政治・経済

迎え撃つ「プレモル」

受けて立つ「ザ・プレミアム・モルツ」

受けて立つ「ザ・プレミアム・モルツ」

 ビール大手5社は1月16日、2013年のビール系飲料の課税済み出荷量を発表した。総市場は対前年比1・0%減の4億3357万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と過去最低を記録、ビール系市場を取り巻く環境の厳しさを実感させられる。特にビールは同1・7%減と、同2・0%増の新ジャンルに数年後には主役の座を奪われる危険性もある。

 しかし、その中で唯一の例外がプレミアムビール市場だ。ビール総市場が縮小する中、プレミアムビール市場は対前年比7%増の約2900万ケースと、今やビール総市場に占める構成比は14%に迫る勢いだ。

 牽引しているのは言うまでもなく約6割のシェアを誇るサントリー酒類の「ザ・プレミアム・モルツ」だ。同社では05年から同製品に資源を集中したことが功を奏し、以降、販売数量を伸ばし続け、前期は対前年比107%増の1767万ケースとその勢いは一向に衰えない。

 それを追うのがサッポロビールの基幹ブランドの「ヱビス」。昨年は同1・7%増の961万ケースと健闘を見せた。

 プレミアムビール市場拡大の背景にあるのは、景況感の向上もあり消費の2極化が顕著に現れてきたことだ。今年も「価格は高くても良いものを飲みたい」という層の拡大が見込まれる。そんな市場に割って入るのが、シェアトップのアサヒビールとキリンビールだ。

 アサヒは2月18日にギフト限定商品として好調な販売実績を残した派生商品「アサヒスーパードライ ドライプレミアム」の通年販売に踏み切り販売目標を320万ケースに設定する。さらにキリンも瓶専用プレミアムビール「グランドキリン」が好調なことも背中を押し、ギフト専用の「一番搾りプレミアム」を販売する模様。

 「プレモル」と「ヱビス」の独壇場であるプレミアムビール市場に参入することになる両社だが、前述のとおり、その本気度には多少の温度差がある。

 あるビールメーカー幹部は次のように語る。

 「昨年もシェアトップを守ったアサヒですが、看板のスーパードライの販売数量が対前年比2・3%減と1億ケースは突破したものの頭打ち感は否めない。一方、キリンは、ビールで『一番搾り』『ラガー』、発泡酒で『淡麗』、新ジャンルで『のどごし〈生〉』と各カテゴリーに主力商品がそろっており、販売数量ではいい具合に補完作用が働いています。そういう意味で、キリンはアサヒの『ドライプレミアム』の状況を見た上で満を持して本格参戦するのではないか」

 毎年、シェアが格好の話題になるビール業界。しかし、ここ数年、順位は定着している。プレミアムビール市場で激しいシェア争いが展開されれば、業界の活性化にもつながるのではというのはうがった見方か。

(本誌/大和賢治)

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

「創造と変革」を掲げリーダー教育事業を展開しているグロービス。未来が予見しづらい混迷の時代を迎え、まさに新たな時代を切り拓いていくリーダーが求められている。そのような状況を受けて、グロービスは昨年、新たに執行役員以上に限定したエグゼクティブ向けのプログラム「知命社中」を開設した。[PR]次世代を担う経営リーダ…

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

「支持政党なし」をつくった男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。100年弱の歴史を持つ高砂香料工業── まず御社の特徴をお聞かせください。桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える香料の専門メーカーです。基本…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年9月号
[特集]
この夏飲みたい日本の酒

  • ・総論 量から質へ“こだわり”が求められる時代へ
  • ・埼玉・秩父から世界一へ イチローズモルトの奇跡
  • ・家庭でも酒場でもレモンサワーが飲まれる理由
  • ・幕末からよみがえった都心の酒蔵 東京港酒造
  • ・本間哲朗(アプライアンス社社長)
  • ・伊豆で愉しむ野趣なワインと夏の富士
  • ・トップが薦めるこの夏のビール

[Special Interview]

 宮内義彦(オリックス シニア・チェアマン)

 「トップの器以上に会社は大きくならない」

[NEWS REPORT]

◆ヨーロッパに続け! 動き始めた日本の再エネ事業

◆東芝のPC事業を買収し8年ぶりに参入するシャープの勝算

◆日産―ルノー経営統合問題に苦慮するカルロス・ゴーン

◆大阪がエンタメで仕掛けるインバウンドと夜の経済

働きがいのある会社を総力取材

 人材育成企業20

 企業の成長戦略をクローズアップ

ページ上部へ戻る