政治・経済

128_20140204_04 全般に調整ムード強まる中、目先筋の関心は一連のバッテリー関連など中低位株に向けられているが、派手さを欠きながらも意外な健闘を示しているのが薬品株だ。「消去法からディフェンシブセクターに退避」と言ってしまえばそれまでだが、業種別指数33業種中、1月7日の値上がり率3位。昨年大納会にソフトバンク株価を抜いた小野薬品(4528)は、28年ぶりの高値水準に買い進まれている。

 小野薬が大相場の下で上場来高値を付けたのは、持田製薬や科研製薬と同じ1984年のことだ。今や薬品株も、すっかり不人気業種として定着し、直近でも、昨年12月27日に武田薬品(4502)が糖尿病治療薬開発中止を発表してショック安に見舞われるなど、敬遠ムードが強まっていたはず。もっとも、その武田だが、年明け以降は底堅い動きを見せ、下値ではNISA(少額投資非課税制度)口座での買い付けが活発化しているとか。確かに、将来の成長性はともかく、足元の収益安定性や盤石な財務基盤、圧倒的な知名度などを備えてなお、3%台後半の配当利回りは投資経験の浅い一般投資家には魅力的と映るだろう。薬品株はほかにも、エーザイ(4523)、第一三共(4568)など、これに類する銘柄が少なくない。とはいえ、配当利回りの高さとは、そもそも市場人気の低さの裏返しでもあるわけだ。

 

■NISAだけじゃない

 

 それでは薬品株の買い目は、NISA資金の受け皿としてだけなのか。野村証券では1月6日付「産業アウトルック」で、興味深いシナリオを提示している。今年4月に薬価改定が予定されるが、「過去10回平均では、薬価改定発表後の1年で医薬品セクターは対TOPIXで約20%アウトパフォームした」というものだ。もちろん、下げ幅が大きければ収益への打撃となるが、昨年12月18日開催の中央社会保険医療協議会(中医協)で「薬価改定論議がほぼ収束」し、平均で「6%台の緩やかな引き下げ率にとどまる」というのが野村の見解。中医協開催翌日にセクタースタンスを「強気」に上げた。

 

■一方のジェネリック薬には悪材料

 

 それでは、改定率の6%台は確かなのか。薬品関係者に聞いたところ、「業界内の見方と一致する。中医協の議論は、そのまま内容に反映されるためだ。もちろん個別薬品の薬価については正式な細目発表後でないと分からない。発表時期もはっきりしないが、通常なら2月中には行われる」とか。新薬の薬価下げが比較的軽微とみられる一方、既存のジェネリック薬には大幅な下げが見込まれ、実現すれば、ブランド薬各社は二重のメリットが想定される。これなら、前述の20%アウトパフォームとなっても違和感はなさそうだ。

 さて、セクター判断を上げた野村だが、個別ベースではどうか。12月20日付で目標株価4600円を1万500円に倍増させた小野薬が大駆けを演じたが、25日付で大日本住友製薬(4506)、1月6日付でキョーリン(4569)と塩野義製薬(4507)の買い推奨を継続。それぞれ目標株価を引き上げている。「産業アウトルック」で取り上げていたのは、小野薬と大日本住友製薬だ。

 ちなみに、「中医協後」のタイミングでは、SMBC日興が塩野義を、みずほがツムラ(4540)を、シティグループがアステラス(4503)、小野薬、日本新薬(4516)をそれぞれ「買い」としており、アナリスト評価の高まりも感じ取れる。

 

■中医協が転機!?

 

 ここでの注目は、野村が2250円目標を掲げる大日本住友製薬か。配当利回り1%強では、NISA向きとは言い難いが、10万円半ばで投資でき、昨年5月高値まで距離を残すところが出遅れ感を誘う。この1〜3月中には、米国でのテレビCM開始や、抗精神病薬「LATUDA」の欧州承認取得、糖尿病治療薬「SGLT︱2阻害剤」の国内承認といったイベントも観測される。

 一方、12月26日付で岩井コスモ証券が目標株価1700円から1900円に引き上げたロート製薬(4527)も12月11日高値まで、あと一息。今3月期21期連続増収で、10期連続増配見通し。NISA導入に合わせて今年から投資単位を100株に引き下げ、長期保有の株主優待も拡充させる。半期ごとに外国人持ち株比率も上昇一途にある。

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