政治・経済

好況感も後押してか、最近、コンビニエンスストア(CVS)各社で客単価の上昇が見られる。しかし、チェーン間の出店競争や大手スーパーの小型店の台頭など、市場環境は決して予断を許さない。業績好調なファミリーマートの戦略を検証する。 (本誌/大和賢治)

〝プレミアム〟が牽引

 コンビニ3位ファミリーマートは、既存店売上高が6カ月連続で対前年比をクリアするなど業績が堅調に推移している。

 牽引しているのがプライベートブランド(PB)「ファミリーマートコレクション」と、高単価への誘導を実現した「ファミマプレミアム」シリーズの善戦だ。これは近年、顕在化している消費の2極化、いわゆる〝プチ贅沢〟ニーズを取り込めたことが最大の勝因と言える。

 同社のプレミアムシリーズ「ファミマプレミアム」は、一昨年10月から発売した「プレミアムチキン」で人気に火が付きシリーズ化に踏み切った商品群だ。

 これらの商品は単価も取れるが、何より粗利が大きいのが魅力であり強みだ。「プレミアムチキン」は、素材、製造法、見た目にこだわったため、通常価格140円に比べ約3割高い180円に設定したにもかかわらず、発売当初は売り切れが続出するほどの人気を博すこととなった。この結果を受け同社では〝プレミアム〟に対する潜在ニーズが高いと判断、昨年7月に「プレミアムサンド」の本格発売以降、定番化を推進している。

 「例えば牛肉を使用したビーフカレーでも下ごしらえに時間がかかる」(同社広報)など、安定供給へのハードルが高い商品も多く、常に改廃と背中合わせの状況も避けては通れないという弱点もあるが、今後は技術革新等により、この課題をいかに克服していくかに注目したい。

 このようにMD戦略では、ようやく方向性が定まってきた感のある同社だが、一方で重要なのはオーバーストアという状況の中での出店戦略。特に最近では、他チェーンとの競争はもちろん、生鮮品を強化したイオンの「まいばすけっと」やマルエツの「マルエツプチ」等、大手スーパーの小型店の台頭など、競争は激化の一途をたどる。2月にローソンが、グループの生鮮コンビニ「ストア100」のノウハウを生かした新業態「ローソンストア」をオープンさせたことは、厳しい環境を裏付けるものと言っていい。

 そんな状況下でファミリーマートが取ったのが異業種との一体型店舗の拡大だ。2012年5月にドラッグストアを展開するヒグチ産業とFC契約を締結、第1号店となる「ファミリーマート+薬ヒグチ淡路町店」をオープンして以来、その後も他のドラッグチェーン、調剤薬局10社とアライアンスを組み、既に17店舗を展開している。

 これは消費者の高齢化等、健康意識の高まりを背景にしたものだが、一方で、厳しい価格競争にさらされていた中小規模のドラッグストアにとっても、差別化の実現という意味では、ウィンウィンの関係が成立していると言ってもいい。

 確かにドラッグストアとの協業は、時代の要請という意味では、理に適っている。しかし、別の見方をするとCVSの直接的競合はドラッグというよりむしろ生鮮を強化した小型スーパーにあるのではないか。生鮮品は鮮度管理が難しいことから高いノウハウが必要となる。また、仮に陳列できたとしても限られて売り場面積で十分な品揃えは不可能。同社に限らずCVSの多くは、カット野菜で対応していたが、小型スーパーが好調なのは、すべての消費者を満足させるレベルまで達していなかった証左でもある。

生鮮特化型コンビニ

“家庭のキッチン”をコンセプトにした「ファミリーマート+イズミヤ寺田町東店」

“家庭のキッチン”をコンセプトにした「ファミリーマート+イズミヤ寺田町東店」

 そんな中で、ファミーマートが発表したのが、関西地盤のスーパー、イズミヤとのFC契約締結だった。昨年10月29日にはモデル店となる「ファミリーマート+イズミヤ寺田町東店」がオープンしたが、関心を集めたのは当然のごとく品揃えである。

 1号店の品揃えについてファミリーマート広報は、次のように述べる。

 「CVS商材と生鮮の融合という狙いはありましたが、一方で、CVSへの来店頻度が高い、言うなれば簡便性を求めて来店される方も意識した商品構成をとりました」

 例えば野菜を1つ加えるだけで料理が成立する簡便調味料を同じ棚に陳列するなど、提案型の売り場も意識しているという。オープン後、4カ月を経過した状況は、日販は非公表ながらCVSにあまり来店しない主婦層も足を運ぶなど、出足は上々とのことだ。

 しかし、こういったコラボ型店舗は、「ローソンマート」しかり、サプライチェーンを持っている大手CVSであれば、わざわざパートナーを探さず自社完結型でできないことはない。

 「CVSに来られるお客さまのニーズもどんどん変わってきています。それにスピードをもって対応するために、優れた経営資源を有している他社と組んで、お互いのインフラやノウハウを共有したほうがメリットは高いと判断しました」(同)

 ファミリーマートの考えを聞く限り、異業種コラボの推進は同社成長の一翼を担うことは確かだ。しかし、その前提となるのは、セブン-イレブンやローソンに引けを取らない強固な経営基盤の確立である。現在、セブンの国内店舗は約1万6千店、ついでローソンが約1万1千店(ストア100、ナチュラルローソンを除く)と猛追する。ファミマは3番手の1万店強。各チェーンの出店意欲も依然として旺盛で、業界4位のサークルKサンクスのエリアフランチャイズをセブンとローソンが着々と傘下に収めるなど、その差はなかなか縮まらない。

 ファミリーマートには、同社筆頭株主である伊藤忠商事に近いユニーグループHDの事業会社であるサークルKサンクス買収の噂が依然くすぶっている。しかし、ユニーグループHDの前村哲路CEOは、サークルKサンクスの店舗網拡大を明言するなど、買収話は噂の域を脱しない。もはや伊藤忠商事主導によるファミリーマートのユニーグループHD買収の可能性も否定できない。

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