政治・経済

短期的には日本の経済成長率2・0%前後の達成は可能

 さる4月16日に発表されたIMFの世界経済見通し(WEO)では2013年の先進国の経済成長率は米国が1・9%、EUがマイナス0・3%、日本が1・6%となっている。欧州危機の影響は残るものの、米国と日本はそこそこの成長率を達成するという予測だ。

 日本経済は11年の震災などによるマイナス成長から順調に回復するとされている。いわゆるアベノミクスで財政・金融両面から景気刺激を図っていることの効果が表面化するとの予測。累積債務が巨大になっていることから、短期的にはともかく、中長期的に財政刺激を継続することはできない。となると、注目され期待されるのが金融政策だ。

 折から前アジア開発銀行総裁の黒田東彦が3月20日、日本銀行総裁に就任した。黒田は大蔵省(現財務省)でも国際金融局長、財務官を務めた国際派。大蔵省から日銀総裁に就任した例は少なくないが、黒田以外はすべて事務次官を務めた国内派である。財務官を務めた国際派が総裁に就任するのは初めてのことだ。

 就任早々から黒田は意欲的な政策変更を明言。金融政策の目標を金利からマネタリーベースに変更し、2年間でマネタリーベースを倍増させ270兆円にすることを公約した。4月にはマネタリーベースを155・3兆円まで増加させ2カ月連続で過去最高を更新している。

 日本経済の過去20年間の平均成長率は0・9%、高度成長期から安定成長期を経て成熟期に入ったのだが、このところ成長率の上昇への期待が高まってきている。日本経済の潜在成長力が過去20年のように1%前後なのか、政策次第によってはこれを1・5~2・0%程度まで上げることが可能なのかは、なかなか検証しづらい命題だが、少なくとも短期的には13~14年の成長率を2・0%前後まで引き上げることは可能だろう。前述したようにIMFは13年の日本経済の成長率を1・6%としているが、極めて積極的な「異次元金融緩和」などが効果を発揮すればこの予測を上回ることは十分可能だろう。

ダイナミックな政策を取り始めたことが日本経済の再評価に

 日本経済、日本の経済政策に対する世界の関心もこのところ急速に高まってきている。筆者に対しても外国からの日本経済についての講演依頼がこの3月以来急増しているのだ。“アベクロ”効果といったところだろうか。黒田総裁に感謝しなくてはならないのだろう。久しぶりに日本がダイナミックな政策を取り始めたことへの興味が、少なくとも一部では日本経済の再評価に結び付いているのだ。

 政策についての関心が強くなってきたのは最近のことだが、ここ10年ほど、さまざまな点で日本が世界から注目されだしたことに多くの日本人は気が付いていない。まずは、日本食や寿司に対する世界的ブーム。そして、アニメなどの新しい日本文化に対する興味。実は、日本の環境・安全さ・日本人の健康、いずれをとっても日本は世界のトップランナーだ。つまり、成熟社会として見ると日本は極めて素晴らしい国だということなのだ。もっと多くの日本人が日本について自信を持って世界に発信すべきだし、また、ダイナミックに政策展開をすることによって成長力を増すことも可能だろう。 (文中敬称略)

関連記事

好評連載

深読み経済ニュース

一覧へ

[連載] 深読み経済ニュース解説

2015年の経済見通し

[連載] 深読み経済ニュース解説

再デフレ化に突入し始めた日本経済

[連載] 深読み経済ニュース解説

消費税率引き上げ見送りの評価と影響

[連載] 深読み経済ニュース解説

安倍政権が解散総選挙を急ぐ理由

実録! 関西の勇士たち

一覧へ

稀有のバンカー、大和銀行・寺尾威夫とは

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第20回)

実録! 関西の勇士たち

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第17回)

三和銀行の法皇・渡辺忠雄の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第14回)

住友の天皇・堀田庄三の人生

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第11回)

商売の神様2人の友情 江崎利一と松下幸之助

[連載] 実録! 関西の勇士たち(第7回)

