政治・経済

失敗してハコモノだけが残る可能性が高い

 IR推進法は、自民党と維新の会と生活の党の共同提出ですが、公明党は乗ってこないし、自民党の議員にも話を聞くと「あんなもの」と言って冷めている議員が実際は多い。決して私だけが反対しているわけではありません。

 そもそも、なぜ刑法で禁じられている賭博をわざわざ解禁しなければいけないのでしょうか。賭博が禁じられてきたのには、長い歴史があるわけです。簡単に言えば人々の射幸心を煽って犯罪が起きたり、家庭崩壊が起きたりといった事例が過去にいくつもあったからです。もちろん日本には公営ギャンブルやパチンコがあるわけですが、それらは抜け道を作って行われています。パチンコであれば換金を3店方式にするとか、公営ギャンブルなら犯罪組織をシャットアウトできるとか、いろんな理由を付けてやっています。なぜカジノ解禁に反対しているのかとよく問われますが、そういう人はなぜ禁じられているかを勉強してほしいと思います。

 カジノ解禁を推進しているのは、ゲーム機器業界やパチンコ業界です。パチンコ業界はカジノで賭博が解禁になると、3店方式を廃止して店で直接換金できる方向に持っていけるという思惑があるのでしょう。かつてリゾート開発を全国のあちこちでやって失敗しましたが、建設業界や観光業界も期待している。特定の議員がこれら業界の意向を受けて進めているのではないですか。さらに、地方経済が疲弊しているので、カジノ誘致で何とかしたいという幻想がある。今や約20カ所の地域から誘致の声が上がっています。

 その上で、カジノ解禁が成功するかしないかを考える必要があります。構想では観光施設を全国でたくさんつくって、国内からだけでなくアジアの富裕層を呼び込むと言っていますが、既にマカオやシンガポールにもカジノはあるのに、本当に人が来るのか疑問です。

 仮にいくつかの施設をつくっても、閑古鳥が鳴く事態になるのではないでしょうか。かつてのリゾート開発と同じく、ハコモノだけ残って長期にわたって地域の負担になる可能性が非常に高い。この計画は失敗するんじゃないかと思います。

 要するに、カジノ解禁は経済対策としてもダーティーですし、失敗の可能性も高いということです。仮にお台場など、人が集まりやすいところで運営ができても、その周りには必ず売春組織、あるいはヤミ金が蔓延ります。勝った男は買春に走り、負けたら負け分を取り返すまで賭けを続ける人がたくさん出てくるでしょう。これが地域にどういう影響を与えるか、考える必要があります。

地方都市にとって致命傷になる可能性も

 カジノ解禁は経済対策としても邪道だし、そもそも政策として取り上げるに値する話なのかということです。一部の議員はカジノの中に暴力団が入れないようにするなどと言っていますが、そんなことをしてもどうしようもありません。まともに賛成か反対かを論じる価値もないレベルの低い話だと思います。

 仮にカジノ誘致が大成功して、1兆円の経済効果があったとしましょう。でもそれは所詮、人々から賭博で巻き上げたお金にすぎません。カジノに来るのはお金持ちばかりではないし、中小企業の経営者が工場を担保にして賭け事にハマッてしまうケースだってあります。それで経済効果がどうのと言うのは恥ずかしくないのかと問いたい。もっとまともにモノを作って、報酬を貰って、お金が落ちるというのが本当の意味での経済効果ではないでしょうか。

 私は何も共産党所属だからとか、青少年の環境が悪くなるからなどと綺麗ごとで反対しているわけではないのです。本来、政治家はもっと本当の意味での景気対策を考えるべきなのに、なぜこんなことにしゃかりきになっているのでしょうか。

 ラスベガスなどではマフィアがカジノビジネスに絡んだ歴史があるし、今でも売春などが蔓延っています。マカオもそうです。でも、取りあえずお金が落ちるから、その部分だけ見て日本でもできると思い込んでいるのです。

 もし、東京の世田谷区にカジノをつくると言い出せば周辺住民から猛反対が起きるでしょう。でもお台場や大阪のベイエリアなら自分たちに関係ないからいい。そういう特殊な地域をつくることが果たして良いのか、東京都民は考えるべきです。もっとほかにやるべきことがあるはずです。

 さらに心配なのは、疲弊している地方都市が幻想を抱いて、取りあえずハコモノをつくるだけでもやってみたいとなった時です。普通の観光振興策をやっても限界があるのでカジノに飛びつきたくなる気持ちは分かりますが、結果としてもっと町が駄目になる可能性もあります。もともとあった地域の良さまで失って、かえって立ち直れなくなることだってあり得るのです。下手をすると50年、100年先までダメージを引きずることになりかねません。地方都市の場合、賭博場を誘致することによるイメージ悪化や、失敗した時のダメージは都市部より大きくなるでしょう。

(談)

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