マネジメント

 税務署に毎年提出する申告書ですが、これらのうち規模の大きな一定の法人の申告書は、「会計検査院該当の申告書」と言われ、税務署を通じて国の収入支出の決算を検査する会計検査院にも提出されます。規模が大きな法人であれば、税収が大きくなることが通例ですし、申告にあたり適用されることとなる税法の規定も一般の会社よりもはるかに多いわけですから、きちんとした税務調査がなされているか、現行の税法に問題はないかなどを、外部組織である会計検査院がチェックするのです。

 会計検査院は2〜3年に一度、各税務署に臨場して、税務署の幹部職員に会計検査院該当の申告書の内容や疑問点につきヒアリングを実施するなどして、検査を行います。この会計検査院の検査で税務署は、申告書に明白な誤りがあるにもかかわらず、税務署が是正指導を行っていない理由を指摘されます。税務署としては、このような指摘を受けないよう、毎年一定の時期に、会計検査院該当の申告書の中身を全件チェックすることとしており、申告内容に誤りがあれば納税者に指導をしたり、税務調査を実施したりしています。

 近年、大きな問題となっているのは、会計検査院該当の法人に対して実施した過去の税務調査に関し、税務署の指導ミスがあり、それが会計検査院の検査段階で発覚するという事態が散見されることです。このような税務署の指導ミスが発覚した法人に対しては、会計検査院の指導に基づいて、再度税金を納めるよう税務調査や行政指導が税務署から実施されます。

 ところで過去の税務調査で税務署が問題としなかったからといっても、それは税務署が、税務調査先が正確な申告をしていると認めた、ということを意味するのではないとされています。このため、税務署は次回の税務調査で同じ問題を税務調査しても問題がないと考えられており、税務署は何ら罪悪感なく指導ミスがあった法人に対して再度是正するように指導するわけです。

 しかし法人の立場に立って考えると、過去に実施された税務調査では問題なしとされたにもかかわらず、数年たって忘れた頃に税金を納めろ、と指導されるわけですから、おいそれと納得できるものではありません。

 中でも大きな問題となるのは、税務調査官の中には、「(是正させると面倒なので、)今回は問題にしませんよ」という指導をする人がいることです。上司の許可をもらってこのような指導をするのであれば問題はありませんが、困ったことに、上司に報告してしまうと、「きちんと是正させなさい!」と指示されるリスクがありますから、あえて報告せず自分の胸に秘めておく職員も実はかなり多いのです。報告しないのであれば、このような指導をした証拠となる資料を、報告書に添付しなければいいと思いますが、税務調査官はそのあたりまで基本的に神経を遣いませんので、証拠資料が報告書に添付されたまま会計検査院の目に留まり、問題が発覚するという事態になるわけです。

 言うまでもなく、こんなケースは100%税務署の手落ちでしょう。しかしながら、税務署の誤指導に関しては、税金の世界で救済する方法は基本的にはありません。このため、会計検査院該当の申告書を提出する法人は大きなリスクを背負うわけで、場合によっては裁判に発展します。

 このようなリスクが会計検査院該当の申告書にはありますので、自社の申告書が会計検査院該当の申告書に該当するのか、あらかじめ把握しておくといいと思います。この基準は、実は納税地の税務署ごとに異なっています。ただし、会計検査院該当の申告書であれば、税務署に提出する分と会計検査院に提出する分の2通提出が求められますので、納税地の税務署に尋ねれば、教えてもらえます。

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