政治・経済

経済成長失速に消費増税が追い打ち

 わが国の2013年第4四半期のGDP統計(速報値)が発表された。厳しい結果であった。

 エコノミストの事前予測の中央値が前期比0・7%、年率換算2・8%だったにもかかわらず、現実は前期比0・3%、年率換算1%。全エコノミストの最低予想値まで下回ってしまった。つまり、アベノミクスによる経済成長路線は失速しつつある。

 無論、4月の消費税増税が無ければ、「デフレ脱却前の中だるみ」で済ますこともできないことはない。何しろ、日本は15年間もデフレに苦しめられていたわけで、一直線にデフレ脱却できるとは思えない。

 問題は、経済成長率が失速したタイミングで、さらに経済成長率を押し下げることが確実な消費増税が行われることだ。

 ところで、GDPデフレータは前期比プラス0・1と、12年第4四半期以来のプラスを回復した。とはいえ、GDPデフレータの前年同期比はマイナス0・4%。デフレータで見ても「デフレ脱却道遠し」という段階で、消費税増税が実施されることになる。

 細かい数字を見てみると、民間最終消費支出が0・5%。民間住宅が4・2%、民間企業設備が1・3%、政府最終消費支出が0・5%、公的固定資本形成が2・3%、輸出が0・4%、輸入(控除項目)が3・5%。輸出は確かに増えているが、輸入の増加が大きく、外需の寄与度はマイナス0・5%となっている。

 民間需要を見ると、耐久消費財の消費が増えているのは確かだ。これは、もちろん消費税増税前の駆け込み消費であり、4月に落ち込むことは明らかである。また、住宅投資や設備投資も意外に底堅く、公的固定資本形成も減速しているものの、プラスを維持した。

 問題は、輸入の増加ほどには輸出が増えない、という点に尽きる。輸入が増えている原因は、今さら書くまでもないが、原油・天然ガス等、鉱物性燃料の輸入増加である。原発を再稼働させないことが、GDP成長の足を引っ張っているのだ。

 13年第4四半期ではなく、13年通年を見ると、実質GDPは1・6%の成長だった。13年の成長を牽引したのは、民間最終消費支出(寄与度1・3%)と、公的固定資本形成・政府最終消費支出(寄与度0・9%)という公的需要である。

経済成長失速で消費増税ができなくなる

 危惧しているのは、13年の成長の柱の1つであった公的固定資本形成(公共投資から用地費などを除いたもの)が、第4四半期は2・3%と、第3四半期(7・2%)、第2四半期(6・9%)と比べ、明らかに失速してしまっていることだ。財務省は現在、地方自治体に対し、

「予算を繰り越して使ってほしい」

 と、異例の予算繰り越しを呼び掛けている。すなわち、公共事業について、自治体に単年度主義の返上を促しているのだ。

 公共事業予算が消化されない理由は、人手不足と公共調達に際した予定価格が低過ぎることだ。人手不足で人件費が高騰し、それにもかかわらず予定価格が(十分には)上がらないため、応札不調が増えているのだ。

 さらに、財務省は補正予算の早期実施について、各官庁に「数値目標」を設定するという、これまた前例がない要請をしている。財務省が「カネを使え!」と、自治体や諸官庁に呼び掛けているのだ。もちろん、財務省の呼び掛けの裏には、「国民経済の成長」ではなく、

「このままでは4月以降に経済が失速し、15年のさらなる消費税増税ができなくなる」

 との危機感がある。

供給能力回復に向けタブーなき議論を

 いずれにせよ、現在の人手不足(土建だけではない)を解消しないことには、予算消化も順調にいかず、4月の民需落ち込みを公的需要でカバーすることはできない。人手不足解消のためには、公共調達の予定価格を引き上げ、さらには企業同士の「ワークシェアリング」を認める必要がある。独占禁止法の緩和、すなわち現在の危機を乗り越えるために、ある程度の「談合」を認めるのだ。

 もともと、わが国は「指名競争入札」と「談合」というシステムにより、

「各地で企業が、ある程度の競争を伴った形で存続し、公共インフラの質を高める」

 を実現していた。ところが、1989年の日米構造協議以降の公共事業の一般競争入札化、談合叩き、さらには橋本政権以降の公共投資削減により、土木企業、建設企業のパワーは細っていく。既にわが国は、土建大国ではない。

「東北復興、防災、耐震化、インフラメンテナンス、東京五輪の準備は、やらなければならないから、やらなければならない」

「土建小国と化した以上、公共調達関連はコスト削減ではなく、供給能力の回復に努めなければならない」

「4月以降の経済失速を防ぐためにも、公共事業の予算を消化しなければならない」

 わが国はかつての強靭な土木、建設の供給能力の回復を目指し、「公共調達価格の予定価格引き上げ」「指名競争入札復活(一部、復活している)」「談合、ワークシェアリングを認める」「政府が率先して資金を投じ、人材教育事業を行い、失業、生活保護から〝労働〟へと国民を誘導する」などについても、タブー視せずに議論すべき時期が来たのである。

 4月危機を乗り越えるためにも、政府はやれることはすべてやるべきだ。

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