政治・経済

 スキーやスノーボードを楽しむためにはブーツや板など多くの用具を必要とする。ウインタースポーツ復権の中、そのセールス動向はどうなっているのか、スポーツ用品専門店大手のゼビオの事業開発部門でウインタープロモーションを行う木下知芳氏に話を聞いた。

ファミリーは「子ども」から

ゼビオ事業開発部門の木下知芳氏

ゼビオ事業開発部門の木下知芳氏

-- 以前に比べゲレンデに人が戻ってきたといわれていますが、用具やウェアの売れ行きは。

木下 スキー場にファミリーが増えたという話はよく耳にしていたのですが、私どもの店舗でも数年前から小さいお子さま連れのお客さま増えてきています。初めてのスキーに行かれるお子さまも多いようで、スキー、スノボのアイテムとともに、ウェアをお買いもとめいただいています。心掛けているのは、これからスキーを始めようとしているエントリー層のお客さまにとっても、アイテムを安心して選んでいただけるようなお店づくりです。

-- ゼビオグループがウインタースポーツのセールスで重視している層は。

木下 増えていると言われるファミリー層や学生などでしょうか。中でも、お子さん方に楽しんで満足していただくことで、今後、一生ウインタースポーツを続けてもらおうと2011年から「〝私をスキーに連れてってスノーキッズ応援団〟プロジェクト」というものを行っています。子どもと言っても、ひとりや友だちだけでスキーやスノーボードに行くことはありませんから、ファミリー向けのキャンペーンというわけです。

 キャンペーンの名前からも分かるとおり1980年代後半に、空前のスキーブームを引き起こした映画「私をスキーに連れてって」が名前の由来で、実際にスキーに夢中になった世代をターゲットに、もう一度あの頃の思い出を取り戻していただこうと意図したものです。当時の若者たちもいまやお父さん、お母さんになっている年代ということで子どもと共にスキー場に帰ってきていただくことを考えて始めました。

 初年度から業界全体で盛り上げていこうと、ウインターリゾートのリーディングカンパニー数社と協力しています。具体的には、東急リゾートサービス、プリンスホテル、星野リゾートなどと協力しながら取り組んでいます。

-- 具体的にはどんなキャンペーンなんですか。

木下 例えば、12歳以下のお子さんはリフト券などが無料になるアプリ、その名も「〝私をスキーに連れてって スノーキッズ応援団〟プロジェクト」を提供し、少しでも旅行費用の負担軽減につながればと思っております。また、NEXCO東日本との取り組みの〝雪旅×雪会 リフト券プレゼントキャンペーン〟では、東北道、関越道、上信越道の合計20のサービスエリアにチラシやポスターなどを置いてリフト券を抽選で800人にプレゼントするキャンペーンなども行っております。

 かつて、スキーを楽しんだ世代は思っている以上に多く、その休眠層を掘り起こすために各社さんと複数のファミリー向けのキャンペーンを行い、需要を掘り起こす施策を展開しています。お陰さまで、提携する企業が昨年、今年と増えており効果のほうも随分上がってきている実感があります。

-- 御社独自の取り組みは。

木下 私どものグループもスーパースポーツゼビオ、ヴィクトリア、タケダスポーツと3つに分かれ、それぞれの独自の販売戦略で動いていましたが、今シーズンから「Snow United」として一緒にキャンペーンを行い、例えば、税込みで3500円以上お買い上げの方には宿泊券やリフト券などが当たるキャンペーン〝GOGOファミリースキーキャンペーン〟を行っています。

キーワードは「快適」

-- 売り上げの良い商品はどのようなものですか。

木下 私たちが、店頭で強化しているのが、かつての自分のイメージを取り戻すことができる〝ネクストコンフォートスキー〟というジャンルです。これは快適に滑るための機能性を重視した板、ブーツを提案させていただいているものです。このアイテムを使っていただければ年齢や体力の衰えもかなりカバーできると思います。やはり、久しぶりに滑るとなると怖さもありますが、自転車と同じで、何本か滑ると体が自然と思い出してくれるものです。

 また、ネクストコンフォートスキーに限らず、アイテムの性能が格段に良くなっておりますので、久しぶりでも快適に楽しく滑っていただけるのではないでしょうか。

-- ウエアの今年のトレンドは。

木下 機能性としては発熱素材入りのものが基本だと思います。ゼビオでは「HEAT︱X」(ヒートクロス)を使ったウェアを中心に取り扱っています。また、かつては子どもの成長でせっかく買ったウェアがすぐ着られなくなるという問題もありましたが、今は身長に合わせて、袖や股下の長さが調整できるようになっており、ウェアを長く着られるようにもなっています。

