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靖国参拝に批判的姿勢を示したロシア

ロシアのプーチン大統領

ロシアのプーチン大統領

 1月21日、ロシアのラブロフ外相は、プーチン露大統領が安倍晋三首相からの訪日招待を受け入れたと述べた。

 〈訪問時期について、両国の外交当局は今秋以降の年内で調整している。

 プーチン大統領は2005年に公式訪日し、当時の小泉純一郎首相と会談した。プーチン氏はその後09年に首相として訪日しているが、ロシア大統領の訪日は国際会議などを除いて実現していなかった。日本の外交当局者は「プーチン大統領訪日を、北方領土問題解決の方向性を固める機会にしたい」と話しており、どこまで具体的な内容で合意できるかが焦点となる。

 一方で、ラブロフ氏は中国の記者から安倍首相の靖国神社参拝について問われて「地域の国々の関係正常化のためにはならないと我々は考えている」と批判。さらに「第2次大戦の結果に疑いを差し挟むことは、国連憲章に正面から反対することを意味している」と強調した。日本、ドイツなど敗戦国への武力行使を容認する国連憲章の「旧敵国条項」を念頭に、北方領土返還を求める日本を強く牽制する意図とみられる。〉(1月21日『朝日新聞デジタル』)

 このタイミングで、ロシア側がプーチン大統領訪日を発表したのは、安倍首相が2月7日にロシアのソチで行われる冬季五輪開会式に出席する方向で調整を行っていることに対する感謝の意味がある。プーチン訪日で領土問題がどれだけ進展するかは、今後の日露外務次官級協議で北方領土問題に関し、どの程度の合意ができるかにかかっている。

 ソ連崩壊後、ロシア政府は、戦勝国と敗戦国の区別に基づかず、法と正義の原則によって北方領土問題を解決するとしていた。しかし、去年12月26日に安倍晋三首相が靖国神社を訪問した後、ロシア外務省は、公式ウェブサイトに〈日本社会に世界で一般に受け入れられている第2次世界大戦の結果の評価と異なる偏った見解を押しつけようとする一部の勢力の企てが強まっていることを背景に、日本政府の長のこのような行為(靖国神社参拝)に対して遺憾の意を表明せざるをえない〉というルカシェビッチ報道官のコメントを掲載した。この声明で、ロシアは今後、戦勝国の立場から北方領土の領有を正当化していく意思を鮮明にした。

安倍首相によるソチ五輪訪問の意義

 1月31日に東京で日露次官級協議が行われるが、そこでロシア側は、第2次世界大戦をめぐる歴史認識問題を積極的に取り上げると思う。この交渉のロシア側責任者であるモルグロフ次官は、中国専門家だ。靖国問題で、対日強硬策に転換することを発案したのもモルグロフ次官と筆者は見ている。今後、ロシア側は、1945年8月9日にソ連が対日参戦する前の同年6月26日に署名した国際連合憲章の対敵国条項に基づいて、ソ連による北方領土の領有を正当化するであろう。もっとも国連憲章が発効したのは同年10月24日なので、それ以前のソ連の活動を国連憲章によって正当化することには無理がある。

 ロシア側が歴史認識問題を取り上げるならば、日本側としては、ソ連が当時有効であった日ソ中立条約に侵犯した事実を突きつけ、「あの戦争でソ連との関係において、日本は侵略された側である」と対応することになる。このような歴史認識をめぐる論争の深みにはいると、職業外交官は自己の立場に固執し、妥協が難しくなる。

 この危険を安倍首相も外務省も理解しているので、2月7日の「北方領土の日」に東京で行われる北方領土返還要求全国大会に出席した直後にロシアに向け出発し、同日行われるソチ五輪開会式に出席する方向で調整を行っているのだ。安倍首相が全国大会で、北方領土問題に関する日本政府の基本的交渉スタンスを主張すれば、ロシアのマスメディアは「日本が不当な領土要求を行っている」と反発するであろう。しかし、反発が拡大するには一定のタイムラグがある。安倍首相が2月7日にソチでプーチン大統領と首脳会談を行うならば、欧米主要国首脳が同日の五輪開会式に欠席する中で、安倍首相の存在がロシア世論に強く肯定的に印象づけられ、北方領土交渉の環境整備に資することになる。

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