政治・経済

円安・株高が継続し、企業業績も順調に推移すれば成長率2%も可能

安倍晋三首相(写真:時事)

安倍晋三首相(写真:時事)

 2014年4月1日から消費税が現行の5%から8%に引き上げられる。消費増税に伴ってGDPの成長率がかなり下がるだろうという予測が一般的だ。13年10月10日に日経センターが発表した民間エコノミスト41人の14年度の予測の平均値は、新たな経済対策を織り込んでも0・79%となっている。また、13年10月21日、伊藤忠経済研究所は0・5%の成長見通しを発表している。いずれも消費増税の影響で成長率が13年度の3%弱から大きく落ち込むというものだ。他方、国際機関の予測は日本のそれよりもやや楽観的。IMFの13年10月の見通しは14年(暦年)で1・2%、OECDのそれも暦年で1・5%と高い(13年11月19日発表)。OECDは予定されている消費増税は「両年の成長率を押し下げるものの、財政への信認を維持するためには『重要な一歩』」だと指摘し、増税をポジティブに評価している。OECDの成長率見通しが他に比べて高いのも、「信認の維持」という側面を高く評価しているからだろう。

 筆者の見解もOECDに近い。場合によれば、1・5%を超えて2・0%に乗せることもあり得ると思っている。ひとつは円安・株高が14年度も継続し、企業業績も順調に推移すると考えるからだ。13年度も高成長は円安・株高に支えられている。12年末に1㌦=80円を切っていた為替レートは日本銀行の積極的な金融緩和などで13年に入ると100円を突破、日経平均も12年の8千円台から1万6千円台へ上昇。ほぼ2倍までになり1万7千円をうかがう状況だ。こうした状況を受けて13年度の成長率も3%弱まで伸びていったのだ。

高支持率維持のため財政、金融両面からの経済刺激策は続く

 問題は14年度も円安・株高が続くかどうかだろう。13年度ここまで上がったのだから一服するだろうという見方も強いようだが、筆者は円ドルレートは早暁1㌦=105円を抜けて110円前後まで円安になっていくだろうと思っている。1㌦=80円から100円突破までの主たる要因は日銀の異次元金融緩和だったが、100円を抜けてからは米国経済の予想以上の好調さが原因となっている部分が大きい。IMFは14年の米国経済の成長率を2・6%と予測しているが、現状は3%に迫る勢いだ。とすれば、ドル高・円安が継続し、110円に近づくことは十分あり得ることだろう。ニューヨーク・ダウも好調で、史上最高値を更新し続けている。若干の反動はあるのかもしれないが、上昇トレンドに変わりがないのではないだろうか。とすれば日経ダウもニューヨーク・ダウなどに引っ張られ1万6千円台を抜けて上昇する可能性が高い。

 こうした状況の中で14年度も円安・株高が続いていけば、消費増税のマイナス効果は相殺され、2%台の成長率の達成も視野に入ってくることになる。もちろん、13年度末の駆け込み需要が大きければ、14年度の成長率はそれだけ落ちることになるが、これも年度を平均すれば、成長率の低下ということではない。政府は14年度の経済を強めに維持し、さらに15年度に消費税を10%にまで引き上げることを狙っている。ということになると、金融の追加的緩和も十分あり得る。黒田東彦・日銀総裁も2年間でのインフレ率2%達成を公約している。公約を実現するためにも、金融のさらなる緩和は必要だろう。

 財政面についても20年のオリンピックを念頭に、公共事業が活発に展開されることが予測される。国土強靱化政策に続いてオリンピックがらみの公共事業が追加されれば、金融だけではなく財政も出動し景気を押し上げるということになる。安倍政権の支持率は、経済が順調に推移していることもあって高い水準を維持している。特定秘密保護法案などによって若干支持率が下がってはいるものの、歴代政権と比べると極めて高いレベルだ。高支持率を維持するためにも、財政、金融両面から経済を刺激する政策は続けられることになるだろう。少なくとも、あと1〜2年はいわゆるアベノミクスは継続され、成長率の2%超えを目指すという姿勢は変わらないだろう。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

「日本初」にこだわる男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

「損して得を取る」事業モデル  不動産登記情報を扱う「登記簿図書館」をご存じだろうか。 かつては法務局でしか取得できなかった登記簿情報がオンラインで簡単に取得でき、かつ、法務局では対応できないさまざまなサービスを提供するというものだ。保有登記情報は全国2450万件、会員数9500社を誇る。 この登記簿図書館を…

支持政党なし

外国人を中心に需要が高まるソーシャルレジデンスで快走―オークハウス

独自のプラットフォーム戦略で、外食産業の新たなスタンダードを創造する――きちり社長 平川昌紀

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。 100年弱の歴史を持つ合成香料のトップメーカー ── まず御社の特徴をお聞かせください。 桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

20150609_INNOV_P02

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年を控えて「世界に貢献し、インパクトを与える人」の育成に努めます――西南学院大学・K.J.シャフナー学長

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

パートナーズは全国の中古投資用不動産の売買仲介を手掛けている。2011年の創業以来、5期連続増収を達成。吉村社長は業績好調の原動力を「社員の人間力を養い、顧客満足度の向上に取り組む姿勢にある」と語る。── 数ある投資用不動産会社の中、独自の強みについて。吉村 当社では、社員の人間力を徹底的に磨きな…

企業eye

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

海外ビジネスの第一線で活躍した2400人のエキスパートを擁し、日本企業の海外事業を支援。

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界9月号
[特集]
人材恐慌 この危機をどう乗り切るか

  • ・企業が脅える人材恐慌最前線
  • ・人材不足の処方箋 働き方改革でどう変わる?
  • ・加藤勝信(働き方改革担当大臣)
  • ・神津里季生(日本労働組合総連合会会長)
  • ・中田誠司(大和証券グループ本社社長)
  • ・若山陽一(UTグループ社長)

[Interview]

 松本正義(関西経済連合会会長)

 2025大阪万博で関西、日本は飛躍する

[NEWS REPORT]

◆第4次産業革命に走る中国、遅れる日本 松山徳之

◆格安スマホに対抗しauが値下げ これから始まるスマホ最終戦争

◆減収続くも利益率は向上 富士通・田中社長の改革は本物か

◆破綻からわずか2年 スカイマークが好調な理由

[政知巡礼]

 野田 毅(衆議院議員)

 「社会保障の安定した財源は消費税しかない」

ページ上部へ戻る