政治・経済

 4月に入社した新入社員の人たちの配属が決まり、社会人として本格的にスタートする時期になっているはずだ。私は毎年、弊社に入社した新入社員の諸君に対し「40歳までに2つの専門分野をつくりなさい」と言っている。そのためには、頻繁にローテーションを行うことは問題だ。あそこに2年、こちらに3年という具合に若い社員を動かすことは、決して会社のためにならないばかりか、本人のためにもならない。社員にとっては、配属された部門の中のごく一部を経験するだけにとどまり、専門性を身に付ける時間は全くない。会社にとっても、非効率なことになる。社員に専門性を身に付けるだけの時間を与えることにより、会社にとってもプラスになるし社員にとってもプラスになる。ウィン・ウィンの関係が出来上がる。

 新入社員は、まず配属された部門で専門性を身に付ける努力をするべきである。学校では大した専門性は身に付いていないはずであり、社会人になる前の仕事の好みについての認識は大して当てにならないものだからである。

 しかし、どうしても仕事が適さないと思う場合には、異動を申し出るべきであり、会社もそれを認めるべきである。全く適していない仕事もあり得るからである。プロになるためには努力が必要である。まず分からないことがあれば、先輩社員に指導を受けなければならない。初めの2、3年は知らないのが当り前なのだから、分からないことはどんどん質問することである。その機を逸すると質問がしにくくなる。仕事に関する本を読むことも大切だ。さらに、希望して外部のセミナーなどに出席させてもらうことも良い。何よりも熱心に仕事に取り組むことである。

 1つの分野の専門家になると、2つ目の分野の専門家になるためのコツを身に付けることもできる。スポーツで1つのものに秀でた人が他のスポーツもマスターしやすくなるのと同じだ。40歳までに2つの専門性を身に付けた人たちの中から、専門性をさらに高める人と経営幹部への道を進む人が選ばれる。

 かつて経営者はゼネラリストでなければならないといわれた時期があるが、現在のように地球規模の激しい競争が展開されている時代において、あちらこちらの分野について少しずつ知識や経験を持った人では全く役に立たない。企業グループや企業を経営するプロ、すなわち経営のプロでなければならない。専門分野のプロになった人はある分野で道を究めた人であるので、経営の面においてもプロになる可能性を持っているはずである。

 また、専門分野をさらに高める人たちは、それぞれの分野でプロとしての能力をさらに充実させ会社に貢献することになるのだ。

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