政治・経済

 スキーヤー、スノーボーダー必見のスキー場情報サイトが、ぐるなびが運営する「SURF&SNOW」だ。スキー場の基本情報に加え、積雪・天気・ゲレンデ状態などの詳細情報を提供し、スキー場での活動をサポート。また、ポータルサイトとして、業界を挙げた需要振興に向けた動きをリードしている。

 

スキー場の満足度を高める情報提供

全国スキー場情報サイト「SURF&SNOW」 (http://snow.gnavi.co.jp)

全国スキー場情報サイト「SURF&SNOW」
(http://snow.gnavi.co.jp)

 SURF&SNOWの事業のベースになるのが、スキー場情報サイトとしての、正確かつタイムリーな情報発信だ。

 具体的にはまず積雪情報や天気予報、あとはゲレンデの状態などスキー場が毎日更新するインフォーメーションを発信する。気象情報については、現在はスキー場の天候、風向き・風速、雪質の情報を提供している。特に雪質については、「雨雪判別メッシュ」のサービスを導入している。グーグルマップ上のメッシュごとに、天候や、弱い湿った雪、強い湿った雪、弱い乾燥した雪などの雪質を色分けして表示。データは1時間ごとに更新され、よりリアルタイムでスキー場を中心にした降雪情報が把握できる。また、「過去・未来」として、前後6時間の状況をアニメーションで見ることが可能で、スキー場の詳細な気象状況を把握できる。こうした気象情報の提供を強化している。

 2年前からは、スキー場の口コミ情報を発信している。悪天候でゲレンデのコンディションが悪くなる場合があり、スキー場が常に楽しめる場所になるとは限らない。そういった時の口コミ情報はネガティブな情報が書かれることもある。しかし、SURF&SNOWとしては、リアルな情報発信を重視し、口コミ情報サイトを開設した。

 SURF&SNOWチームシニアリーダーの陳野原功輝氏は次のように語る。

「スキー場側も口コミ情報が書かれると嫌なのかと思っていたが、ネガティブなことを書かれても、逆にそれを自分たちのサービスを向上させていくためにポジティブに考え、改善していこうという考えでいる」

 口コミ情報もただコメントを書き込むだけではなく、ユーザーが写真も投稿できるようになっている。ユーザーがゲレンデで楽しんだ写真を載せることは、スキー場の魅力を強調する効果も期待できる。もともとスキー&スノーボードを楽しむ人が活用しているサイトであるため、投稿も積極的で、データの構築は充実しているという。

 さらに口コミ情報に基づき、さまざまなテーマに沿ったスキー場のランキングを作っている。ゲレンデの雪質やコースの形態から、施設の充実度や食事・サービスなどの区分から、「食事が美味しいスキー場」、「ナイターが楽しいスキー場」、「託児所が充実しているスキー場」「圧雪バーンで気持ち良く滑るスキー場」といったランキングもある。SURF&SNOWではシーズンの終わりに、各ランキングの1位のスキー場を表彰。スキー場側もこのランキングを注視しており、表彰されたことをスキー場のPRに活用しているという。

 気象情報や口コミ情報などから、ポジティブな情報やネガティブな情報も含め、情報を事前に分かった上で行くと、それだけでスキー場に対するユーザーの満足度も変わってくる。満足度が上がれば、それだけリピーター獲得にもつながる効果が期待できる。

 

業界の底上げに向けて活性化の一翼を担う

 情報発信のほかには、ウェブクーポンをはじめとするサービスも発信している。SURF& SNOWには、ぐるなびのサイトと同じ歴史があり、ウェブクーポンはスキーヤーやスノーボーダーの間で定着している。

 また、スキー場と連携して、シーズン前の特別価格で早割リフト券も販売。早割リフト券は定価4千円前後のものが2500円前後の価格で購入できる。早いところでは8月から販売を開始する。スキー場としては早いうちからスキー客を囲い込み、スキー場へ誘導する戦略だ。

 その一方で、リフト券の価値低下などの低価格化は、スキー場側の負担は大きいが、その代わりとしてリフト券以外の付帯サービスを拡充して収益を伸ばしている。また、スキー場単体でのプロモーションも厳しくなっている場合があり、複数のスキー場・企業による業界横断的な需要喚起策がある。そこにSURF&SNOWも積極的にかかわっている。具体的には、NEXCO東日本とゼビオと共同で、NEXCO東日本のサービスエリアにおいて抽選でリフト券があたるキャンペーンを実施している。また、次項で取り上げる「街コン」のゲレンデバージョン「ゲレコン」もこの活動の一環だ。

