スキー場の生の情報を伝えると同時に需要を発掘--SURF&SNOW
2014年2月18日

スキーヤー、スノーボーダー必見のスキー場情報サイトが、ぐるなびが運営する「SURF&SNOW」だ。スキー場の基本情報に加え、積雪・天気・ゲレンデ状態などの詳細情報を提供し、スキー場での活動をサポート。また、ポータルサイトとして、業界を挙げた需要振興に向けた動きをリードしている。
スキー場の満足度を高める情報提供

全国スキー場情報サイト「SURF&SNOW」
(http://snow.gnavi.co.jp)
SURF&SNOWの事業のベースになるのが、スキー場情報サイトとしての、正確かつタイムリーな情報発信だ。
具体的にはまず積雪情報や天気予報、あとはゲレンデの状態などスキー場が毎日更新するインフォーメーションを発信する。気象情報については、現在はスキー場の天候、風向き・風速、雪質の情報を提供している。特に雪質については、「雨雪判別メッシュ」のサービスを導入している。グーグルマップ上のメッシュごとに、天候や、弱い湿った雪、強い湿った雪、弱い乾燥した雪などの雪質を色分けして表示。データは1時間ごとに更新され、よりリアルタイムでスキー場を中心にした降雪情報が把握できる。また、「過去・未来」として、前後6時間の状況をアニメーションで見ることが可能で、スキー場の詳細な気象状況を把握できる。こうした気象情報の提供を強化している。
2年前からは、スキー場の口コミ情報を発信している。悪天候でゲレンデのコンディションが悪くなる場合があり、スキー場が常に楽しめる場所になるとは限らない。そういった時の口コミ情報はネガティブな情報が書かれることもある。しかし、SURF&SNOWとしては、リアルな情報発信を重視し、口コミ情報サイトを開設した。
SURF&SNOWチームシニアリーダーの陳野原功輝氏は次のように語る。
「スキー場側も口コミ情報が書かれると嫌なのかと思っていたが、ネガティブなことを書かれても、逆にそれを自分たちのサービスを向上させていくためにポジティブに考え、改善していこうという考えでいる」
口コミ情報もただコメントを書き込むだけではなく、ユーザーが写真も投稿できるようになっている。ユーザーがゲレンデで楽しんだ写真を載せることは、スキー場の魅力を強調する効果も期待できる。もともとスキー&スノーボードを楽しむ人が活用しているサイトであるため、投稿も積極的で、データの構築は充実しているという。
さらに口コミ情報に基づき、さまざまなテーマに沿ったスキー場のランキングを作っている。ゲレンデの雪質やコースの形態から、施設の充実度や食事・サービスなどの区分から、「食事が美味しいスキー場」、「ナイターが楽しいスキー場」、「託児所が充実しているスキー場」「圧雪バーンで気持ち良く滑るスキー場」といったランキングもある。SURF&SNOWではシーズンの終わりに、各ランキングの1位のスキー場を表彰。スキー場側もこのランキングを注視しており、表彰されたことをスキー場のPRに活用しているという。
気象情報や口コミ情報などから、ポジティブな情報やネガティブな情報も含め、情報を事前に分かった上で行くと、それだけでスキー場に対するユーザーの満足度も変わってくる。満足度が上がれば、それだけリピーター獲得にもつながる効果が期待できる。
業界の底上げに向けて活性化の一翼を担う
情報発信のほかには、ウェブクーポンをはじめとするサービスも発信している。SURF& SNOWには、ぐるなびのサイトと同じ歴史があり、ウェブクーポンはスキーヤーやスノーボーダーの間で定着している。
また、スキー場と連携して、シーズン前の特別価格で早割リフト券も販売。早割リフト券は定価4千円前後のものが2500円前後の価格で購入できる。早いところでは8月から販売を開始する。スキー場としては早いうちからスキー客を囲い込み、スキー場へ誘導する戦略だ。
その一方で、リフト券の価値低下などの低価格化は、スキー場側の負担は大きいが、その代わりとしてリフト券以外の付帯サービスを拡充して収益を伸ばしている。また、スキー場単体でのプロモーションも厳しくなっている場合があり、複数のスキー場・企業による業界横断的な需要喚起策がある。そこにSURF&SNOWも積極的にかかわっている。具体的には、NEXCO東日本とゼビオと共同で、NEXCO東日本のサービスエリアにおいて抽選でリフト券があたるキャンペーンを実施している。また、次項で取り上げる「街コン」のゲレンデバージョン「ゲレコン」もこの活動の一環だ。
陳野原氏は語る。
「ただ待っているだけではなく、スキー場側でもいろいろな施策を考えて発信することが必要で、それに紐づくゲレコンなどのイベントやキャンペーンを一緒になってやっている」
スキー場にとってのライバルは近隣のスキー場ではなく、ディズニーランドをはじめとする他の娯楽施設だという。レジャーの多様化に加え、そもそも積極的に遊びに行かない若者も出てきているため、ウィンタースポーツへの親和度を高めることも必要になってくる。そのため、オリンピックに向けて日本代表応援サイトを立ち上げている。SAJ(全日本スキー連盟)のバックアップにより、競技説明やオリンピックのニュース、テレビ放映や選手紹介、応援メッセージなどを掲載。競技や選手への知識を深めオリンピック観戦の一助とする。こうしたことを通じて、業界活性化を図っていく。
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