政治・経済

 IPOはリーマンショック後、長期にわたって低迷し、株式公開後も多くが初値割れする状況が続いてきました。しかし、最近では日本経済の活性化もあってIPOの社数が増加し、内容も良くなっています。

 2013年に新たに上場した企業の公開価格から初値までの平均上昇率は119%になりました。しかし初値と14年2月20日の終値を比べてみると、多くの企業で軒並み価格が下落しており、平均でマイナス14%になっています。

 つまり、良い銘柄ほど初値が上がり過ぎてしまうため、必ずしも成果が得られないことがあるので注意が必要です。逆にIPO社数が少ない時期は公募時の競争率が低い上、株価も安いのでたくさんの銘柄が買えます。そうして買った銘柄は、後々大きく価格が上昇することもあります。IPOが盛んな時期に初値で買うと、銘柄そのものの内容は良くても、その後の株価が振るわないケースが多々あります。不変的な法則というわけではないですが、良い銘柄は初値で高い値段を付けた後に暴落し、1年後くらいに値段が落ち着いてくるため、こうした時が買い場になるでしょう。

 さらに、銘柄を選ぶ場合は、その企業が期待は高いが利益が上がらない「黎明期」、利益が拡大する「急成長期」、成長率が鈍化する「成熟期」のいずれにあるのかを見極める必要があります。黎明期には株価が何度も乱高下を繰り返し、急成長期は調整が入ることはあるものの株価は大きく上昇します。問題はそこから成熟期に移行する時期で、増益基調は変わらなくても、増益率の低下によって株価が暴落することがあります。

 例えば、今はバイオ関連銘柄などは明らかに黎明期に当てはまります。また、急成長期に入っているビジネスとしてはネットゲームやネット金融などが挙げられます。ネット分野は1999年のITバブルが黎明期で、当時は期待は高かったものの、利益が上がらずに株価が暴落しました。05年にはミニITバブルがあり、一部の会社は利益を上げましたが、端末がPC中心だったために利益がそれほど上がりませんでした。そして今は、スマートフォンの大衆化が進んだことによって、3度目の成長期に入っていると言えます。

 成熟期に入っているビジネスとしては、デジタルカメラや太陽電池などが挙げられます。デジタルカメラは言うまでもありませんが、日本の太陽電池は性能は良くても価格が高く、市場が国内に限定されるという特徴があります。関連銘柄の中には成熟期に移りつつある銘柄が多いため、注意しなくてはなりません。 (談)

 

2013年IPO銘柄のその他

 

楽天証券経済研究所 チーフストラテジスト
窪田真之

(くぼた・まさゆき)1961年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、住友銀行、住銀投資顧問を経て、99年大和住銀投信投資顧問、2014年2月より現職。日本株運用歴25年、年間100社以上の企業取材を続ける。著書に「超入門!株式投資力トレーニング」「投資脳を鍛える!株の実戦トレーニング」(日本経済新聞出版社)などがある。

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