 陳野原氏は語る。

「ただ待っているだけではなく、スキー場側でもいろいろな施策を考えて発信することが必要で、それに紐づくゲレコンなどのイベントやキャンペーンを一緒になってやっている」

 スキー場にとってのライバルは近隣のスキー場ではなく、ディズニーランドをはじめとする他の娯楽施設だという。レジャーの多様化に加え、そもそも積極的に遊びに行かない若者も出てきているため、ウィンタースポーツへの親和度を高めることも必要になってくる。そのため、オリンピックに向けて日本代表応援サイトを立ち上げている。SAJ(全日本スキー連盟)のバックアップにより、競技説明やオリンピックのニュース、テレビ放映や選手紹介、応援メッセージなどを掲載。競技や選手への知識を深めオリンピック観戦の一助とする。こうしたことを通じて、業界活性化を図っていく。

 

雑誌「経済界」定期購読のご案内はこちら

経済界電子版トップへ戻る

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ
一般社団法人かぎろい出版マーケティング代表 西浦孝次氏

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[特集 新しい街は懐かしい]

水辺に都市が栄える理由と開発の事例を探る

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

総合事業プロデューサーとして顧客と共に成長する―中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

広告やマーケティング、ブランディングを事業プロデュースという大きな枠で捉え、事業が成功するまで顧客と並走する姿勢が支持されているグランドビジョン。経営者の思いを形にしていく力で、単なる広告代理店とは一線を画している。 中尾賢一郎・グランドビジョン社長プロフィール &nb…

中尾賢一郎(グランドビジョン社長)

人材戦略を経営の核に成長する駐車場ビジネスのプロ集団―清家政彦(セイワパーク社長)

「PCのかかりつけ医」として100年企業への基盤構築を進める―黒木英隆(メディエイター社長)

新社長登場

一覧へ

森島寛晃・セレッソ大阪社長が目指すクラブ経営とは

前身のヤンマーディーゼルサッカー部を経て1993年に創設されたセレッソ大阪。その25周年にあたる2018年12月に社長に就任した森島寛晃氏は、ヤンマー時代も含めて通算28年間セレッソ一筋、「ミスターセレッソ」の愛称を持つ。今も多くのファンに愛される新社長が目指すクラブ経営とは。聞き手=島本哲平 Photo=藤…

森島寛晃・セレッソ大阪社長

カリスマ創業者の後任として描く「新しいマネックス証券像」― マネックス証券社長 清明祐子

「若者需要の開拓でビール市場を盛り上げていく」塩澤賢一(アサヒビール社長)

イノベーターズ

一覧へ

20歳で探検家グランドスラム達成した南谷真鈴さんの素顔

自らの手で未来をつかみ取る革新者たちは、自分の可能性をどう開花させてきたのか。今回インタビューしたのは、学生でありながら自力で資金を集め、世界最年少で探検家グランドスラムを制した南谷真鈴さんだ。文=唐島明子 Photo=山田朋和(『経済界』2020年1月号より転載)南谷真鈴さんプロフィール&nbs…

南谷真鈴

シリコンバレーへの挑戦が生んだ「起業家と投資家が待ち望んだサービス」― 戸村光・ハックジャパンCEO

「測量美術」が起こす道路工事のイノベーション―草木茂雄・エムアールサポート社長

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸 …

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2020年1月号
[特集] 新しい街は懐かしい
  • ・「街の記憶」で未来をリノベーション
  • ・日本橋が「空を取り戻す」水辺と路地がつながる街へ
  • ・水辺はエンタメの宝庫だ 大阪が目指す観光客1300万人
  • ・街の誇りを取り戻せ 名古屋・堀川復活プロジェクト
  • ・なぜ水辺に都市が栄えるのか
  • ・2020以降は海と川がさらに面白くなる
  • ・「住む」と「働く」両方できるが求められている(たまプラーザ)
  • ・「土徳」が育む一流の田舎(南砺市)
  • ・音楽ファンが集う街づくり
[Special Interview]

 辻 慎吾(森ビル社長)

 東京が世界で勝ち抜くために必要なこと

[NEWS REPORT]

◆飛びたくても飛べないスペースジェットの未来

◆エンタメが街を彩る 地方創生に挑むポニーキャニオン

◆問題噴出のコンビニをドラッグストアが抜き去る日

◆始まった自動車世界再編 日本メーカーはどう動く?

[特集2]

 経済界福岡支局開設35周年記念企画

 拓く!九州 財界トップが語る2030年のかたち

ページ上部へ戻る