政治・経済

 総務省の「地方法人課税のあり方検討会」が11月6日に公表した報告書に、東京都が噛みついている。報告書は、法人住民税(都道府県・市町村税)を地方交付税の財源にし、財政力の低い地方自治体に配るべきだとするもので、消費増税で広がる自治体の財政格差の縮小を目指すものだ。

 しかし、実質的には東京都の税収を地方にばらまく仕組みのため、猪瀬直樹都知事が、「自治体の自主財源である住民税を国税化するなんて、地方自治体の自殺だ」と怒り心頭だが、総務省は報告書をもとに与党の税制調査会に新税制を提案し、2014年度の導入を目指して淡々と手続きを進めている。

 税収を奪われる東京都など都市部の税収入が潤沢な自治体は反対を表明しているものの、財政が疲弊している地方自治体が大半の現状では、多勢に無勢。しかし、猪瀬知事がカンカンなのは、これまでの経緯も関係している。

 既に、都道府県税である法人事業税を国税化して、人口と従業者数に応じて再配分しているが、これは石原慎太郎前都知事と福田康夫内閣との間で、「3年の暫定措置」として合意したことだ。羽田空港拡張工事や首都環状道路で国家予算を上乗せするという裏取引だったといわれているが、その後の政権交代などで「暫定措置」はうやむやに。都はいまだに年間1千億円以上を国に支払っているという。

 総務省は「暫定措置だったのは分かるが、廃止は無理だ。東京は(地方交付税の)不交付団体だから、来年4月の地方消費税増税の影響はないが、このままでは東京と地方の格差はさらに拡大する」と妥協の考えはないようだ。新税制を導入すれば市町村の格差縮小も可能になる。都がいくら反対しても、地方選出議員が圧倒的に多い自民党は「聞く耳を持たない」(都職員)。自民党多数派の後押しを受けて、都の税収は再び召し上げられそうだ。

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