政治・経済

電波法改正の狙いは通信料引き下げ

 総務省が今通常国会に、携帯電話事業者が国に支払う電波利用料を約110億円軽減する電波法改正案を提出する。

 携帯電話事業者が災害時の通信復旧・維持費用を負担している公共性を勘案し、電波利用料の7割強を占めて「放送事業者に比べて過重だ」(大手携帯電話事業者)とかねて是正を求めていた携帯電話事業者の負担額を約20%引き下げて全体の6割強にする。

 一方、年間50億円程度しか支払っていない放送事業者はやや負担額を増やす程度だが、10倍の格差があった携帯電話と放送の電波料負担に初めてメスを入れた制度改革と言える。総務省は携帯電話事業の負担軽減をたてに、高止まりしているスマートフォンの通信量引き下げを促したい考えだが、事業者側は「1社当たり30億円前後軽減されても値下げの原資にはならない」と苦笑する。

格差是正の遅れは放送事業者への遠慮から

 総務省は昨年12月に電波利用料の見直し方針を策定したが、総額維持のための事業者負担見直しの算定に手間取り、料額が決まったのは2月中旬になってから。

 携帯電話事業者は災害時に通信基盤の迅速な復旧や災害対策の費用を負担していることを踏まえ、総務省の検討会が放送事業者など公共性のある事業を対象に導入する軽減係数を新たに適用することにした。新たな算定方法によると、携帯電話事業者の年間負担額は2011〜13年度実績の平均560億円から大幅軽減し、14〜16年度は平均446億円となる。

 携帯電話事業者はNTTドコモのほか、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・アクセスの計4社が分担。例えば、ドコモは12年度に237億円を支払ったが13年度もほぼ同額の見通しで、横ばい状態が続いている。

 一方、軽減係数が適用されない高速データ通信サービス事業者(BWA)は86億円から122億円に増額。軽減係数が既に適用されている放送事業者は51億円から62億円に増える。

 携帯電話事業者と放送事業者の負担に10倍も開きがあるのは、電波を発する携帯電話端末も1局と数える算定方法が要因。3年ごとの算定見直しで是正されてきたが、大きな是正措置はとられてこなかった。「わずか10億円の増加でも文句をいわれる」(総務省)放送事業者に遠慮してきたからだ。

 

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