文化・ライフ

ザッケローニ監督率いる日本代表はW杯予選を突破できるか(写真:時事)

ザッケローニ監督率いる日本代表はW杯予選を突破できるか(写真:時事)

 楽観視はできないが、これで文句を言ったらバチが当たるだろう。

 2014年サッカーW杯ブラジル大会の組み分けが決まった。アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本代表はコートジボワール、ギリシャ、コロンビアとともにC組に入った。

 最新のFIFAランキングはコロンビアの4位を筆頭にギリシャ12位、コートジボワール17位、日本47位。4カ国の中では日本が最も格下だが、これはあまり気にしないほうがいい。

 ちなみにホストカントリーで、W杯優勝5度のブラジルは10位。誰もコロンビアよりブラジルの方が弱いとは思わないだろう。

 C組4カ国のW杯での成績を見てみよう。

 コロンビア 出場4回、最高成績ベスト16(1990年)、3勝8敗2分け

 ギリシャ 出場2回、グループリーグ敗退、1勝5敗

 コートジボワール 出場2回、グループリーグ敗退、2勝3敗1分け

 日本 出場4回、最高成績ベスト16(02年、10年)、4勝7敗3分け

 このように戦績だけを見れば、日本が一番いいのだ。

 参考までに英国のブックメーカー「ウィリアム・ヒル」のC組突破オッズを紹介しよう。

 上から順にコロンビア1・22倍、コートジボワール2・00倍、日本2・25倍、ギリシャ2・87倍。

 トップから最下位までのオッズの幅はわずか1・65倍。実力が拮抗しており、どこにでもチャンスはあるとの見立てだ。〝どんぐりの背比べ〟と言うと聞こえは悪いが、全8組の中で、これだけ混戦が予想されるグループは他にない。

 日本は過去、W杯に4大会連続で出場しているが、初出場の98年フランス大会はアルゼンチン、06年ドイツ大会はブラジル、そして前回の12年南アフリカ大会にはオランダと、ホストカントリーとなった02年日韓大会以外はすべて「こりゃ、ちょっと勝てないな」と思われる相手がグループにひとつはいた。実際、以上のチームに日本はすべて負けている。

 ところが、今回はそういうチームがない。4チームの中では、頭ひとつ抜けていると思われるコロンビアについても、それほど恐れる必要はあるまい。

 コロンビアと言えば、忘れられないのが94年米国大会での破局だ。戦前、同国は戦力が充実していることに加え、開催国の米国に近いという追い風もあり、優勝候補に推す声も少なくなかった。

 なにしろ、前年の南米地区予選では、それまで33戦無敗だったアルゼンチンをたて続けに破ったのだ。しかもブエノスアイレスに乗り込んでのアウェー戦は、ワンサイドの5対0。この歴史的勝利に狂喜乱舞したコロンビア国内では20人を超える死者が出たという。

 メンバーもビッグネームがズラッと揃っていた。司令塔は南米年間最優秀選手賞に輝くカルロス・バルデラマ。ファウスティーノ・アスプリージャ、フレディ・リンコン、アドルフォ・バレンシアという三発の核弾頭が揃う攻撃陣は「世界最強」との評価さえあった。

 しかし初戦、ルーマニアに1対3と粉砕されると、ホストカントリーの米国にも1対2で敗れ、わずか2戦で決勝トーナメント進出の望みは潰えたのだった。

 米国戦でオウンゴールを献上したアンドレス・エスコバルは帰国後、凶弾に倒れた。賭博を開帳していた地下組織の仕業だといわれている。

 この事件が選手たちに与えた影響は測り知れない。下手を打てば命まで取られるのだ。これ以降、コロンビアは1度だけ本大会に出場したが、グループリーグで敗退している。代表チーム全体に巣食うトラウマはそう簡単に克服できるものではあるまい。

 決勝トーナメント進出を果たす上で、日本にとって最も大切なのは初戦のコートジボワール戦である。直近の対決は南アフリカ大会前にスイスで行なわれたテストマッチ。日本は0対2で敗れ、これをきっかけに「守りのサッカー」にシフトしたのである。

