文化・ライフ

健康のために光と上手に付き合っていますか?

 新年の抱負のひとつに「健康」を掲げている人も多いことだろう。そこで、新年をより健康で過ごすため、僕からぜひご提案したいのが、「光との付き合い方を考える」ということだ。

 考えてみれば、僕たち人類は常により環境をつくることばかり考えてきた。ロウソク、ランプ、ガス灯といったほのかな明かりでは満足せず、約170年前には電灯を発明。夜の暗闇を照らす明るい光を手に入れた。さらに、約80年前には蛍光灯を開発。約20年前にはLEDが発明され、夜はますます明るい光で照らし出されるようになった。だが、LEDの発明でもたらされたのは、単に明るい環境だけではない。

 電球や蛍光灯の光と違い、LEDが放つ光には太陽光に含まれるのと同じまぶしく明るい光、青色光=ブルーライトがとても多く含まれている。人類はLEDの発明によって、このブルーライトを自在に扱えるようになったというわけだ。

 一方、最近の研究によって、1日約24時間周期で体内時計の時を刻むサーカディアンリズムを司っているのは光、中でもブルーライトであることが分かってきた。

 僕たちは、目の網膜で明るい光をキャッチすると「朝だ」と感じ、夕方暗くなって網膜から入ってくる光の量が減ると「もう夜だ」と感じる。同時に、睡眠を司るホルモンであるメラトニンの分泌量が抑えられたり活発になったりして、睡眠と覚醒のリズムが作られ、1日24時間のリズムが作られる。

 2002年には、哺乳類の目の網膜に主にブルーライトに反応する「第3の視細胞」と呼ばれる特殊な視細胞も発見されている。僕たちの目は、「モノを見る」だけでなく光によって時間を感知する時計の役割も担っていたのだ。

 サーカディアンリズムの乱れが健康に及ぼす影響については、皆さんもよくご存じだろう。僕たちは昼間しっかりブルーライトを浴びないとサーカディアンリズムを正常に保って健康を維持することができない。時差ボケを解消するには「朝の光を浴びるといい」と言われるのも、ブルーライトを浴びることで狂った体内時計をリセットすることができるからだ。

ブルーライトは肥満や糖尿病、高血圧やがんへの影響も!?

ブルーライトに関する最新情報を集めた新刊『ブルーライト 体内時計への脅威』(集英社新書)

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 ところが、夜も明るい生活が当たり前になった僕たちは、「夜になると暗くなる」ということさえ忘れて暮らしている。その上、ブルーライトを多く含むLED照明やLEDをバックライトに使用した液晶ディスプレーのパソコンやスマートフォン、タブレット端末などによって、「朝のように明るい光のシグナル」を夜も浴びるという生活をしている。

 そのため、夜も明るい生活や、夜間のパソコンやスマートフォンの長時間使用などが、サーカディアンリズムを乱れさせ、肥満や不眠、うつなどを引き起こす原因になるのではないかと危惧されている。

 実際、夜勤の多いタイムシフトワーカーに前立腺がん、糖尿病、高血圧、肥満などの発症率が高いというデータは既に数多く報告されていて、「光との付き合い方」は労働者の健康管理における重大な課題となっている。

 また、こうしたサーカディアンリズムの乱れによる健康への影響は、タイムシフトワーカーに限らず、すべての現代人の問題、社会問題にもなりつつある。米国医師会では12年5月に「現代は光公害の時代に突入した」と警告を発しているほどだ。

 また、紫外線が目に及ぼす影響はよく知られているが、その害のほとんどは角膜や水晶体におけるもので、網膜レベルでのトラブルを引き起こすのは、「目に見える光=可視光」の中でも最も短い波長の光であるブルーライトではないかと考えられるようになってきた。さらに、パソコンやスマートフォンなどから放たれるブルーライトを長時間見つめ続ける生活こそが、ドライアイや眼精疲労を悪化させる原因ではないかと危惧されている。とはいえ、ブルーライトそのものが悪いわけではない。問題は、ブルーライトとの付き合い方なのだ。

 より高度な24時間型社会、視覚情報社会へと進む中、現代人が「夜も明るい生活」や、便利なVDT機器を手放すことはもはや非現実的だ。しかし、より健康であるためには、ブルーライトに関する知識を深め、より上手な付き合い方を模索していく必要があるだろう。そしてどうぞ、今年もより健康的な毎日を!

★今月のテイクホームメッセージ★

ブルーライトと上手に付き合って、より健康的な新年を!

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