政治・経済

 総務省は、ラジオ放送事業者の経営基盤強化を目的に、来年度にも新たな認定制度を創設する方針を決めた。

 総務省の研究会がまとめたラジオ局の規制緩和策が物議を醸している。別々の地域にある複数のラジオ局が同じ番組放送を禁じていた「放送対象地域制度」などの規制を一部緩和し、事業再編を促すのが狙い。東日本大震災でラジオ放送の有用性が再認識されたことを受け、番組制作コスト削減による経営改善やラジオ局再編を促すものだが、落とし穴を懸念する声も業界から出ている。

 安倍政権は政権批判の論陣を張る一部マスコミと対峙したり、特定機密保護法成立をごり押しし、NHK会長人事にまで口を挟むなど報道への影響力を強めている。ラジオ局再編支援を盾に報道への政府介入の余地を広げるのではないかとの懸念が渦巻いているからだ。総務省は研究会の報告書をもとに放送法改正案を今国会に提出する方針だが、アメとムチの改正案の行方は不透明だ。

 支援策の柱は、経営合理化に早期に取り組もうとする事業者を対象に新設する「認定制度」を提供。経営基盤強化計画(仮称)が総務相に認定されれば、災害情報の提供など地域性の確保に配慮することなどを条件に、放送対象地域が異なる隣県でも同一番組を放送することを認める。これにより、番組制作費削減などの合理化効果が見込めることから、放送事業者同士の事業統合が容易になる。

 現在、ラジオ局は在京キー局からの放送供給は受けられるが、放送対象地域が異なるラジオ局同士の場合、経営が一本化されても地域ごとに異なる番組を放送しなければならないため、統合メリットが薄かった。

 日本民間放送連盟がまとめた13年度のラジオ局の営業収入見通しによると、全AM局が833億円、全FM局が607億円で、共に聴取者離れによる広告収入の減少に歯止めがかからず、経営環境は厳しさが増している。優遇税制や補助金などによるアメと、政治介入の余地を広げるというムチ。経営不振のラジオ局にとって憂鬱な選択を迫られそうだ。

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