政治・経済

かんぽ生命 新学資保険の認可を受け巻き返しを狙う

 かんぽ生命保険は4月に発売する新しい学資保険の返戻率(契約者が満期時に受け取る金額の割合)を支払い保険料総額の105%程度で調整している。総務省と金融庁が1月下旬に新学資保険を認可したのを受けて、かんぽ生命はこれまで営業の足かせとなっていた返戻率の低さを改善。業界平均的なレベルにすることで、低下する一方だったシェアの巻き返しを狙う。

 同社は全国2万4千カ所の郵便局ネットワークという強力な販売網を保有しているのが強みで、ピーク時の7割から3割まで落ち込んでいるシェアを2014年度中にまず、4割に引き上げたい考えだ。

 学資保険は子どもの成長に応じて教育資金を確保するための貯蓄型保険商品。返戻率が高い商品は受け取る額を増やしたり、保険料を割安に設定することができるため売れ筋となっている。

 しかし、かんぽ生命の従来の学資保険は死亡保障が手厚い分、返戻率が100%を下回り、元本割れとなるケースが多い保障型。民間生保が高利回り商品を相次ぎ投入したこともあり、かんぽ生命はシェアが減る一方だった。

 新商品は死亡保障を引き下げる代わりに利回りを高めて返戻率を向上、5%程度の上乗せを図る。生保業界では、ソニー生命保険や日本生命保険などが返戻率110%を超える高利回り商品を発売しているが、かんぽ生命は貯蓄型では標準的なレベルに引き上げることで、新たなニーズを開拓したい考えだ。

 ただ、全国に張りめぐらされた郵便局ネットワークの威力は絶大。かんぽ生命の新学資保険投入に対する民間生保の警戒心は強く、4月2日の発売に合わせて販促キャンペーンで対抗を検討しているようだ。かんぽ生命は、新学資保険で新規契約30万件程度を見据えているが、新学期、生保業界では学資保険戦争が勃発しそうだ。

 かんぽ生命は保有契約件数の減少傾向に歯止めを掛けるため、13年4月を目指して、12年9月に新学資保険発売を申請していたが、同年11月に発覚した大規模な保険金の未払い問題で、麻生金融担当相が「認可できる状態ではない」と認可を凍結した経緯がある。

 ただ、日本郵政グループの株式上場に向けた最大の課題である金融事業の収益増に、新学資保険だけでは心許ない。ゆうちょ銀行の中小企業向け融資や住宅ローンなど新規業務の認可はまだ白紙状態。このままでは15年春、としている日本郵政の株式上場計画が先送りされる可能性もある。

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

次世代の医療現場を支える病院経営の効率化を推進――保木潤一(ホギメディカル社長)

1964年にメッキンバッグを販売して以来、医療用不織布などの、医療現場の安全性を向上する製品の普及を担ってきた。国は医療費を抑える診断群分類別包括評価(DPC制度)の導入や、効率的な医療を行うため病院のさらなる機能分化を実施する方針を掲げており、病院経営も難しい時代に入っている。ホギメディカルは手術室の改善か…

刺激を浴びて徹底的に考え抜くことで自らを変革する―― 鎌田英治 グロービス 知命社中代表

ワンストップで手厚くサイトの売却をサポートするサイトマ――中島優太(エベレディア社長)

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年3月号
[特集]
環境が経済を動かす

  • ・総論 災い転じて福となせるか 持続可能な社会の成長戦略
  • ・越智 仁(三菱ケミカルホールディングス社長)
  • ・100年後を考える 世界最大級の年金基金「GPIF」
  • ・金融業界はこう動く
  • ・脱炭素化の遅れがはらむ「座礁資産」の危険性
  • ・脱炭素化で移行する「地域循環共生圏」とはどういう社会なのか!?

[Special Interview]

 中田誠司(大和証券グループ本社社長)

 「SDGsを経営戦略の根幹に据えることで企業は成長する」

[NEWS REPORT]

◆稲盛哲学を学ぶ盛和塾解散を塾生たちはどう聞いたか

◆米中経済戦争の象徴となった「ファーウェイ」強さの秘密

◆EV時代にあえてガソリンエンジンにこだわるマツダのプライドと勝算

◆それは自由か幸福か——「信用スコア」で個人の信用が数値化された世界

[特集2]関西 飛躍への序章

 大阪万博開催で始まる関西経済の成長路線

ページ上部へ戻る