関西財界の歴史―関経連トップに君臨した芦原義重の長期政権

ビジネストレンド新着記事

注目企業

一覧へ

【特集】2019年注目企業30

 2018年の日本経済は、世界のマーケットを席巻してきた中国経済の成長鈍化が鮮明になり、併せて米・中の経済摩擦、英国のEU離脱問題などの対外的な課題が重なって大きな閉そく感が漂う年だった。 しかしながら元気な中堅・中小企業はネガティブな要因をものともせず独自の経営手法で活路を開いている。 原点回帰で、顧客第一…

「超サポ愉快カンパニー」としてワクワクするビジネスサイクルを回す―アシスト

ITと建設機械、グリーンエネルギーの3本柱で地球環境問題解決に貢献する―Abalance

新社長登場

一覧へ

地域に根差した証券会社が迎えた創業100周年―藍澤卓弥(アイザワ証券社長)

中堅証券会社のアイザワ証券は今年7月、創業100周年を迎えた。この記念すべき年に父からバトンを受け継ぎ新社長となったのが、創業者のひ孫にあたる藍澤卓弥氏。地域密着を旗印に掲げてここまで成長してきたアイザワ証券だが、変化の激しい時代に、藍澤社長は何を引き継ぎ、何を変えていくのか。聞き手=関 慎夫 Photo:西…

メディカル事業を横串にすることでシナジーを発揮し、顧客満足度向上へ 伏見有貴(リゾートトラスト社長)

新事業の芽を伸ばすことでさらに大きな個性的な会社を目指す――日髙祥博(ヤマハ発動機社長)

イノベーターズ

一覧へ

ペット仏具の先駆企業が「ペットロスカフェ」で目指す癒しの空間づくり

家族のように接していたペットを亡くし、飼い主が大きな喪失感に襲われる「ペットロス」。このペットロスとなってしまった人々が交流し、お互いを癒し合うカフェが、東京都渋谷区にオープンした。「ディアペット」を運営するインラビングメモリー社の仁部武士社長に、ペット仏具の世界とペットロスカフェをつくった目的について聞いた…

元引きこもり青年が「cluster」で創造する新たなVRビジネスとエンターテインメント(加藤直人・クラスターCEO)

日本人の英語学習の課題解決に向け、学習者目線のアプリを開発―― 山口隼也(ポリグロッツ社長)

大学の挑戦

一覧へ

専門分野に特化した“差別化戦略”で新設大学ながら知名度・ブランド力向上を実現――了徳寺大学・了徳寺健二理事長・学長

2000年設立で、了徳寺大学が母体のグループ法人。医療法人社団了徳寺会をグループ内に持つ。大学名の「了」は悟る、了解する、「徳」は精神の修養により、その身に得た優れた品性、人格を指す。「了徳寺」は人間としての品性、道を論す館の意味を込めた大学名だ。 聞き手=本誌/榎本正義 、写真/佐々木 伸教育部…

大学の挑戦

創立100周年、西南学院大学・K.J.シャフナー学長「世界に貢献しインパクトを与える人材を育てる」〜国際交流・就職支援・インターネット出願〜 

「“STAND BY YOU”のスローガンの下、学生一人ひとりに寄り添う教育を」――中央学院大学・佐藤英明学長

経済界からのお知らせ

最新号のご案内

経済界2019年4月号
[特集]
日本の「食」最前線

  • ・総論 日本の「食」から世界の「食」へ 成長産業となった農水・食品産業
  • ・「食」の輸出1兆円を支えるジェトロの役割
  • ・全国で進むブランド化「食」から始まる地方創生
  • ・上海で見た日本の「食」の未来
  • ・海外進出した外食チェーン「成功」と「失敗」の分かれ目
  • ・日本人が知らない中国の「日本食ブーム」の真実
  • ・消費税引き上げで始まる「外食VS中食」最終戦争

[Special Interview]

 星野晃司(小田急電鉄社長)

 「未来を見据えた挑戦で日本一暮らしやすい沿線をつくる」

[NEWS REPORT]

◆中国リスクが顕在化 電機業界に再び漂い始めた暗雲

◆持続可能な水産業へ 魚はいつまで食べられるのか

◆CES 2019現地レポート 家電からテクノロジーへの主役交代が鮮明に

◆相次ぐトラブルで業績悪化 SUBARUの見えない明日

[総力特集]

 2019年注目企業30

ページ上部へ戻る