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QE3という魔法が、現在も効を奏していた結果の株高

 日本の連休明けの5月7日、ダウ工業株30種平均は終値が1万5千㌦の大台を突破した。1万4千㌦を突破してから、わずか3カ月あまりという急上昇ぶりだ。

 弾みをつけたのは2日発表された、4月の雇用統計だ。3月は市場に冷や水を浴びせる弱い結果だったが、4月は一転して市場予想を上回った。非農業部門の新規就業者数は4月、16万5千人となり、弱含みだった3月も8万8千人から13万8千人に上方修正された。失業率も3月の7・6%から、4月は7・5%にとやや改善した。

 しかし、ダウ平均を大きく動かす新規就業者数は、民間企業の雇用が貢献しているものの、「財政の崖」による強制歳出削減で、政府部門の雇用は減少している。

 さらに、雇用統計以外の経済指標では、相変わらず不安な数字が続いている。

 消費者信頼感指数(1985年を100とする指数)は、3月に59・7と、2月の68・0から大きく低下した。2012年10月には73・1をつけており、現在の数字は、12年末よりも消費者が景気の先行きに不安を感じている表れだ。

 同様にISM景気指数も、2月の54・2から、3月は51・3に落ち込み、3カ月続いていた上昇から低下に転じた。製造業が感じている景況感を示す指数だけに、気になる落ち込みだ。

 さらに、米国の個人消費の様子を示す小売売上高(月平均)は、2月の3749億㌦から、3月は3727億㌦とやや減少。これも昨年末から続いていた上昇にストップがかかった。日本と異なり、米国人の個人消費は国内総生産(GDP)の70%以上を占めており、それが足踏みをしていることを示している。

 もちろん、小売売上高は09年に景気低迷期を脱してから、少しずつ上昇は続けてきた。しかし、雇用統計も、小売売上高も、景気回復に弾みがついたという水準に至っていない。

 それでは、なぜ株高なのか。

 それは、「量的金融緩和第3弾」(QE3)という魔法が、今も効を奏しているからだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は、市場に資金を潤沢に与える政策を、「失業率が6・5%に低下するまで続ける」と発表している。しかし、景気回復の足取りが力強いものであれば、QE3が打ち切られるという予測は市場には常に付きまとっていた。

 ところが、米国景気が強い回復をとげていないという経済指標が出ると、今後もQE3が続くという予測のほうが強まり、株が買われるという仕組みだ。資金は潤沢にあるのに、それは個人に流れず、株式市場に流れ込んでいる状況で、QE3は肌で感じる実体経済よりも、ダウ平均を1万3千㌦から1万5千㌦まで引き上げるのに、効を奏したかのようにみえる。

FRBは前例のない債券購入の幕をどう引くのか

 だが、これがいつまでも続くわけではない。FRBは、月間850億㌦という前例のない債券購入の幕をどう引くかという「出口」政策を常に検討している。

 FRBが債券購入を突然やめてしまえば、株式市場は大打撃を受けることになる。かといって、縮小あるいは終了が遅れれば、「バブル」の危険性もある。これに、市場の注目が集まっているわけだが、最近新しい動きもあった。

 5月1日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、経済見通しに応じて「債券購入ペースを拡大したり、縮小したりする用意がある」とした。縮小あるいは終了を目指しているとともに、拡大の可能性もあるということは、米国経済にまだまだ刺激が必要ということの表れだともみられる。

 FRB当局者の発言も、購入終了を目指す姿勢を見せながらも、慎重さを市場に示すことを怠っていない。ロイター通信によると、カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は最近こう発言した。

 「FOMC声明は(債券購入の)縮小についても言明している」

 「FOMCメンバーが引き続き、経済動向を見極めながら、これら懸案に関する協議を重ねていくと同時に、量的緩和の解除を開始できる機会が訪れることを望んでいる」

 「債券買い入れの停止あるいは何らかの調整を発表する際、金利の急上昇や住宅ローン金利の再上昇を招かない形で行うことができるかどうか懸念している」

 また、フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁はこう語る。

 「買い入れを停止したいが、とりわけ買い入れペースの減速に着手し、可能な限り段階的に緩めて出口を探りたい」

 市場が望むQE3の継続は、当面続きそうだが、雇用市場の回復など、最も支援が必要なところに効果を与えているのかは不透明なまま、株式相場は上昇を続けている。

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