 ディディエ・ドログバ、ヤヤ・トゥーレら世界的なスターを要するコートジボワールには、今回も「アフリカ最強」の呼び声が高い。

 日本サッカー協会最高顧問の川淵三郎氏は「初戦のコートジボワール戦がすべて。ここに負ければ3連敗もあり得る。前回はカメルーンに勝って勢いに乗ったが、あの時のカメルーンはギャランティの問題などをめぐって協会と選手がもめており、一枚岩ではなかった。今回はよほど、心して戦わないと勝てない」と辛口のエールを送っていた。

 勝てそうもない相手はいないが、簡単に勝てる相手もいない。それを踏まえれば日本が入るC組は別の意味で〝死の組〟と言えるだろう。

関連記事

好評連載

二宮清純のスポーツインサイドアウト

一覧へ

米山公啓の現代医療の真相

一覧へ

見落としやすい薬の副作用

[連載] 現代医療の真相(第19回)

現代医療の真相

[連載] 現代医療の真相(第18回)

肺炎球菌ワクチンから見えるワクチン後進国日本

[連載] 現代医療の真相(第17回)

認知症・徘徊老人を受け入れる街づくり

[連載] 現代医療の真相(第16回)

サプリメント・ブームにもの申す

[連載] 現代医療の真相(第15回)

インフルエンザ予防接種は受けるべきか

吉田たかよしのビジネス脳の作り方

一覧へ

ネット検索の集中力は「独り言」で高まる!

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第20回)

ビジネス脳の作り方

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第18回)

人材育成のコツ ~部下の才能を褒めるとダメ人材に育つ~

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第17回)

株取引の損得は男性ホルモン量で決まる?

[連載]吉田たかよしのビジネス脳の作り方(第16回)

アルツハイマー病は脳の糖尿病!?

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

総合事業プロデューサーとして顧客と共に成長する―中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

広告やマーケティング、ブランディングを事業プロデュースという大きな枠で捉え、事業が成功するまで顧客と並走する姿勢が支持されているグランドビジョン。経営者の思いを形にしていく力で、単なる広告代理店とは一線を画している。 中尾賢一郎・グランドビジョン社長プロフィール &nb…

中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

人材戦略を経営の核に成長する駐車場ビジネスのプロ集団―清家政彦(セイワパーク社長)

「PCのかかりつけ医」として100年企業への基盤構築を進める―黒木英隆(メディエイター社長)

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

20歳で探検家グランドスラム達成した南谷真鈴さんの素顔

自らの手で未来をつかみ取る革新者たちは、自分の可能性をどう開花させてきたのか。今回インタビューしたのは、学生でありながら自力で資金を集め、世界最年少で探検家グランドスラムを制した南谷真鈴さんだ。文=唐島明子 Photo=山田朋和(『経済界』2020年1月号より転載)南谷真鈴さんプロフィール&nbs…

南谷真鈴

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年1月号
[特集] 新しい街は懐かしい
  • ・「街の記憶」で未来をリノベーション
  • ・日本橋が「空を取り戻す」水辺と路地がつながる街へ
  • ・水辺はエンタメの宝庫だ 大阪が目指す観光客1300万人
  • ・街の誇りを取り戻せ 名古屋・堀川復活プロジェクト
  • ・なぜ水辺に都市が栄えるのか
  • ・2020以降は海と川がさらに面白くなる
  • ・「住む」と「働く」両方できるが求められている(たまプラーザ)
  • ・「土徳」が育む一流の田舎(南砺市)
  • ・音楽ファンが集う街づくり
[Special Interview]

 辻 慎吾(森ビル社長)

 東京が世界で勝ち抜くために必要なこと

[NEWS REPORT]

◆飛びたくても飛べないスペースジェットの未来

◆エンタメが街を彩る 地方創生に挑むポニーキャニオン

◆問題噴出のコンビニをドラッグストアが抜き去る日

◆始まった自動車世界再編 日本メーカーはどう動く?

[特集2]

 経済界福岡支局開設35周年記念企画

 拓く!九州 財界トップが語る2030年のかたち

ページ上部へ戻る