルサロンを開業。14年前にハワイに移住し、5年前に起業。敏感肌専門のエステサロン、化粧品会社、美容スクール、通販サイト経営、セミナー、講演活動、教育移住コンサルタントなどをしながら世界を周り、バイリンガルの子供を国際ビジネスマンに育成中。2017年4月『経営者を育てハワイの親 労働者を育てる日本の親』(経済界)を上梓。

イゲット千恵子氏の記事一覧はこちら

関連記事

好評連載

グローバルニュースの深層

一覧へ

習近平政権下の中国経済と新時代の到来

[連載] グローバルニュースの深層

グローバルニュースの深層

[連載] グローバルニュースの深層

原油事情に関するロシアの分析

[連載] グローバルニュースの深層

プーチン露大統領の内外記者会見

[連載] グローバルニュースの深層

中間選挙後の米国を展望する

[連載] グローバルニュースの深層

中国を制するものは世界を制す

変貌するアジア

一覧へ

鴻海によるシャープ買収のもう1つの狙い

[連載]変貌するアジア(第37回)

[連載]変貌するアジア(第36回)

SDRの一翼を担う人民元への不安

[連載]変貌するアジア(第33回)

開催意義不明の日中韓首脳会議

[連載]変貌するアジア(第32回)

朱立倫の総統選出馬と台湾海峡危機

津山恵子のニューヨークレポート

一覧へ

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第20回)

CESの姿が変わる花形家電よりもネットワークに

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第19回)

米・キューバ国交回復のインパクト

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第18回)

クリスマス商戦に異変! 店舗買いが消え行く

[連載] 津山恵子のニューヨークレポート(第17回)

格差問題が深刻化する米国―教育の機会格差解消にNY市が動き出す

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

【特集】2019年注目企業30

 2018年の日本経済は、世界のマーケットを席巻してきた中国経済の成長鈍化が鮮明になり、併せて米・中の経済摩擦、英国のEU離脱問題などの対外的な課題が重なって大きな閉そく感が漂う年だった。 しかしながら元気な中堅・中小企業はネガティブな要因をものともせず独自の経営手法で活路を開いている。 原点回帰で、顧客第一…

「超サポ愉快カンパニー」としてワクワクするビジネスサイクルを回す―アシスト

ITと建設機械、グリーンエネルギーの3本柱で地球環境問題解決に貢献する―Abalance

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年4月号
[特集]
日本の「食」最前線

  • ・総論 日本の「食」から世界の「食」へ 成長産業となった農水・食品産業
  • ・「食」の輸出1兆円を支えるジェトロの役割
  • ・全国で進むブランド化「食」から始まる地方創生
  • ・上海で見た日本の「食」の未来
  • ・海外進出した外食チェーン「成功」と「失敗」の分かれ目
  • ・日本人が知らない中国の「日本食ブーム」の真実
  • ・消費税引き上げで始まる「外食VS中食」最終戦争

[Special Interview]

 星野晃司(小田急電鉄社長)

 「未来を見据えた挑戦で日本一暮らしやすい沿線をつくる」

[NEWS REPORT]

◆中国リスクが顕在化 電機業界に再び漂い始めた暗雲

◆持続可能な水産業へ 魚はいつまで食べられるのか

◆CES 2019現地レポート 家電からテクノロジーへの主役交代が鮮明に

◆相次ぐトラブルで業績悪化 SUBARUの見えない明日

[総力特集]

 2019年注目企業30

ページ上部へ戻る