政治・経済

ツイッターで民主党議員から絡まれる

 川口順子さんが参議院環境委員長を解任された件は僕にとっては衝撃的でした。

 事の経緯は、川口さんが、各国の外交経験者や要人が参加する「アジア平和・和解評議会」の会合に出席するため、中華人民外交学会の招聘で4月23日に訪中しました。25日に国会で環境委員会が開かれるため、川口さんは24日に帰国する予定でした。しかし訪中後に「中国の外交政策と近隣諸国」がテーマの会議が24日、国務委員(外交担当)の楊潔篪氏との会談が25日に決まったそうです。尖閣諸島をめぐって日中間の緊張が高まっていますし、また23日には国会議員の靖国神社参拝もありました。川口さんとしては中国側に日本の考え方を伝えて理解してもらうことが国益上必要と考え、滞在期間の延長を申し出ました。そして会議に出席し、楊氏との会談を終えて帰国したら解任騒動になっていた。

 この騒動で野党から出ていた意見は、「外交担当者でもない人間が国益に結び付く話が本当にできたのか」「その内容を開示しろ」とか、「国内にいることが大事なのに何をやっているんだ」と外国に行くことそのものを否定する発言もありました。そしてツイッター上で僕が「川口さんをなぜ解任するのか分からない」と言ったところ、外交が全く分かっていないような民主党の地方議員から「本当に国益になっているのか」という論調で感情的に絡まれました。

 なぜ僕がそれに対してショックだったかと言うと、ひとつは国際会議に出席したことがある議員が非常に少ないんだろうなということです。僕は国際会議に出席する機会も多く、それこそダボス会議などで川口さんともご一緒したこともあります。例えば、日本人からいない会議で、日本に絡む話が出ることがよくあります。その時に日本人の参加者がいないと、日本の意見がないまま議論が終息してしまうんです。

 特に今回みたいに各国要人が集まる席で、日本の代表者がいない時に例えば尖閣問題について中国が一方的に自分の意見を言ったとすると、その場にいた他国の要人は「ああ、そうなんだ」と受け取ってしまうんです。そこにしかるべき立場の日本の代表者が1人いるだけで、「いや、日本としてはそうじゃない、尖閣に関しては、もともと日本が領有権を主張しているし、実効支配していて、日本の領土なんだ」と主張できるんですよね。主張すること自体が国益なんです。日本の立場を代弁する人がいないところで、各国の要人がその話題をしている時点でもう国益を損ねてるんですよ。そういう欠席裁判的な怖さが国際会議にはあります。

 そして国際会議の出席者は必ずしも政府の代表じゃなくてもいいんです。きちんと意見を代弁できる人がいるだけで、他国の要人たちは「別の立場があるんだな」と理解するから。環境委員長としては関係ないかもしれないが、川口さんは英語も堪能ですし、主張も論理的なので、そういう場に出ていくことが国益に適うというのは間違いないんですね。

 しかしそれは僕が国際会議にいろいろ出ていた経験があるから直感的に理解できるものですが、恐らく国際会議などに出たこともない民主党の議員からは、国益かどうかも分からないという議論になってしまうことが非常にショックでした。

政治家を選ぶ国民にもグローバル意識が欠如

 2つめに僕が感じたこととして、ツイッターなどの反応を見ると、国民の間で「国会を軽視するのは何事だ」という議論があるのも、そういう政治家が出てくる背景には、国民の中にも「内政が大事で外交は二の次」という意識がたくさんあるんだなということです。ツイッターでも賛否両論ある中で、何割かの人たちは野党が言っていることは正しいんじゃないかと思っている方がいらっしゃいました。しかしそれも国際的な経験がないからだなというような意見が極めて多かった。このままだとTPP以前の問題ですね。TPPというグローバルに市場を統一していこうという動きがある中で、きちんと日本の立場を主張できる人が圧倒的に少ないんだとすると、本当に日本は不利になっていくという危惧を感じる出来事でした。

 国民のグローバル意識をいきなり高めるのは、かなり難しいと思うんですけど、これだけ世界との一体化がどんどん進みつつある中で、もう少し外交というものの重要性を国民も意識すべきだと思います。こんなくだらないことで、憲政史上初めて委員長解任という動議をサポートした野党には「一体何をやっているんだ」と猛省を促したい。外交オンチが政権を取るようなことがあってはならないという印象を受けた事件でした。

 

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