政治・経済

 2013年度の訪日外国人観光客が1千万人を超え、観光分野での注目が高まる日本だが、ウインターリゾートもまた例外ではない。その代表格が北海道のニセコエリアだ。30年近くかかわりを持つ東急不動産のリゾート事業本部で事業企画を担当する夕田清史課長に話を聞いた。

北海道「ニセコ」は北半球のオーストラリア!?

-- ニセコのスキー場は外国人客が多いと聞きましたが。

夕田 いちばん多いのはオーストラリアのお客さまです。20年以上前から数人のオージーがニセコに定住されており、彼らの口コミで、オーストラリアでの人気が徐々に拡大していったようです。爆発的に増えたのは、2001年に米国で起こった同時多発テロ以降で、それまで欧州や北米のスキー場を訪れていたオーストラリアのスキーヤーが、ニセコを訪問するようになってきました。距離的にも近く、時差もほとんどないこと、さらに何より良質の雪であるパウダースノーの存在が大きかったようです。

-- 何割くらいが外国人のお客さんですか。

夕田 ウインターシーズンでは、半数以上が外国人ですね。その約半分がオーストラリアの方で、近年はアジアの富裕層で特に香港やシンガポールの方が増えています。アジアの富裕層は、スキーを楽しむほかにスノーリゾートというステータスを求めていらっしゃるようですね。

-- アジアのお客さんが増えた理由はなんですか。

夕田 ニセコのスキーリゾートは、ニセコアンヌプリという標高1308㍍の山の斜面に大きく4つのスキー場があり、すべて山頂でつながっています。弊社のグループ会社であるニセコ東急リゾートや、北海道中央バス観光商事の国内企業のほかに、マレーシアの企業や香港の企業などアジア資本が経営に入っている影響も大きいと思います。やはり外国資本のスキー場には、その国の富裕層が訪れますし、その層に引っ張られて新たなお客さまも来られます。例えば、12年にキロロリゾートがタイ資本に買収されるタイミングでバンコクからの直行便が新千歳空港に就航しています。マレーシアからの直行便が就航すればニセコにマレーシアのお客さまが増えるかもしれませんね。

-- 東急不動産とのかかわりは。

夕田 もともと、ニセコは1961年に初めてリフトが架けられ、翌年に全日本スキー選手権が行なわれたことで国内での認知が高まったそうです。85年に事業運営をしていた会社が東急グループの傘下に入ったことで関係が生まれました。現在はスキー場とホテルの運営のほかに、マレーシア会社が建設したコンドミニアムの運営もグループ会社で行っております。

-- スキーシーズンを通して外国人の方は多いのですか。

夕田 外国の大型休暇によって人数の増減はありますね。大きなイベントを行う際にも、外国の暦に合わせて行っています。一番のハイシーズンといえば、クリスマスから年末年始にかけての休暇でしょうか。今年はいつもより早く1月末に中国の春節祭があります。当然、香港など中華圏の方が多くなるでしょうし、4月のイースター休暇ではオーストラリアと、ピークが複数ある中で運営することができています。

-- 外国人のお客さんはどれくらい滞在されるのですか。

夕田 オーストラリア人の場合は7日以上の滞在が多く、日本人は2泊から3泊、アジアの人たちは4、5泊ですね。

北海道「ニセコ」での外国人の滞在方法の違いとは

-- 滞在の仕方に違いはありますか。

夕田 オーストラリアの方は、スキーやスノーボードをすることが中心になります。一方、アジアの方は、前にも述べましたがスノースポーツよりも白銀のスノーリゾートそのものを体験しにいらっしゃる方が多いです。このようなアジアの方にリピーターとして戻ってきていただくため、われわれとしても外国人のインストラクターを増やしたり、子どもも楽しめるキッズエリアを充実させたりするなど対策を練っています。今は、ファミリー層を取り込もうと、ニセコはもちろん、弊社グループで運営する各スキー場でもさまざまな取り組みを行っています。

-- では、オーストラリアのお客さんが良いお客さんですね。

夕田 とも、言いきれなくて(笑)、オーストラリアの方は、純粋にスキーを楽しみに来ていますが1週間コンドミニアムに滞在し、自炊するケースが多いのです。アジアの富裕層がその半分の滞在で使われるお金のほうが何倍も多いといわれているんです。やはり、お土産の文化がアジアにはありますので購買力は旺盛ですね。ただ、お金を落とすからと、アジアのお客さまにシフトすればスキー場の賑わいが消えてしまいますし、リゾートとしては寂しくなってしまいます。ですから、どちらのお客さまもニセコエリアにとってはとても大事なんですね。

-- 東急ハンズもあるとか。

夕田 ニセコで東急不動産グループのかかわりが分かるところがあまりないこともあって、ブランディングの意味も含め3月25日までの期間限定でオープンしました。トラックマーケットといってトラックに東急ハンズのエッセンスを積み込んでニセコにやってきたというイメージの店舗です。ニセコでは、お土産を買い求める外国人、特にアジアの人が大人買いしていかれることもあって、客単価は通常の倍の人気誇っています。

-- 問題はありますか。

夕田 リーマンショックの前に外国資本によって買われたホテルや旅館の跡地が、開発されずに更地となって残っています。一時持ち直したものの、東日本大震災や急激な円高でストップしているのです。そういう場所も、日本のデベロッパー・東急不動産として協力できることがあれば参画するなどしていきたいと考えています。最近は、アジアの富裕層を中心に投資が戻ってきており、坪300万円以上のコンドミニアムも売れていると聞きます。

-- 今年の状況は。

夕田 12月のスキー場の売り上げデータで見れば調子はいいですね。前年比でも順調に伸びています。今後も外国人が多いという地の利を生かした新たな施策を考えていきます。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

ワンマンシリーズ(7)稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第19回)

ワンマンシリーズ(6)三和の法皇・渡辺忠雄〈3〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第18回)

ワンマンシリーズ(5) 三和の法皇・渡辺忠雄〈2〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

ワンマンシリーズ(4) 三和銀行の法皇・渡辺忠雄〈1〉

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第16回)

ワンマンシリーズ(3)住友銀行に残る堀田の魂魄

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

老舗コニャックメゾンがブランド強化で日本市場を深耕――Remy Cointreau Japan代表取締役 宮﨑俊治

フランスの大手高級酒グループ、レミー・コアントロー社の日本法人。18世紀から愛飲されてきた名門コニャックの「レミーマルタン」や世界有数のリキュール「コアントロー」をはじめ、スピリッツやウイスキーなど戦略的なラインアップを日本市場で展開している。同社の宮﨑俊治代表取締役に事業展開について聞いた。 &nbs…

リグナ社長 小澤良介 家具のEC販売から様々な展開へ

内装空間の総合プロデュースで想いをカタチに創り上げる――ユニオンテック社長 大川祐介

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2018年12月号
[特集]
平成 ランキングで振り返る“時代”の経営者

  • ・バブル破裂で顔ぶれ一新 平成人気経営者の系譜
  • ・次の時代を創るリーダーとは?

[Special Interview]

 榊原定征(2025日本万国博覧会誘致委員会会長)

 「誘致決定まで1カ月 大阪万博を日本経済の起爆剤に」

[NEWS REPORT]

◆コンビニ軽減税率適用で激化する「外食VS中食」の戦い

◆「液晶のシャープ」が有機ELスマホを発売 初の国産パネルで攻勢をかける

◆「世界一高い」と認定された日本の携帯料金のこれから

◆チャネル政策を見直すトヨタ自動車の危機感

[特集2]

 北海道・新時代の幕開け

ページ上部へ戻る