文化・ライフ

紫外線をカットするだけで安心していませんか?

イラスト/坂木浩子

イラスト/坂木浩子

 年が明け、早くも立春。まだ寒い日もあるが、天気の良い日は陽の光が温かく感じられるようになり、本格的な春の訪れが待ち遠しくなってきた。

 この時期を境に、太陽から降り注がれる光は次第に強く、まぶしくなっていく。冬の間の運動不足を解消するため、ウオーキングやランニングなどにチャレンジする人も増えるだろうが、うっかりしていると日焼けしてしまうので、外出時には紫外線対策を忘れないようにしよう。

 さて、「光老化」という言葉をご存じだろうか? 紫外線を浴びると、光刺激によって肌の老化が促進されるということは、もはや常識的に知られている。肌だけでなく、眼においても白内障や加齢黄斑変性といった加齢性の疾患が促進されることが知られており、紫外線カットのサングラスや眼鏡を使用する人も非常に増えている。

 しかし、最近注目が集まっているのは、紫外線カットよりもむしろ、ブルーライトカットすることによる効果だろう。

 紫外線が眼に見えない光であるのに対し、ブルーライトは眼に見える光=可視光だ。長い間、眼にダメージを与える光といえば眼に見えない光だけだと考えられていたのだが、ブルーライトは眼紫外線に非常に近い高いエネルギーを持つ上、波長がとても短いため眼のフィルターやレンズの役割を果たしている角膜や水晶体で吸収されず、ストレートに網膜に到達してしまう。

 そのため、網膜の細胞老化や、成人の失明原因として増加し続けている加齢黄斑変性などの加齢性眼疾患の進行に関与しているのではないかと考えられるようになってきた。

 実際、多くの基礎研究によってブルーライトによる網膜の視細胞の変性やアポトーシス(細胞の自殺)が確認されている。

 そこで、紫外線をカットするだけでなく、眼に入るブルーライトもカットすることで、網膜の保護効果が得られるのではないかと考えられてきたのだが、わが慶応義塾大学医学部眼科学教室の研究グループは、マウスによる実験でついにそのことを証明した。昨年10月に眼科学専門誌『Clinical and Experimental Ophtalmology』にて論文を発表したので、ぜひご報告したい。

上手に付き合って若さもキープ!

 研究は、マウスを3つのグループに分け、①紫外線および青紫色光を遮断する箱②紫外線、青紫光のほか可視光であるブルーライトも遮断する箱③ほとんどの可視光が通過する箱の3種類の箱に入れて、一定時間白色蛍光灯をあてたのち、眼の網膜の状態を調べるという方法で行われた。

 その結果、①の紫外線と青紫色だけを遮断したグループは、ほとんどの可視光が通過する③の箱に入っていたグループよりは網膜の視細胞のダメージは少なく、ある程度眼の網膜が保護されていたことが分かった。

 しかし、紫外線および青紫光の遮断だけでは網膜変性を減弱するのに十分とはいえず、さらにブルーライトを遮断したほうがより網膜の保護効果があることが確認できたのだ。

 つまり、眼の健康を守るためには、紫外線だけでなくブルーライトをカットすることも重要であることが証明されたというわけだ。

 とはいえ、ブルーライトはサーカディアンリズム(概日リズム)を刻む体内時計を正常に保つために欠かせない光でもある。

 サーカディアンリズムの乱れは、睡眠障害やうつ、肥満や糖尿病、高血圧などのメタボリックシンドロームやガンのリスクを高める原因になりかねないため、朝と昼間はしっかりとブルーライトを浴び、夜はできるだけ浴びないように心掛けることが、1日24時間のサーカディアンリズムを正常に保ち、健康に生きていくための基本だ。

 問題なのは、夜もブルーライトを多く放つLED照明のもとで過ごしたり、眠る直前までパソコンやスマートフォンから放たれるブルーライトを見つめていたり、長時間じっとパソコン画面を凝視し続けることだ。これでは、サーカディアンリズムが乱れるばかりか、眼の老化を早めてしまう可能性だってある。

 ブルーライトの量をカットする眼鏡やレンズは、今後ますます注目を集めていくだろう。若さと健康はもちろん、眼の老化を防ぎ、快適な視力をいつまでも保つためにも、ぜひこれらをうまく活用していこう。

★今月のテイクホームメッセージ★

紫外線だけでなくブルーライトをカットすることで眼の老化を防ごう!

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