政治・経済

接待交際費の上限は撤廃するべき

 大企業の接待交際費を、50%まで経費として認める方針を政府が打ち出しました。50%などと中途半端なことを言わずに、100%認めるべきだと私は思います。

 そもそも交際費が経費として認められないというルールは、ずっと以前に作られたものです。高度成長期にはコンプライアンスの概念もあまりなかったし、会社とプライベートの区別が非常にいい加減でした。そういう時代に公私混同を防ぐために交際費を経費として認めないことには一定の意味があったのです。

 ところが、1990年代以降は企業にも余裕がなくなり、少なくとも会社と個人の財布が同一化されるということは大企業においてはなくなりました。昨今はコンプライアンスが厳しく問われるようになったので、会社のほうも無駄な経費を個人の飲食のために使われないように制度を整えています。交際費の使用に関しては、経費として認められるかどうかにかかわらず、乱用を防ぐ仕組みがつくられて運用されています。

 一方で、交際費はビジネスを円滑に進める上で必要なものでもあります。それは昔も今も変わっていません。買収や賄賂といった位置付けではなく、ビジネスを進める上で、相手とより一体感のある関係をつくるために飲食を共にするのはプラスの面が大きい。

 そうした効果があるから、たとえ損金として認められなくても、企業は社員に一定の交際費使用を認めているのです。

上限撤廃後の接待交際費乱用は企業ガバナンスの問題

 公私混同を防ぐ仕組みが大企業では確立されていることと、ビジネスを推進する上で一定の効果があることを考慮すると、むしろ経費として認めていない今の状況のほうがおかしいのではないかと思います。

 課税対象にするか非課税にするかという問題ではなく、もし、交際費の私的流用があった場合は、企業のガバナンス上の問題としてとらえるべきでしょう。

 中小企業の場合は交際費が損金として認められるのは年間600万円まで、さらにそのうち10%は認められないという枠が設けられています。しかし、これからは大企業と中小企業を区別することなく、交際費を全額経費化しても良いのではないでしょうか。

 中小企業は経営者と会社が表裏一体のケースもあるので難しい面があるかもしれませんが、せめて大企業だけでも全額経費として認めるべきではないかと思います。

接待交際費上限を撤廃することにより、元気のいい事業部はより元気に

 もし、交際費が損金算入できるようになれば、景気に対して即効的な効果があると予想されます。

 現在、大企業は約300兆円の内部留保を抱えていますが、その一部でもビジネスを進めるための攻めの投資として交際費が使われることになれば、まずは外食産業にお金が落ちていきます。外食産業が潤い始めれば、マインドの部分も含めて景気に対する波及効果は極めて大きいと思います。

 外食産業は一極集中が起きにくい上、すそ野も広いのが特徴です。どんな素晴らしいシェフでも時間には限りがあるので、1カ所で1万人単位の客をさばくことはできません。また、飲食店が増えれば多くの雇用が生まれる上、不動産を含めてさまざまなところに波及効果が出てきます。外食産業は新規参入のバリアも比較的低いので、開業、廃業が頻繁に行われることによって経済が活性化すると予想できます。

 以前、某大手自動車メーカーの業績が悪化した時、取引先に対して自社の人間を接待しないでほしいと通知を出したことがありますが、その影響で周辺地域の飲食業がバタバタと倒産したという実例もあります。

 大企業が1社緊縮しただけで、地域の飲食店が大打撃を受けるほどの影響があったのです。逆のことをやれば経済効果は計り知れません。

 既に最近では、アベノミクス効果によって銀座や六本木の繁華街で混雑する店が増えていますし、年末は多くのレストランが予約でいっぱいの状態でした。

 今後、交際費が100%経費として認められれば、さらに著しい効果が生まれるのは確実です。

 事業部門長など、ビジネスの責任者がどれだけ交際費を使っていいか、自ら判断できるようになるのもメリットと言えるでしょう。損金不算入だと、経理部門が会社全体の利益見通しから交際費をいくら使えるか判断することになるので、どの部署も同じ程度の額しか使えないといった状況が生まれがちです。

 事業部単位で自己判断できるようになれば、会社の中でより元気のいい部署が有効にお金を使えるようになるのではないでしょうか。

 

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