-- 売り上げを伸ばす工夫は。

木下 ネクストコンフォートスキーのようにお客さまに使用価値を感じていただける商品の提案をすることが重要だと思っております。同時に、ウインタートラベルのキャリーバッグやボードケースなどスキー前後の商品提案も行っております。

 売り場にてスキー旅行を想起させるような演出を行い、来店されたお客さまがすぐにゲレンデに行きたくなっていただけるようにできればと思っております。

 お陰さまで、グループ会社のヴィクトリアではジュニア部門のウインター関連の商品売り上げが前年比105・6%を記録しています。グループ全体でもジュニア部門が、大人向け商品の売り上げをけん引している印象を受けます。

 やはり、みなさん新しいウエアや新しいアイテムで快適に楽しく滑りたいですからね。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

永濱利廣

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

[連載] 深読み経済ニュース解説

日銀による追加緩和決定の影響は!?

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポート――中島優太(エベレディア社長)

 昨今、事業拡大や後継者対策などを目的とした企業同士のM&Aが増加している。同様にウェブサイトのM&Aが活発化している事実をご存知だろうか。サイトの売買で売り手にはまとまったキャッシュが、買い手にはサイトからの安定収益が入るなど、双方に大きなメリットがもたらされている。大手ITグループから個人事業主まで幅広い…

201712EVEREDIA_CATCH

「日本初」にこだわる男のユニークな発想とビジネス――佐野秀光(情報通信ネットワークグループ社長)

外国人を中心に需要が高まるソーシャルレジデンスで快走―オークハウス

新社長登場

一覧へ

「技術立脚の理念の下、付加価値の高い香料を開発します」――高砂香料工業社長 桝村聡

創業から95年、海外に進出してから50年以上たつ国際派企業の高砂香料工業。合成香料では日本最大手であり、国際的にも6%以上のシェアを持つ優良企業だ。 100年弱の歴史を持つ合成香料のトップメーカー ── まず御社の特徴をお聞かせください。 桝村 1920年創業ですから、2020年に100周年を迎える…

桝村 聡

「ネット広告が変わってもクライアント本位の姿勢は変わりません」--バリューコマース社長 香川仁

「最新情報を発信、人と企業の働く環境を良くしていきます」--マンパワーグループ社長 池田匡弥

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

20150609_INNOV_P02

デザイナーズ家具のEC販売で業界の“常識打破”に挑戦――リグナ社長 小澤良介

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 教育部門と…

大学の挑戦

創立100周年を控えて「世界に貢献し、インパクトを与える人」の育成に努めます――西南学院大学・K.J.シャフナー学長

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

企業eye

一覧へ

社員の人間力を武器に5期連続増収を果たす投資用不動産会社――パートナーズ

パートナーズは全国の中古投資用不動産の売買仲介を手掛けている。2011年の創業以来、5期連続増収を達成。吉村社長は業績好調の原動力を「社員の人間力を養い、顧客満足度の向上に取り組む姿勢にある」と語る。── 数ある投資用不動産会社の中、独自の強みについて。吉村 当社では、社員の人間力を徹底的に磨きな…

企業eye

クラウドソーシングを活用した動画制作やオンライン動画制作プラットフォームを提供――Crevo

海外ビジネスの第一線で活躍した2400人のエキスパートを擁し、日本企業の海外事業を支援。

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年1月号
[特集]
敗者復活戦

  • ・負けから何を学び、糧にしていくか
  • ・存亡の危機を乗り越えた「熱海」の逆転ストーリー
  • ・あの名門ブランドが、帰って来た(アイワ、ビクター)
  • ・「なるほど家電」を牽引する大手家電メーカーの早期退職組(アイリスオーヤマ)
  • ・関ケ原で敗れた立花宗茂はなぜ、返り咲くことができたのか
  • ・市江正彦(スカイマーク社長)
  • ・加藤智治(ゼビオ社長)

[Special Interview]

 三毛兼承(三菱東京UFJ銀行頭取)

 「旧来の商業銀行は構造不況業種 大変革で信頼と強さを持ち続ける」

[NEWS REPORT]

◆カードローン規制で稼ぎ頭を失う地方銀行の明日

◆12年ぶりのアイボ復活 名実ともにソニー再生は成るか

◆終身権力者も視野に入った習近平が恐れるクーデター

[特集]クルマが変わる、社会を変える

・これから始まる全自動運転 OSを制するのは誰だ!?

・車載電池の性能が左右するEV時代の覇権戦争

・冷える鉄鋼、潤う化学 クルマが変える産業構造

・トヨタ・日産・ホンダ・マツダ 主要4社「わが社の戦略」

ページ上部へ戻る