政治・経済

 東京電力が新たな総合特別事業計画(再建計画)を策定した。柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働などで収益改善を打ち出し、策定に深くかかわってきた経済産業省も「国民負担の軽減を最大限考慮した内容」と強調する。

 4月には數土文夫・JFEホールディングス相談役が新会長に就任する人事も決定し、新体制で経営の立て直しを目指すが、国が前面に出た再建に安堵と懸念が交錯している。

 計画では柏崎刈羽原発(2〜4号機を除く)を7月以降、順次再稼働するほか、希望退職を予定の1千人からグループ全体で2千人規模に積み増した。再稼働が順調に進めば、毎年1500億円程度の経常利益が確保できるとそろばんを弾く。

 茂木敏充経産相は1月7日の閣議後会見で、「東電はしっかりと改革を進め、企業価値を高めることが必要だ」と指摘する。東電の資金調達環境が改善すれば、政府が公的資金の注入で保有した東電株の議決権比率を50%強から2030年代前半にはゼロにする計画で、経営再建の成功が「国民負担の軽減に直結する」(資源エネルギー庁幹部)。

 このため政府は弁護士出身の下河辺和彦会長の退任を容認。経産省幹部が「東電の成長に不可欠なスピーディーな決断ができる」と評価する數土氏が新会長に就く人事を決め、万全の態勢を敷く構えだ。

 ただ、計画では政府が前面に出る姿勢を強調するため、これまで東電任せだった廃炉や除染への国費投入も盛り込まれた。東電は、

「国との役割分担が明らかになった」(広瀬直己社長)

 と胸をなで下ろすが、肝心の原発再稼働が進まなければ国民負担が膨らむことになりかねない。

 さらに、経産省主導の再建には懸念がつきまとう。経産省はかつて半導体大手、エルピーダメモリに産業活力再生法を適用し、再建を目指したが、最終的に同社は会社更生法の適用に追い込まれた経緯があるためだ。経営再建では国土交通省が所管する日本航空(JAL)のような成功例もあるが、東電で新たな成功事例を生み出せるか。経産省の手腕が問われることになる。

 

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