マネジメント

(『経済界』2019年11月号より転載) 

下田雅美氏

うぇるねす会長 下田雅美(しもだ・まさみ)

 

うぇるねすは、マンション管理員の代行・請負業務を主軸とし、現在、事業は前年比130%超の成長を遂げている。マンション管理員の数は全国で1500人を超え、2年後には3千人、最終的には1万人への拡大を計画中だ。人材不足に悩むマンションの管理員のサービスを向上させ、業界全体のレベルアップを目指す。

 

管理員のサービス力でマンションの価値が決まる

 

ヴィンテージマンションと言われるような、年数が経っても高値で売買されるマンションがある一方で、老朽化し、入居者が集まらないマンションもある。マンションが荒廃し、街がスラム化すれば、治安の面でも不安が出てくるため、最近ではマンションの管理状態をチェックする自治体も登場しているほどだ。

 「マンションは管理を買え、と言われますが、管理状態の良いマンションは住んでいて気持ちいいので、入居したいという人が集まります。そんな、いつもきれいに掃除されていて、住民同士が明るく挨拶するマンションを育てるのが、管理員の役割です。当社では、管理員代行・請負業務を行っていますが、しっかり教育をして管理員のレベルを上げ、日本のマンション全体の管理品質を高めていきたいと考えています」

 こう話すのは、うぇるねすの下田雅美会長だ。リクルートの第1期入社で、コスモスライフ(現・大和ライフネクスト)専務取締役時代に、マンションの管理業務がサービス業として他の業界よりも遅れていることを実感。60歳で定年後に同社を創業し、日本になかったマンション管理員の代行事業を開始した。

 

従業員は大企業や官庁OBも掃除のフォームを一から指導

 

 さらに下田会長のもう一つのテーマが高齢者の活用だ。マンションの管理員は人生経験が豊富な高齢者も多い。うぇるねすには82歳で応募してくる人もおり、「70歳を過ぎたらうぇるねすへ」とうたっているほどである。現在、最高齢の管理員は88歳で、元気に働く姿に他のスタッフも刺激を受けているという。

 「88歳の管理員からすれば70歳なんてまだ若造です。当社は、個人の体力や希望に合わせた働き方で、100歳でも健康に働ける、定年のない社会を目指しています。管理員には、スマホの業務アプリを使っていただいていますが、教えればちゃんと使えるようになり、自主的な勉強会も盛んに行われています。高齢者の方は自分で定年や限界を決めず、何歳になっても向上できること、生涯現役でイキイキと働くことの幸せを感じていただきたい。こうした日本の超高齢社会の働き方は世界中のモデルになるはずです」
マンションの管理員といえば、決まったマンションに勤める印象があるが、うぇるねすでは交代制にしている点も業界では新しい。

 「どこのマンションに行っても、レベルの高いサービスが提供できるのがうちの管理員の強み。毎回、違うマンションに行くことで、問題点に気付いたり、いいところを学んだり、管理員たちの意識の向上にもつながるので、固定しないのです」

うぇるねすと契約する管理員は、大企業や官庁の元役職者もおり、「掃除はしたことがない」「サービス業は未経験」という人も少なくない。
 「当社のスローガンは『目を見て笑顔でご挨拶』で、これができる方であれば、仕事は一から指導するので、これまでの経験は問いません。掃除の仕方も教えますが、ただきれいにするだけでなく、役者になったつもりでかっこいいフォームで掃除をしていると、『自分たちもマンションをきれいに使おう』と住民の意識が変わります。おかげで当社の管理員は評判がよく、代行した際に住民からお褒めの言葉を頂きます」

 

今後はシステムの構築やコンシェルジュ育成も

 

 もちろん、管理員のこれまでのスキルや人生経験が業務のさまざまな場面で生かされることも多い。

 「IT分野で仕事をされていた方に、クレーム情報を共有するシステムを作ってもらったり、チームづくりが得意な方に、新人をサポートする仕組みを整えてもらったりしました。また、自社開発のe?ラーニングのアプリをスマホに入れてもらい、すき間時間に学べるようにしていますが、皆さん学ぶことが好きで、モチベーションの高さに驚きます」

 大規模なマンションでは、管理員とは別にコンシェルジュが常駐していることも多い。今後はコンシェルジュの育成にも力を入れていく。

 「宅配便やクリーニングの受付、タクシーの手配がコンシェルジュの主な業務です。現在、マンション管理は男性が7割以上なので、女性スタッフをもっと増やしていきたいですね。全国に10万人いる管理員のうち、1割に当たる1万人をうぇるねすの管理員にすることが目標です。高齢者が元気に働くことで、若い人にも希望を持ってもらい、社会をプラスの方向へ変えていくことが理想です」

研修では

研修ではマンション管理員としてのプロの姿勢を身に付ける

 

会社概要
——————————————————————————
設立 2002年2月
資本金 1,889万円
売上高 11億2,900万円
所在地 東京都新宿区
従業員数 55人
事業内容 マンション管理員の代行・請負業務、コンサルタント
業務、社員・管理員等に対する専門の研修業務
http://www.wellness-support.net/
——————————————————————————

