政治・経済

日本食を世界に展開するための仕組みをつくる

 和食が世界遺産に登録されて、日本食というものへの注目が今一度高まっています。

 一方で、レストランについて言うと、ミシュランの星が一番多い街は東京で、東京のほうが本場のパリよりも星が多いという状況があります。日本は確かに食材に恵まれ、一流のシェフにも恵まれ、そして何といっても食の愛好家が多く、日本人の舌は非常に高いレベルにあります。

 和食、日本食というものが世界で非常に注目される中で、これをどのように世界に展開すべきなのか、どういうシステムで支えるべきなのか、という議論があまり進んでないように思います。

 政府がさまざまなことを検討していて、クールジャパンの中の1つの検討項目としても、この和食は入っています。これは大いに歓迎したいことですが、和食というものの促進策とルールづくりをもっと厳しく改善していったら、日本経済の力となるのではないかと思うのです。

 なぜかと言うと、現在日本食の世界でも、食の偽装が問題となってます。例えばエビの名称の問題で、消費者庁がガイドラインをつくろうとしていますが、罰則規定がないので、悪用したところが内部告発でもされない限り、「ばれなければそれで済む」という話になっていると思います。

 そういう点を積極的に改善するならば、例えばイタリアがやっているように、海外にある和食屋さんで、日本食としてある基準を満たしたら、政府として認定していくことをどんどんやったほうがいいと思います。各国の日本大使館が現地の和食屋さんを積極的に認定していくべきです。

原産地呼称制度を競争力の高い食材に導入

 もうひとつは、原産地呼称認定制度というものがあります。法律で原産地を呼ぶ時のルールをきちんと決めていくべきではないかと思います。

 原産地呼称認定制度で一番有名なのはワインです。

 例えばフランスは法律として、ブルゴーニュのワインを名乗るのはブルゴーニュ地方で採れたものでなければ駄目だとしています。ブルゴーニュ地方の中ではブドウの品種も決まっていて、エリアも決まっています。違うところで作られたワインをブルゴーニュワインと言うと、これは法律違反になり罰せられます。フランスでは、こういったことを厳しくやっています。

 日本で原産地呼称認定制度があるのは、薩摩焼酎や白山のお酒など一部だけです。これだけ酒や焼酎がある中で何か変な感じがします。長野県では、田中康夫さんが知事の時、自主的に原産地呼称認定制度をワインに入れようとしていたそうです。

 やはり日本全体として、原産地呼称認定制度を、競争力のありそうな食材に取り入れていくべきです。お酒類はもちろんのこと、例えば、ポンカン、柚子などに入れていくと、その土地の付加価値も高まりますし、国際的に出ていった時の信頼感が得やすいと思います。

 大間のマグロなども原産地呼称認定制度で付加価値を上げたほうがいい。特に水産物に関して言うと、水揚げした漁港が産地かのように謳われている場合もあるので、これはきっちりと原産地呼称認定制度を適用すべきです。例えば、下関のフグと言っても、実は浜松から持っていって下関で水揚げしたりしているので、こういうことは改めるべきと思います。

 原産地呼称認定制度みたいなものをきちんと整備することをぜひやってほしい。これは法律でやるのか、ガイドラインでやるのかはどちらでもいいと思いますが、政府がかかわったほうがよいと思います。ある一定のオーソリティー、政府の管理の下にこういうシステムをつくって、認定制度が運用されていくと、輸出にもつながりますし、和食そのものの信用底上げにもなります。こういうことをきちんと決めるべき時期にきたのではないかと思います。

原産地呼称制度の整備は国が中心となるべき

 日本には農協がありますが、認定制度の整備・運用に際して農協がネックになるかどうかは分かりません。幸いなことに農協は地域単位になっているので、原産地は農協単位になる可能性があり、むしろ農協はウェルカムと言うかもしれません。

 まだ大きな問題が起こっていないうちに、原産地呼称認定制度を国が中心となってきちんと整備すべきです。それをすることによって、和食の世界的競争力が上がり、和食、日本食の信頼性が上がります。

 そして、これからますます多くの世界の人々が日本食をトライし、日本食に慣れていくという、そういうポジティブフィードバック、正の循環が生まれるといいなと思います。そのきっかけはやはり政府がつくっていくべきではないかと思います。

 

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