国際

中間選挙を控え共和党内の身内争いが勃発

 2014年は中間選挙の年だ。そのため、さまざまな政治団体の活動が活発化する。中でも注目されるのが、野党共和党の動きだ。

 オバマ大統領にとっては、上院の多数派を維持し、下院の与野党逆転を解消したいところだが、現状は変わらないだろう。問題は、このねじれ議会が変わらない中で、共和党員の顔触れが変わるか変わらないかという点だ。

 現在、上院は民主党が55議席、共和党が45議席を占める。米紙ニューヨーク・タイムズによると、今年の選挙の結果、民主党の維持の可能性が高いのが45議席、共和党は43議席。ノースカロライナ州、ウェストバージニア州などで民主党の議席を共和党が奪う可能性があり、逆にジョージア州、ケンタッキー州などで、共和党の議席が民主党になると見ている。

 中でも注目されるのが、30年近くケンタッキー州で選出されている共和党のミッチ・マコネル氏の行方だ。ベテランで同党のスポークスマンでもあるマコネル氏は、あろうことか、身内の共和党候補に追い上げられており、一本化が決まるのが5月20日の予備選挙である。

 マコネル氏の議席を狙うのは、複数の保守強硬派団体が推薦するビジネスマンのマット・ベビン氏。全米で、マコネル氏など中道に近い共和党議員を引きずり下ろそうとしている強硬派は、「マコネル氏(ら中道派)が、ワシントンのがんだ」とまで言う。

 これに対し、マコネル氏は「全米で彼らを打ちのめす」とニューヨーク・タイムズに語っている。

 保守強硬派は、彼らの代表をワシントンに送り込むため、激しく選挙資金集めをしている。その代表格が「上院保守基金」で、ワシントン中心部にタウンハウスまで借りた。

 まだ3月だというのに、マコネル議員陣営は、基金を批判する広告をケンタッキー州で展開しているという。いかに保守強硬派の攻撃が強いかを物語る事実だ。

勢力を増す保守強硬派が影を落とす

ティー・パーティーに抗議する市民(写真:時事=AFP)

ティー・パーティーに抗議する市民(写真:時事=AFP)

 保守強硬派は、オバマ大統領就任直後の09年に誕生した「ティー・パーティー(茶会)」に端を発する。1773年、ボストンで独立派が、英国の東インド会社が輸入した紅茶の箱を海に投げ込んだティー・パーティー事件をきっかけに、米国は独立戦争に突入した。この事件の標語が「代表なくして課税なし」だ。転じて、増税に代表される「大きな政府」に反対する保守派が、紅茶のティーバッグを破ったりすることは、オバマ政権前にもあった。

 ところが、09年に全米に広がったティー・パーティーの運動は、10年の中間選挙、12年の大統領選挙の際、自分たちの代表を議会に送り込むことに成功した。その流れが、今年の中間選挙でも強まっている。

 ティー・パーティーの立場を整理しておこう。対外干渉絶対反対、絶対自由貿易、連邦準備制度反対、移民絶対反対、企業活動の規制反対、増税反対、民兵の完全武装支持(=銃の規制反対)が彼らの主張だ。

 「反対ばかりで、打ち出すものが何もない」との批判もあるが、支持する有権者はいる。

 ティー・パーティー支持者の87%は白人だ。また、60%が50歳以上で、46%が学士号以上の学位を持ち、64%が保守的報道が売りのFOXニュースを情報源としている。高等教育を受けた中高年層以上の白人が支持者の核となっていることがよく分かる。

 共和党内の舵取り役であるジョン・ベイナー下院議長やマコネル氏らベテランの党幹部は、ティー・パーティーをはじめとした保守強硬派の追い上げに危機感を募らせている。

 党に貢献してきたベテラン現職の議席が危ないという個人レベルの問題ではない。昨年、連邦予算の成立を遅らせ、政府閉鎖に追い込んだ下院共和党の戦略は、直後の世論調査で、多くの有権者がそっぽを向いたことが判明した。連邦法が成立せず、ワシントンが膠着状態に陥っているのは、ねじれ議会の弊害と言えるが、多くの有権者は共和党を悪者と見ている。こうした状況下で、ベーナー議長らは、強硬派のこれ以上の膨張を看過できないのだろう。

 マコネル氏は、ニューヨーク・タイムズに対して次のように語っている。

 「政治の世界は敗者を好まない。(強硬派が)何も争点を明確にできない(で反対ばかりする)のでは、存続しないだろう」

 対立する民主党と同じく、強硬派を認めない方針であることがよく分かる。

 共和党は、実は、黒人奴隷を解放するため、南北戦争を指揮したエイブラハム・リンカーン大統領が設立した党である。アメリカ合衆国の独立宣言が唱った共和制を取り戻そうと、「共和党」と名付けられた。

 現在の共和党強硬派は、特に移民反対などを掲げ、奴隷のために闘うということはないだろう。リンカーンの設立当時から比べると、急速な右傾化が進んでいる。

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