 

総力特集 人材育成企業21に戻る

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

銀行交渉術の裏ワザ

一覧へ

融資における金利固定化(金利スワップ)の方法

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第20回)

銀行交渉術の裏ワザ

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第19回)

定期的に銀行と接触を持つ方法 ~円滑な融資のために~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第18回)

メインバンクとの付き合い方

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第17回)

銀行融資の裏側 ~金利引き上げの口実とその対処法~

[連載] 銀行交渉術の裏ワザ(第16回)

融資は決算書と日常取引に大きく影響を受ける

元榮太一郎の企業法務教室

一覧へ

社内メールの管理方法

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第20回)

企業法務教室

[連載]元榮太一郎の企業法務教室(第19回)

タカタ事件とダスキン事件に学ぶ 不祥事対応の原則

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第18回)

ブラック企業と労災認定

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第17回)

電話等のコミュニケーション・ツールを使った取締役会の適法性

[連載] 元榮太一郎の企業法務教室(第16回)

女性の出産と雇用の問題

本郷孔洋の税務・会計心得帳

一覧へ

税務は人生のごとく「結ばれたり、離れたり」

[連載] 税務・会計心得帳(最終回)

税務・会計心得帳

[連載] 税務・会計心得帳(第18回)

グループ法人税制の勘どころ

[連載] 税務・会計心得帳(第17回)

自己信託のススメ

[連載] 税務・会計心得帳(第16回)

税務の心得 ~所得税の節税ポイント~

[連載] 税務・会計心得帳(第15回)

税務の心得 ~固定資産税の取り戻し方~

子育てに学ぶ人材育成

一覧へ

意欲不足が気になる社員の指導法

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第20回)

子どもに学ぶ人材マネジメント

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第19回)

子育てで重要な「言葉」とは?

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第18回)

女性社員を上手く育成することで企業を強くする

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第17回)

人材育成のコツ ~部下の感情とどうつきあうか~

[連載] 子どもに学ぶ人材マネジメント(第16回)

人材育成 ~“将来有望”な社員の育て方~

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

売上実績トップ企業に聞く「住宅リフォームの最新トレンドと課題」―榎戸欽治・ニッカホーム会長

素人にはなかなか分かりにくい住宅リフォームの世界。最近の業界動向と事業戦略について、売り上げ規模で全国ナンバーワンを誇るニッカホーム創業者の榎戸欽治会長に聞いた。(聞き手=吉田浩)榎戸欽治氏プロフィールリフォーム業界におけるニッカホームの競争力水廻りと木工事を絡めた中型リフ…

榎戸欽治・ニッカホーム会長

家族葬のファミーユが目指す「生活者目線で故人に寄り添う」葬儀の形

不動産のノウハウや技術を生かしサステナブルインフラへ―いちご

新社長登場

一覧へ

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

2019年4月、国内インターネット専業証券で初の女性社長が誕生した。創業者であり、カリスマ社長と呼ばれた松本大前社長から後任を託されたのが清明祐子氏。清明氏は09年にマネックスグループに入社し、子会社社長やグループ役員を経て、マネックス証券の社長に就任した。清明社長はカリスマの後任としてどんな会社をつくってい…

マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

「事業部門の連携を活性化させ営業利益100億円を目指す」 内藤宏治(ウシオ電機社長 )

イノベーターズ

一覧へ

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

起業家のスタンスとして、画期的な技術やビジネスモデルを社会で活かすことを目的としたイノベーション先行型もあれば、社会課題解決を最優先とし、そこに必要な技術やノウハウを当てはめていくやり方もある。ハックジャパンCEOの戸村光氏の場合は後者。対象となる課題は「身の周りの気付いたことすべて」だ。(取材・文=吉田浩)…

戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

IT化で変革する産業廃棄物処理の世界―福田隆(トライシクルCEO)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年11月号
[特集] AIが知りたい!
  • ・IT未開の地に挑戦 産業構造をAIが変える!
  • ・AIは物理世界がまだ苦手 汎用ロボットの作り方
  • ・データ分析の起点は「何があれば経営に役立つか」
  • ・AI活用事例
  • ・ワトソン君は業務システムと連携する
  • ・米国で加熱する人工知能ブーム AIは21世紀最大のゲームチェンジャーか
[Special Interview]

 小川啓之(コマツ社長)

 「“経験知”に勝るものはない」コマツ新社長が語る未来

[NEWS REPORT]

◆SBIが島根銀行への出資の先に見据える「第4メガバンク構想」

◆家電同士がデータを共有 クックパッドが描くキッチンの未来

◆新薬の薬価がたった60万円! 日の丸創薬ベンチャーは意気消沈

◆1で久々の優勝を果たすもホンダの4輪部門は五里霧中

[総力特集]

 人材育成企業21

 SBIホールディングス/サイボウズ/メルカリ/ティーケーピー/シニアライフクリエイト/イセ食品/センチュリオン/タカミヤ/中央建設/アドバンテック/合格の天使/明泉学園/オカフーズ

ページ上部へ戻る